ART 2015年5月16日(土)午後5時開演 会場:京都・南座 作:ヤスミナ・レザ 演出:パトリス・ケルブラ 美術:エドゥアール・ローグ マーク:市村正親 イワン:平田満 セルジュ:益岡徹 【ストーリー】 「俺の友達セルジュが絵を買った。……白のラインの入った白い絵をね」 マークのこの独り言から物語は始まる。 登場人物はマーク、セルジュ、イワンの3人。 彼らは15年来の大親友。 彼らの関係に変化がおきたのはセルジュが買ってきた1枚の絵がきっかけだった。 白いキャンバスに白い線が入ってるだけの絵。 そんな絵にセルジュは何百万(←劇中では500万だった)も出したという。 うれしげなセルジュを横目にマークはけげんな表情。 そしてついつい口走ってしまう。 「おまえ、なんだってこんな絵に……」 一緒に喜んでくれると思っていたセルジュにとっては、マークのこの一言は理解出来ない。 マークにとってもそんな絵を買うセルジュがわからない。 気まずくなった2人に気のいいイワンは巻き込まれ、3人の関係は思わぬ方向に…… 【客入り】 ほぼ満杯。年齢層は高め 【感想】 昨年の暮れ、顔見世興行を観に行った際、南座で知ったARTの再演。 2001年の公演を観たのは池袋でのこと。初めて観た市村正親さんの舞台であり、平田満さんの早口言い訳シーンも鮮烈でずっと頭の中に残っていた。 あのARTが再び観れる、しかも南座で観れる!となれば行かない理由はない。 思えば市村さんの舞台も久しく観に行っておらず(なんと2002年の海の上のピアニスト以来!)、昨年早期胃がんでの入院を公表された時は、復帰されたら観たいと思っていたが、その作品がまさか"ART"になるとは! そんなわけでワクワクしながら行った南座。座席は2列目右サイドのブロックです。 会場が暗転し、幕が開いた瞬間に市村さんがいて、あの懐かしい白いステージが観えた瞬間は、正直ジーンときた。 でも、その後は言葉の応酬に、笑い。 観終わった直後の今、結論から言うと、当時と変わらず面白い"ART"だった。 今回もきっかり90分程度。市村さんのマークは高慢で嫌味ったらしかったり、コミカルだったり。 オドオドする平田満さんのイワンは、動けば、必ずそこに笑いが起こる役回り。 今回も、遅刻の言い訳を延々と3〜4分間まくしたてるシーンは圧巻だった。 余裕を持っていたり、不満をあらわにしたり。絵を買った張本人・セルジュは、2001年は升毅さんだったが、今回は初演以来の益岡徹さん。マークとのやり取りは愛憎入り混じっていた。 日々の生活で、マークやセルジュほど強烈でないにせよ、似たタイプの人はいるし、この3人のような関係性もある。 そんな普遍性のある内容だからこそ、10年以上経って観ても新鮮。 ストーリー自体は、観ながら「あぁ、こんな内容だったな」と再確認したが、例えば絵を飾る位置が、両サイドのお客さんにも見えるように、左側、右側、中央と変化していたことなど新たな気付きも。 ラストでは最前列に何度もブラボーという熱狂的な女性がいて、市村さんが投げキッスをしていた(最後は3人とも) |
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