英国ロイヤルオペラ プッチーニ 三部作 |
昨日の"FAUST"と本日のプッチーニ 三部作(IL TRITTICO)のパンフ+チケット ブリティッシュロック探訪の旅が終わり、いよいよ今回の旅最後のイベント、昨日に続いてROHでプッチーニの三部作を観劇です。 今日はなんと!!ど真ん中最前列での観劇!ネットで予約した際は、初日とはいえ「え!?なんでこんなに良い席が空いてるの!?」とビックリしました。 まずはストーリーから。 第一部 船乗りたちが港で働いている。船長の妻は夫に水夫たちをねぎらうため酒の用意を促す。 酒を飲む水夫たち。妻は水夫とダンスを踊る。水夫(ルイージ)にキスされ恋に落ちる妻。そして水夫の妻たちと共に話したり。 その夜ルイージに駆け落ちを迫られ心を奪われてしまう。 船長が戻り、妻に愛の歌を。「やはり私にはこの人が……」と船長に応える妻。 だが船長は妻を信じていなかった。夜起きて「妻はまだ起きている。彼女を籠絡したのは誰だ?」と考える。ルイージだ!あいつは昼、船を降りたいと言った! ルイージが現れる。言い争い、船長はルイージを殺してしまう。 それから登場する船長の妻。 船長が言う。「思った通りだ。まだ起きていたな!お前は他の男と恋に落ちたのだ……」 妻は夫の足元にある袋をめくろうとする。 押し止める船長。そして奥さんが袋を開き絶叫し、幕が下りる。 第二部 場所は修道院。修道女たちはそれぞれの願望について話している。 「神に仕える我々は一切の願望を持ってはいけない」と言いながらも、「ペットの子羊がほしい」、「美味しいものが食べたい」などと言い合う。 そんな中、アンジェリカは「自分には何の願望もありません」と言う。 しかし皆、彼女が修道院に入ってから一度も来ない家族からの便りを切望していることを知っている。 一方、彼女が修道院に入った原因は、何かの贖罪のため……という噂しか知らない。 ある修道女が蜂に刺され、痛みに苦しんでいると騒ぎになりアンジェリカは薬草を処方する。 すると、別の修道女が、「豪奢な馬車が修道院の門前に到着した」と言う。 アンジェリカはいつになく慌て馬車の詳細を尋ねる。やがて修道院長が現れ、「アンジェリカ、公爵夫人があなたに面会です」と告げる。 公爵夫人(アンジェリカのおば)はアンジェリカに、彼女とその妹に遺されている両親の遺産を全て放棄するよう促す。アンジェリカの妹が結婚をする予定で、その結婚相手はアンジェリカの犯した罪を承知の上で妹と結婚するのだから財産をすべて妹に与え、誠意を示さなければならないという。 アンジェリカの罪とは、ある男と関係をもち、結婚なしに妊娠・出産したことだった。家名の恥辱としてその事実は隠蔽され、彼女は出産直後に産んだ息子と引き離され、贖罪のためとして修道院に送られたのだった。もちろんアンジェリカは一日たりとも自分の息子を忘れたことはなかった。彼女は公爵夫人に消息を尋ねる。いま7歳のはずのあの子はどうしていますか?と。 公爵夫人はあくまで事務的に告げる。「あの子なら、2年前に高熱で亡くなりました。」 アンジェリカは驚愕と絶望のあまり倒れるが、公爵夫人は構わず遺産放棄手続の手筈を整える。やがて意識を回復したアンジェリカは虚脱状態のまま、必要な書類に署名を行う。公爵夫人は無言のまま退出する。 アンジェリカは「母も無しで、子供よ、あなたは死んでしまった」とその悲しみを歌う。戻ってきた他の修道女たちは彼女を励まし、皆は聖処女マリアを讃えつつそれぞれの個室に引き下がる。いつの間にか夜になっている。 眠れぬアンジェリカは個室を抜け出す。彼女には亡き息子が天上から自分を呼ぶのが感じられ、息子のもとへ急ごうと毒薬を調合して飲む。 だがすぐにアンジェリカは自らの行為の非を悟る。キリスト教では自殺は大罪なので、天国への門は閉ざされ、息子と天国で再会することは叶わない。彼女はこの大罪を赦してもらおうと懸命に聖母に祈る。 祈りは通じ、奇蹟が起きる。光が差し込み、礼拝堂の扉が開くとそこは天使に満ちている。その中心には聖母マリア、傍らには白装束の幼児。アンジェリカの息子である。聖母は幼児に死にゆく母を指し示し、幼児は一歩一歩ゆっくりとしかし着実に母親のもとへ歩んでいく。天使たちの合唱の流れる中、アンジェリカは「ああ」と小さな叫び声をあげ、ゆっくり倒れ、安らかに息を引き取る。 第三部 大富豪ブオーゾの寝室。まさに今、彼が息を引き取ったところ。 親戚一同は大げさに悲しむが、心の中では遺言状がどこにあるかを考えている。 ブオーゾが親戚には一銭もやらず全財産を修道院に寄付するよう遺言しているとの噂があり、皆、それを恐れているのだ。 部屋中を探した末、若いリヌッチョが首尾よく遺言状を発見する。 彼はそれを親類代表に渡す前に「この内容が皆にとって満足のいくものだったら、僕がラウレッタと結婚するの認めてくれるね?」と問いかけ、皆了承する。 リヌッチョは、ラウレッタとその父親ジャンニ・スキッキを呼びにやらせる。 皆が遺言状を開け読んでみると、やはりそこには「全遺産修道院行き」とある。 皆落胆し、リヌッチョがラウレッタと結婚することも不可能になる。 そこへスキッキが登場する。リヌッチョは「何か知恵を貸して欲しい」と頼む。 乗り気ではなかったスキッキだが、娘のラウレッタの脅しもあり、仕方なく遺産を取り戻す方法を考える羽目になる。 彼は部屋にいる人たち以外にブオーゾの死を知る者がいないことを確認してから、遺体をベッドからどかし、別室へ運ばせる。 間が悪くブオーゾの医者が往診に来たので、スキッキはブオーゾの声色で「もう大丈夫」と言って追い帰す。 医者をうまく騙したスキッキは調子に乗り、「公証人を呼んできて、自分が声真似で遺言を言うから書き直させよう」と提案する。 親戚たちは自分たちに財産が与えられるようスキッキに頼み込む。 スキッキも親戚たちに「このことは一切他言するな」と警告し、一同も黙っていることを約束する。 公証人が証人を引き連れて登場。ブオーゾに扮したスキッキはベッドの中から「新たな遺言状を作成したいが、手が麻痺しているので口述筆記をお願いしたい」と言い、公証人も納得する。 「他の遺言状は全て無効とする」、「葬式は金をかけず簡素に」、「修道院にはごく小額を寄贈」などと述べていくスキッキ。 さぁ、いよいよ高額物件の分与。スキッキは分与先を全て自分のところに指定する。 親戚たちは彼を非難するが「もうここは俺の家だ!出ていけ!」と追い出す。 残ったスキッキはラウレッタとリヌッチョの2人を招き入れる。 彼らは遺産には目もくれず、フィレンツェの景色を愛で、互いの愛を確認していたのだった。 スキッキは若い2人を祝福するように微笑んだ後、観客へと向く。 紳士、淑女の皆様。ブオーゾの遺産にこれより良い使い途があるでしょうか。この悪戯のおかげで私は地獄行きになりました。当然の報いです。でも皆さん、もし今晩を楽しくお過ごし頂けたのなら、あの偉大なダンテ先生のお許しを頂いた上で、私に情状酌量というわけにはいかないでしょうか。 と口上を述べ、陽気に幕となる。 (第二部、第三部はwikiの説明を少し短縮の上引用) 席についてまず思ったのは、当たり前ながら「近〜い!!」 オーケストラピットが完全に見えて、指揮のアントニオ・パッパーノが触れる距離に! 演奏中も、舞台とオケピに半々、いや、オケピに6割ぐらい見入ってしまいました。 パッパーノは演奏中、ハッ!とかウ〜!とか声を出しつつ、全身全霊といった感じ。 ミーハーファンよろしく色々と書きこんである譜面を盗み見ては「本物だ〜」と思ってしまいました。 一番印象に残ったのは、オペラはステージ上の演者に合わせてオケが演奏しているのではなく、むしろ指揮者から「さぁ今だ!歌え!」といった具合に指示を出しているということ。 ステージ上の演者も指揮者の方を時折見ているのが視線から分かり、「あぁ、オペラってお互いが呼吸を合わせてやってるんだな」というのが生で分かったのが嬉しかったです。 3つの演目中一番好きなのは、音楽的に第一部かな。 奥行きのあるステージに展開された、最初のシーン(波止場)の光景は綺麗だったし、ストーリーも分かりやすかったです。 第二部で主人公のアンジェリカを演じたエルモネラ・ヤオは、あの2010年のマノン、椿姫の来日公演時、9/12に代役の代役が登場する(!)という珍エピソードを作ってしまった人。(この時、椿姫でヴィオレッタを演じる予定だったのは、元々アンジェラ・ゲオルキューでしたが、お子さんの病気で来日中止に。代役となったのがヤオさんでした。しかし彼女、12日の第一幕を歌った後、アレルギー症状のため第二幕以降を続行できなくなりましたということで、代役の代役(アイリーン・ペレス)が登場するという滅多にない事態に。その後の公演では、マノンを演じていたアンナ・ネトレプコがヴィオレッタを演ったというサプライズまで起こった!) しかし今回はしっかりと歌い上げており、面目躍如といったところ。 第三部はとにかく陽気で楽しい演目なので、静粛かつ荘厳な趣の第二部との落差で楽しめました。 やっぱりオペラハウスで観るオペラは格別!そう思わされた2日間でした。 (2011/09/19) |
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