めんたいぴりり 博多座版 2015年3月7日(土)午後11時00分開演 会場:博多座 脚本:中島淳彦 演出:G2 海野俊之:博多華丸 海野千代子:酒井美紀 岡村吾郎=岡村ミチエの父:西村雅彦 三枝京子=海野俊之の戦友の妻:紺野美沙子 矢島政吉=やくざの親分:宇梶剛士 スケトウダラ:博多大吉 【ストーリー】 日韓併合後の釜山の街で生まれ育ち夫婦となった俊之と千代子。 第二次世界大戦を生き抜いて日本に引き上げて食料品店「ふくのや」を開いた2人。 "のぼせもん"で新しい商売を思いつくが失敗続きだった俊之は、新しい商売として、青春時代に食べた思い出の味・めんたいを再現しようと思い立つ。 しかし、思うような味ができず、試食した子供たちは泣き出す始末。 そんな日々の中、中洲川端を牛耳る親分・矢島に追われて千代子の女学校時代の親友・恵理子が逃げ込んできたり、めんたいを知る矢島が、味の検分を買って出たりと、慌ただしい日々が続く。 明太子が完成するまでを、戦後復興していく博多とともに描き、大反響をよび、平成26年度日本民間放送連盟賞番組部門テレビドラマ番組優秀賞を受賞したホームドラマが、舞台版として描かれる。 【客入り】 20代から60代、それ以上まで幅広い。満杯。 【感想】 ドラマ版は未見だったが、好いーと九州なんてページを作っているぐらいなので注目していた「めんたいぴりり」。 加えて中に入ったことがない博多座での公演だったので、興味を惹かれたのがこの舞台だった。 なので、今回は博多座の紹介も交えて感想をば。 博多座は、博多区下川端町にある市立劇場。収容人数は最大1400〜1500人程度。 注目すべきは演劇専用の劇場だということ。演目により「回り舞台」「花道」「袖花道」「奈落」「オーケストラピット」「鳥屋」などがいずれも設置できる作りになっている。 まずは博多座入口。 丁度、開場してから15年目だったので、あゆみを紹介する展示パネルが。 ラ・マンチャなど、場所は違えど観た公演も。 そして中へ。今回の主人公は「ふくや」創業者・川原俊夫氏ということで、創業当時のふくやを再現するコーナーも。 入場すると……そこはお祭り状態!! 沢山の出店が並んでいる。お祭り好きな博多らしい。 お土産から食べ物まで。めんたいぴりりにちなんだお土産も。 休憩時の昼食に、めんたいカレーをいただいた。 勧進帳の絵なども眺めつつ、中に入り、さぁ上演開始……というわけで、以下、感想。 作品の柱は、福岡の人の温かさ。 私は「福岡ほど地元愛が強く、大きな家族のような街はない」と言い続けているが、まさにそれ。 華丸さんは、漫才時のイメージは「博多のおじさん」。今日の役柄もまさしく「博多のおじさん」。 舞台には、祇園花月で観ている時と全く同じテンションの華丸さんがいた。 そしてそれは、今回の役柄ズバリだったので、これぞ完璧な演技。 酒井美紀さんを観るのは、「彦馬がゆく」以来。 もう13年も経つのか〜。 元々可愛らしい感じの人だったが、こんなに「母ちゃん」的な役が似合っているとは!良い歳の取り方してるなぁと思った。 ヤクザの矢嶋を演じるのが宇梶さんというのも中々にリアル。 こちらも迫真の演技。ふくやを支える八重山役の瀬口寛之さん、でんさんを演じたゴリけんさん、俊之・千代子夫妻の幼馴染・矢部恵理子を演じた林田麻里さんなど福岡ならではのキャスティングも◎。 何気に西村雅彦さんの博多座初登場だったり、見所たっぷりだった。 そして大吉先生!スケトウダラ役で映像出演した大吉さんと華丸さんとのやり取りはまさに漫才。大爆笑だった。 ただ、さすがに前/後半の計140分ほどでは、全てのエピソードを丁寧にやるにはチョット短かい。 釜山の思い出や、明太子作りに苦心する様子、山笠復興の過程は大分端折られていた。 しかし色々と想像しながら観ると泣けるシーンも多々あって。例えば釜山出身の俊之が山笠復興の職に選ばれた場面とか。 ふくやを辞める八重山をフレーフレーと励ますシーンとか。 俊之がレシピを公開して特許を取らなかったというのが実話だと知ったときは驚くと同時に、「これぞ博多!」と。 で、実は一番博多らしさを感じたのがふくやの人々とヤクザが普通に会話しているシーン。これぞ中洲!と思った。昔の浅草とかみたいに、一線は超えない限り、怖いおじさんも堅気の人も共存してるんだよな。 そういう意味では、福岡、博多が好きな人、ドラマも観て色々知ってる人ほど楽しい舞台だと思う。 |
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