彦馬がゆく 2002年3月23日(土)午後2時開演 会場:ル テアトル銀座 作:三谷幸喜 演出:三谷幸喜 音楽:服部隆之 神田彦馬:小日向文世 菊:松金よね子 陽一郎:伊原剛志 金之介:筒井道隆 小豆:酒井美紀 しのさん:瀬川カトリーヌ 桂小五郎:梶原善 坂本竜馬:松重豊 伊東俊輔:大倉孝二 高杉晋作:本間憲一 近藤勇:阿南建治 西郷吉之助:温水洋一 【ストーリー】 江戸幕末期、浅草の写真館を舞台に、実在した写真師、上野彦馬(劇中では、神田彦馬)とその家族たちの目を通し、動乱の幕末を庶民の側から描き出す。 写真を撮りに続々と訪れる幕末の志士達。 彦馬はファインダーの向こうに、一体、何を見たのか? 【客入り】 満杯。10代後半〜60代まで幅広い。女性が多かった。 【感想】 1990年、19993年に、東京サンシャイン・ボーイズが上演した作品の再演。 本作で一番覚えているのは金之介のナレーションにある「兄さんは、新撰組に入隊した後、除隊して、海援隊に入った。もう、無茶苦茶な人生だ」というセリフ。 兄さんというのは、伊原剛志さん演じる陽一郎のことで、弟の言う通り、劇中で新撰組も海援隊も経験する。勿論、そこに政治思想は一切感じられない。 幕末というと、"日本をどうにかしないといけない!"と熱い想いをたぎらせた志士たちが尊王だ、佐幕だと命懸けで戦っていたイメージが強いが、それは今に名が残った一握りの話であって。実際には、深い考えもなく流行りにのる感じで、攘夷だなんだと言っている人もいたと。むしろ、そういう人の方が圧倒的に多かったんじゃないかと思う。 これが武士以外の階級だったり、女性となればなおさら。 彦馬の妻・菊さんにとって大事なのは、攘夷でも開国でもなく"漬物の美味しい漬け方"や"煮物の美味しい煮方"だ。 そして、家族みんなが幸せでいることが、彼女の最大の願い。だからこそ、小豆を振った竜馬に「出て行け〜!」と言い、不相応な夢を抱き、何も考えずに突っ走る陽一郎を「お前に志士まがいの運動が出来るわけがない!」と諌め、彦馬に危険な仕事をやめるように説教する。 そして、素の歴史人物たちがこうした市井の人々と触れ合うシーン。 例えば、近藤勇が「娘に恐がられるので、何か芸をしてやりたい」と打ち明け、ムーン・ウォークを教わり、再開した時に披露するシーンは、(歴史上の近藤の未来を知っているのもあって)グッときた。 あとは、「あの時、村田(蔵六)のデコが・・・(笑)」というセリフも面白かったな。あの広いデコがどうなったんだよ、と。 三谷さんは、村田蔵六のコスプレで写真を撮ったり(パンフレットより)、エッセイでも触れていたり、大村益次郎ファンの模様。 なお会場内のアナウンスは、「只今"You Are The Top"で活躍中の戸田恵子でした」と遊び心あるものだった。 余談ながら、この日は、観劇した後、夜、チャック・ベリー&ジェームス・ブラウンのコンサートを観るため猛ダッシュで国際フォーラムに向かった。懐かしい思い出。 |
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