エッセイ8 お話の続き 中学時代の話。 国語の授業で、「教科書に載っているお話の続きを考える」というものがあった。 タイトルは忘れてしまったが、「貧しい男性が仙人に裕福にしてもらったものの、最終的にお金を使い果たし、身ぐるみも剥がれ、空腹のため、岩の上で力尽きて裸で倒れている」というストーリーだったと思う。 倒れた男のもとに再び仙人がやってくるシーンで終わっており、その続きを考えるというわけだ。 S君の答えはこんな感じ。 仙人は憐れみをもって男を見た。貧しくお金というものに慣れていなかった男は、いざ手にした時、それが永遠に尽きない泉だと錯覚したのだ。生活レベルを上げればさらに上げようとする。人間の欲には際限がない。そして仙人も俗世にいた時分、そのような欲にまみれていた自分がいたことを思い出していた。 恐らく、話の筋を踏まえるとこれは正しい。国語のテスト的には、この答えは"有り"だ。 さすが優等生のS君。 だが平凡でもある。国語の授業なので、本文の主旨を捉えた解答が求められる=そこまでのストーリーの延長である以上、やむを得ないのだが、これではさらなる物語が生まれない。 そう思ったかどうかは知らないが、T君はこんな答えだった。 仙人は男にもう1度チャンスを与えようと思い、食事を置いて立ち去った。 その食事をほおばった男の顔に、少しずつ生気が戻ってきた。 ふらふらと立ち上がった男は再び走り出した。友のもとへ行くために。その命を守るために。 男は心でこう叫んだ。 「待っていろよ!メロス!今いくからな!」 おい!ストーリー違うよ!それ、何度も自殺失敗した人の作品だよ! 思わずツッコミたくなる解答。文字だと面白さが伝わりづらいが、この解答聞いた時、「待っていろよ!メロス!」の部分で笑ってしまった。 待ってるのはメロスじゃなくて、むしろ走ってるお前がメロスだろうよ!! こうして1人、また1人と順番に提出した解答が読み上げられていく。 最後に残ったのはG君。「バレエ団」で登場した彼だ。 仙人は岩に近づいて、男をしげしげと観察した。 男はもっこりしていた。 仙人は「まだまだイケるな」と思い、ニヤリと笑って去っていった。 なんでそうなるんだよ!どれだけ"もっこり"ネタ好きなんだよ! しかも"イケるな"ってなんなんだよ!!ニヤリと笑った意図はなんなんだよ!意図は!!(爆) これには爆笑してしまいました。そこまでのシリアスなストーリーをたったの3行で全部ぶち壊すセンス。 国語のテスト的には0点かもしれないが、G君のクラスにおける存在感は100点だった。 |
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