エッセイ4 バレエ団 私の通っていた中学・高校にはホールがあり、そこで映画や演劇、音楽会などが開かれていた。 仲代達也が出演したこともあり、今考えるとかなり贅沢な内容であった。 ただ、中学生や高校生の全てが芸術への関心に溢れているわけではないのも事実である。 以下は中学生の時のお話。 中学2年の時、ホールに男性だけのバレエ団が来た。 今でこそ私もバレエに興味を持ち、王道ながら"くるみ割り人形"や"眠りの森の美女"は好きな作品だし、"石の花"もいつか観たいと思っている。しかし当時は「バレエ?全く興味無いよ」ってなもんだった。 というか、中2男子でバレエに興味を持っているというのは、割合的に結構少ないと思う。 ホールでの行事は楽しかったのだが、いつも思ったのは連れてくる人選が渋すぎるというか。子供受けより、かなり舞台に足を運んでいる玄人好みの企画だったということだ。 で、話を戻すがホールで公演が始まるのに先駆けて先生が一言。 「おい、くれぐれも失礼なことがないように!絶対に寝るなよ!」 ……いきなり、寝る心配かいな! 先生の不安をよそに、公演がスタートした。 5分後……周囲を見渡したところ、すでに3割が熟睡。 10分後……再び、周囲を見渡したところ、5割が熟睡。 1時間後……先生を含めた8割が熟睡。 おいおい、先生。 アンタまで寝ちゃ駄目じゃん。 と心の中でツッコミながらも、私も睡魔と戦いながらステージを見守っていた。 いや、やはり観るからには何かこう「観て良かった!」と思えるような感動が欲しいではないか。 しかし、私は最後の最後まで特に感動を得るわけでもなく、そんな私の心とは裏腹に公演は無事(?)終了。 終了後、教室に帰る生徒からは「あ〜、やっと解放されたよ♪」とか「疲れた〜♪」という声が上がっていたのが悲しい。 いや、それだけじゃないはずだ!しっかり起きていた人もいる! 私は、クラスメートのG君が真剣なまなざしで踊るダンサー達に魅入っているのを見逃さなかった!! 「彼ならきっと、素晴らしい感想を持っているに違いない!!」 私は一縷の期待(?)を胸にG君のところに行って、彼の公演に対するコメントを求めた。 映画の試写会とかで著名人に突撃インタビューする芸能記者の気分だ。 わくわくしながら聞いた私にG君は、一言こう言った。 「もっこりしてたねぇ♪」 ……中学生の発想は、こんなもんである。 |
|