嵐が丘 2002年1月27日(日)午前12時00分開演 会場:新橋演舞場 作:エミリー・ブロンテ 脚本、演出:岩松了 衣装:前田文子 音響:藤田赤目 振付:前田清実 キャサリン:松たか子 ヒースクリフ:岡本健一 エドガー:鈴木一真 リントン氏:菅野菜保之 リントン夫人:寺島信子 ヒンドリー:山本亨 ネリー・ディ―ン:梅沢昌代 ジョゼフ:斎藤晴彦 イザベラ:細川直美 【ストーリー】 嵐が丘に住む老人・アーンショー。彼には3人の子供がいた。実の子供であるヒンドリーとキャサリン、そして孤児であったヒースクリフだ。 時が経ちアーンショーは亡くなり、3人も成長。キャサリンとヒースクリフは相思相愛となる。 しかし、ヒースクリフに亡き父の愛を横取りされたと思っていたヒンドリーは、そんな2人に辛くあたるのだった。 ある時、キャサリンとヒースクリフはリントン家を訪れ、同家の御曹司・エドガーはキャサリンに惚れる。 キャサリンはエドガーの求婚を受け入れ、そのことを偶然耳にしたヒースクリフは雨の中、外に飛び出していった。 3年が経ち、結婚したキャサリンはリントン家で平和な暮らしを送っていた。 そんなある夜、木陰から顔をのぞかせる男がいた。ヒースクリフが帰ってきたのだ……。 【客入り】 10代後半から60〜70代と思われる高年齢層まであらゆる世代が入っていた。満杯。 【感想】 2002年最初に観た演劇。 原作の"嵐が丘"はエミリー・ブロンテ作の有名な小説。映画や演劇で何度も上映されている古典作品。 エミリー・ブロンテについて少しだけ。彼女は1818年生まれのイギリス人小説家・詩人。 1848年に亡くなるまで200編足らずの詩、フランス語のエッセイ8編を残した。 嵐が丘は、1847年の発表当時は不評だったが、19世紀末〜20世紀に再評価が進み、今では名作と言われるまでになった。 松さんの"セツアンの善人"があまりにも素晴らしかったので、行くことにしたのだが、その直後、演出・岩松了とあるのに気付き、しまった……!と思ったのを覚えている。(夏ホテルの苦い思い出。。) 感想としては、それなりに面白かった。でも物凄い面白い!という程でもなかった。 原作では2代に渡る話が、1代話になった点に賛否両論あったようだが(某評論家はケチョンケチョンに言っていた)、私は独立した作品として楽しめた。 もっともキャサリンがネリーに「エドガーとの結婚をどう思うか」を相談する時、「ヒースクリフと結婚すれば、落ちぶれる」と言ったり、「ヒースクリフは私自身なの」みたいな台詞を言ったりと、愛に対する台詞1つ1つに、その瞬間の突発的な想いも込められているので、原作を読んだ方がより理解出来ると思う。 ただ、ストーリー内の経過時間が長いため、心の変化を全て伝えるには、上演時間が足りなかった。 キャサリンの愛と苦悩が大きくなり、崩壊してゆくのがもう少しゆっくりと描かれれば良かったが、話自体が急ぎ足だった。 あと、ところどころでギャグがあり、観客がその都度律義に笑っていたが、真面目な場面だけに白ける(現実に戻される)ので、邪魔だった。 ……というわけで、公演後、観客全体がスタンディングする程良い劇だったか?という点は甚だ疑問。 ちなみに、終演後歩いていたら観に来ていた松本幸四郎氏とぶつかった。これが1番印象に残っている。 |
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