ラッツィ・バッツィの耳を1000回殴る 2018年7月7日(土)午後1時00分 会場:京都市東山青少年活動センター コンスタンツェ・モーツァルト:橘カレン フランツ・クサヴァー・ジュスマイヤー:戸根亮太 パスターヴィッツ牧師:谷風作 エルマ・クンツェ・リーヴァイ:今井聖菜 【概要】 幻灯劇場の第8回公演。 【感想】 橘カレン、半端ないって。あいつ、未亡人の色気出しながら、めっちゃ笑わしよるもん。 そんなん出来ひんやん 普通。言っといてや。できるんやったら。 藤井颯太郎、半端ないって。あいつ、ちょっと前までコインロッカーにいたのに、めっちゃピアノ弾いてるもん。 そんなん出来ひんやん 普通。言っといてや。できるんやったら。 ……と、「大迫半端ないって」風に始めてみましたが。 今回のお話はこんな感じ。 天才音楽家モーツァルトの妻・コンスタンツェは、夫の死後二人の子供を抱え貧困にあえていでいた。モーツァルトに「ラッツィ・バッツィ(変態クソ野郎)」と呼ばれた出来損ないの弟子ともに、天才の遺作「レクイエム」を完成させて一稼ぎを狙う。 (パンフレットより) 大雨の影響で前日の午後公演が中止になったので今日はどうなることか、と思いましたが。雨も鴨川も落ち着いてきて無事上演。 会場の東山青少年活動センターは、東山区役所併設の小さなステージ。 受付にブースポ動画レポーターの小野さん、そして座席案内に以前、DADAでマリアをやってた松本さん。 そして、ステージ上は、モーツァルトが"魔笛"を完成させた一室。今回も亡霊役の藤井颯太郎さんが、モーツァルトに扮して作曲中。 やがて開演し、橘コンスタンツェと戸根ラッツィバッツィによるやり取りが始まったわけですが。 序盤に思ったのは、ムード作りの上手さ。 元々、モーツァルトの遺作を無茶苦茶にしてしまう、というストーリーや笑える場面もあるという前情報もあり期待度が高かったのですが。未亡人の色気&Sっ気・茶目っ気たっぷりな橘さんとカマっ気たっぷりな戸根さんという役者さんの魅力、さらに舞台美術のセンスも良く「これから面白いものが観れる」ムードは大変高かったです。 実際、2人のやり取りや、その後登場する谷バスターヴィッツ、今井エルマも含め、笑えるシーンは散見されたのですが。 こと笑いに関しては、全体通してちょっと消化不良気味だったなぁ、というのが率直な感想です。 クスリと笑える場面はあるものの、大笑いが取れる場面というのが無かった。(喜劇ってだけで、大笑いさせることを狙った作品じゃないと突っ込まれそうですが。。) これは恐らく、藤井さんの真面目な性格が影響しているのではないだろうか、と推測してみたり。 Twitterや、今回の公演製作現場を紹介したページでのコメントを拝見しても、物凄く真面目な方なので、笑いの取り方も、若干真面目過ぎるきらいがあったように思います。 笑いも話も、あっさりと進んでいった感覚があって、例えば、ラッツィバッツィとエルマが結婚していないことは、バスターヴィッツ牧師に対してもうちょっと捏造で粘って欲しかった。 あとは、もっと音で楽しませてくれる作品だと思っていたので、その点はちょっと期待とは違いました。 イメージとしては、"You Are The Top"みたいに、舞台で曲そのものを作っていくようなシーンがあるのかな、と思ったのですが、実際のところピアノを弾くシーンというのは藤井さんが後半ちょろっと弾いたぐらいだったので。 例えば、 ・コンスタンツェが適当に鼻歌ベースで曲を作る ・指示されるがままに、ラッツィバッツィがその鼻歌をピアノで演奏 ・コンスタンツェ「これでいいじゃない。こうしましょ」 ・ラッツィバッツィ「でもそれじゃ、その前のパートと全然繋がらなくなってしまいますよ!」 ・コンスタンツェ「じゃあ、前のパートもちょっと変えましょうよ」 みたいな感じで、どんどん改悪したり、モーツァルトらしさを出そうとしてバレづらいように、既発曲をそのまま借用しておかしくなったり。 そんな感じの、実際に音を作ることでの笑いというのが無かったのは、ちと残念でした。 ……と書いたものの、個々の役者さん、特に橘カレンさん、谷風作さん(そして戸根さん、今井さんも)魅力的なので、次回作も引き続き楽しみにしたいと思います。 |
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