Mr.Win's Room

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さくら

 

2017年3月4日(土)午後4時開演
会場:gallery+cafe blanka(名古屋)

しおり:佐口由希子
さやか:宇野藍
あおい:有馬奈穂

【概要】
演劇ユニット poco a pocoの初単独公演。
会場のgallery+cafe blankaでは劇とのコラボメニューも販売されていた。

【客入り】
ほぼ満員

【感想】
第1回全国学生演劇祭で好きになったpoco a pocoの公演ということで楽しみにしていたのですが。
いやー、行って良かった。ストーリーは、

親が敷いたレールを真面目に歩き、世間や学校のルールを受け入れてきた私。
そんな私が心を冒険させられる場所。守りたい大事な場所。それは、さくらの木がある秘密の場所。

そんな秘密の場所が、取り壊されてしまうらしい。明日には調査が始まる。
なんとかして止めたい。

そういえば違うクラスに馬鹿な人がいた。
校庭のど真ん中に秘密基地を作って、先生に怒られてもたてつくような、私とは違う、馬鹿すぎて羨ましさすら抱いてしまう人。
あの人なら、何か考え着くかもしれない。(しおり)

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いきなり腕掴まれて、秘密の場所に案内されて、どうやって守ればいいか考えて、って大分無茶苦茶じゃね?
まーでも、そんな仲良かったわけでもないのに、なんか凄い頼られてるし。
時々馬鹿にされてるようにも思うけど、まぁいいか。
楽しいこと考えるのは、あたしの方が得意だよ。

時間がない。でも守りたい。誰から?この場所を何とも思ってない奴らから。
じゃあ、相手にとっても大事な場所にしちゃえばいいんだよ。デコレートすればいいんじゃない?
壊すなんてもったいないって思わせる場所にするんだよ。

ところで名前なんだっけ?しおり?じゃあ、しおりんって呼ぶよ。(さやか)

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しおりのハンドクリームの匂いを辿ってきたら、そこは秘密の場所だった。
目立たなかった私とは随分違う2人だが、しおりもさやかもいい子だ。
楽しいことを始めるのなら、私もそこに加わりたい。(あおい)



こんな感じで、しおりの秘密の場所をデコレートすることになった3人。
ウッド調の温かみに包まれたカフェ地下の小さな空間が、本当に秘密の園のようで。音楽はLisa Loebかな?違ったかも。でもああいう感じで、いかにも女子の青春って感じ。

しおりがさやかをいきなり誘うのも、さほど交流がなかった3人に急速に深い友情が垣間見えるのも、リアルさを求めると説得力に乏しいのですが、そこで、メルヘンな感じが演出する童話っぽさが物凄い利いていて。

絵本のような温かいムードにのって、感情効かせて演じられる、愛憎、無いものねだり、会話劇が心地よかった。

しかし、この後、時が経ち、さくらの木も、デコレーションもそのまま残っている。でも、しおりが不慮の事故で亡くなっていて。。というまさかの展開に。

残った2人が秘密の場所で再会し、さやかが、愛憎混じった感情の先にある気持ちを、ちゃんとしおりに伝えられなかったことを後悔して。
1度、秘密の場所で、しおりと再会した時の会話を、あおいがさやかに伝え、最終的には「たとえさくらの枝が折れてしまったとしても、そこにさくら色のカーテンを敷き詰めて、この場所でまた会おう」と、ざっくりこんな感じでした。


しおりが亡くなったのは、個人的には、かなり唐突な展開で「そっ、そんな!!」と。
というのも、そこまで絶妙に作ってあった、想像で補える余白が「しおりが亡くなった」というかなりヘヴィな断定によって、大分埋められてしまったのと、童話的なムードからリアルな現実に引き戻されたからです。
なので、しおりには生きてて欲しかった。(佐口さんのしおり、不器用系ツンデレ奥手女子ってな感じで可愛かったし)

裏返すと、そこまでの絵本のようなムードが抜群に良くて。
なので、何だかんだでpoco a pocoいいなぁ。観れて良かったと思いました。
無論、しおりが亡くなった後の、宇野さん、有馬さんの熱演も素晴らしく、それも非常に惹きこまれるものでした。

"死"は最初からストーリーの骨子に組み込まれていたのかな?
最初から「しおりの死」ありきで、タイトルも「さくら」だったのか?あるいは、最初は秘密の場所デコレートまでが書かれていて、その後、舞台真ん中にある柱をさくらに見立てて……という形で加わったストーリーなのか?

帰りの電車は、そんなことを考えていたらあっという間でした(笑)


poco a pocoは、3人っていうのがいいですね。
今回もガリ勉タイプのしおりと奔放タイプのさやか、その中間にいるあおいという分かりやすい構図。
メンバーも、小柄で可愛い佐口さん、大人で姉御&そこはかとないエロスを漂わせる宇野さん、温厚で親しみやすい有馬さんとキャラのバランスがとてもいい。
古今東西、3すくみって、物凄いバランスがいい。古くは三国志の劉備、関羽、張飛。ズッコケ3人組のハチベエ、モーちゃん、ハカセとか。

ところで、会場で過去作品の台本を買ったのですが、これがとてもいい。
どの作品も、とにかく"素朴"で、同じ世界観が感じられて。
本作でのしおりとさやかの会話(お互いのスタイルに対して、言い合いしたり、でも認めていたり)も、しっかり"ガーベラ"や"スイートピー"の延長上にあって、でも見せ方は全然違って。

"ガーベラ"、"ストロベリーキャンドル"を未見なのが本当に悔やまれます。
同時に、次回作が凄く楽しみです。



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