Mr.Win's Room

Mr.Win's Room

Home / Profile / Music Works / Essay / Report / Kyushu


イタリア縦断 ボブ・ディランとイタリア芸術探訪の旅 vol.19

【R.I.P Lou Reed】
ミラノ2公演目も無事に終わり、今日も昼は近隣の都市を観光し、夜はボブ。贅沢な日々だ。
今日訪れるのは、ヴェローナ。
ここに、今回の旅直前に、どうしても行きたくなった場所がある。

話は前後するが、この旅直前の10/27、ボブ・ディランと同じぐらい好きなアーティストの1人、ルー・リードの訃報が飛び込んできた。
前年、カリフォルニアでの公演が全てキャンセルされ、大きな手術をしたのは、彼の公式ウェブサイトでリアルタイムで見ていたが、その後、「よりパワーアップしている。ツアーが待ち遠しい」と語っていたのも知っていた。
まさか亡くなるとは思っていなかったので、ニュースで「ルー・リード死去」という文字を見た時は、目を疑った。
トップクラスに好きなアーティストの死に初めて直面したと言ってもいい。

私がルーを知ったのは中学の時。
ビートルズにハマり、ストーンズにハマり……その次にハマったのがヴェルヴェット・アンダーグラウンドだった。(ボブよりも先にハマったのだ)
ロック・ファンなら誰もが通る、バナナの1stを通過し、通過したときには虜だった。

多くの人があの1stアルバムに抱くのは、現実的で退廃的な歌詞だったり、実験的なサウンドだったり……といった部分かもしれないけど、私の場合は、「なんて美しいメロディーなんだろう!」という衝撃だった。

"Heroin"のどんどん加速する高揚感、シンプルなコード、それにルーの淡々としたヴォーカルにモー・タッカーの原始的なリズムは、ルーの持つポップ・センスとジョン・ケイルの実験性がこれ以上ないぐらい調和した完璧な1曲だと思うし、"Sunday Morning"、"Venus in Furs"、Nicoが歌う"Famme Fatale"、"I'll be your mirror"、"All Tomorrow's Parties"。
どれもが美しく、何度聴き返したか。

誰かが「当時Velvetsを聴いた人は少なかったかもしれないが、その誰もがバンドを始めた」と言っていたが、まさにそんな感じだった。

私にとって"Sweet Jane"は最高のロックンロール・ソングの1つ。
何千回、何万回と聴いて、カヴァーして。
ヴェルヴェッツのオリジナル・アルバムは勿論、ボックス、ルーや他メンバーのソロからブートレグまで買って。
タグ・ユール時代だけを収録したBoxまで買って。

初めて彼を生で観た時の興奮は忘れられない。

渋谷で観たルー。
あの時の"Sweet Jane"での興奮はこれまで観たあらゆるライヴの中でもトップ3に入る。

そして、それから3年後の来日公演。結果的にこれが最後に観たルーになってしまった。

ドラムレスのツアーで、賛否両論ありながらも、凄まじい現役感を放っていたルー。
その後、フジロックで来たとき、凄く悩んだけども、「また単独で絶対観れる」と思って行かなかった。。

海外に行くようになって、ルーを海の向こうで見れるかも、と意識しだして。
2年前から毎日のようにルーのホームページの"Appearance"をチェックしていた。

この前のヨーロッパツアーの時は、You Tubeを観ながらツアー序盤は「声がフガフガで年寄りっぽくなっちゃったな」なんて思っていたら、後半どんどん発声がはっきりしていって。
選曲もV.U.時代の曲が沢山出て、次のツアーが楽しみで楽しみで。

近いうち、NYでルーのコンサートを観たいと思っていたのに。。

そんな大好きなルーが、発表した名盤の1つが"Live in Italy"で、84年にイタリアで行われたいくつかの公演を収録している。
そんな公演の1つが、ヴェローナにあるヴェローナ・アリーナで行われたものなのだ。

ルーへの追悼といっては何だが、何度も聴いているライヴアルバムを、収録された場所で聴き、ルーを偲びたい。
そう思ったのだ。

ヴェローナ自体はイタリアでも屈指の観光都市の1つ。旅先として申し分ない。
そんなわけで、朝6時過ぎ、ミラノのホテルを出立。BGMは勿論、ルー・リードである。

次へ

(2013/11/04)


copyright1
(制作:木戸涼)

(C) 2001-2024 copyrights.Ryo Kido