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イタリア縦断 ボブ・ディランとイタリア芸術探訪の旅 vol.10

【Chiesa di San Maurizio al Monastero Maggiore(サン マウリツィオ教会)】
スフォルツェスコ城を出て南に300mほど歩くと白い壁の教会がある。



1503年に建てられたこの教会・サン マウリツィオ教会は、カトリック最古の修道会・ベネディクト派の女子修道院だったところ。

ガイドブックにも乗っていないスポットなのだが、旅のプランを練った際、トリップアドバイザーでミラノの観光地投票でトップになっていて知った。
「壁一杯のフレスコ画が綺麗で、ミラノ一美しい教会」という誘われて来たのだが……本当に美しい!

いくつかの絵を紹介しよう。



まずはイタリア・シエナのカタリーナ。↑左側の女性。
1300年代半ばに実在した人物で、7歳の時にキリストの夢を見て、自分の純潔をキリストへ捧げることを決めたという凄い人。
生涯の殆どを断食し、自分が吐き戻したものも食べていたらしい。

……聖人というよりも超人といった方が良い気がする。
病人や貧者を援助することに人生を捧げ、ローマ教皇とも文通していたという彼女だが、キリストと同じ33歳で亡くなっている。
ちなみに彼女、キリストと神秘の結婚をしたんだとか。

余談だが、カタリーナと聞くと、どうしても大航海時代Uに登場するカタリーナ・エランツォを連想してしまう。
あちらはイスパニアの女海賊で、モデルになったのもカタリナ・デ・エラウソという17世紀前半の人。全く関係はない(汗)

次に右側が、シチリアのアガタ。この女性は、シチリア島を支配していたローマ人権力者から目をつけられたが、その意に従わなかったため、キリスト教徒であることを理由にアガタを捕らえて苦しみを与えた。
拷問の中でアガタは両方の乳房を切り落とされたため、切り落とされた乳房を皿の上に乗せて持つ姿で描かれることが多い。
その乳房の形から鐘職人やパン屋、そして乳癌患者の守護聖人とされているらしいのだが……乳房を切り落とされるって恐ろしいことだぞ!?
しかも、それを皿に載せてニッコリ微笑んでるって、何かが違う気がする。描き方のベクトル、本当に合ってるのか!?
心の中でツッコミつつも、絵そのものは綺麗だ。

他には「ノアの箱舟」のストーリーを描いたものも。

神は地上に増えた人々が悪を行っているのを見て、これを洪水で滅ぼすと「神と共に歩んだ正しい人」であったノアに告げ、ノアに箱舟の建設を命じた。
箱舟はゴフェルの木でつくられ、三階建てで内部に小部屋が多く設けられていた。箱舟の内と外は木のヤニで塗られた。ノアは箱舟を完成させると、家族とその妻子、すべての動物のつがいを箱舟に乗せた。



洪水は40日40夜続き、地上に生きていたものを滅ぼしつくした。水は150日の間、地上で勢いを失わなかった。その後、箱舟はアララト山の上にとまった。



40日のあと、ノアは鴉を放ったが、とまるところがなく帰ってきた。さらに鳩を放したが、同じように戻ってきた。7日後、もう一度鳩を放すと、鳩はオリーブの葉をくわえて船に戻ってきた。さらに7日たって鳩を放すと、鳩はもう戻ってこなかった。

ノアは水が引いたことを知り、家族と動物たちと共に箱舟を出た。そこに祭壇を築いて、焼き尽くす献げ物を神に捧げた。神はこれに対して、ノアとその息子たちを祝福し、ノアとその息子たちと後の子孫たち、そして地上の全ての肉なるものに対し、全ての生きとし生ける物を絶滅させてしまうような大洪水は、決して起こさない事を契約した。神はその契約の証として、空に虹をかけた。




これらのフレスコ画を描いたのがベルナルディーノ・ルイーニという画家。
レオナルド・ダ・ヴィンチの影響を強く受けた人で、この教会の絵を1522年から1529年まで描いた後、1532年に同じミラノで没している。

キリストに関する絵には最後の晩餐や、捕らえられ十字架に処せられるシーンなども。









この後もフィレンツェやヴェローナ、ローマ、パドヴァとあらゆる教会で、壁一面の宗教画を観ることになるが、まず最初に観た場所がこの教会だったというのは幸運だと思う。
規模的にも丁度良く、そして絵自体も分かりやすい。文字が読めない昔の一般民衆になったつもりで聖書の内容を頭に浮かべるのは面白い作業だった。

余談だが、この教会はマクシミアヌス帝時代の遺跡の上に建っており(教会の中庭にはマクシミアヌス帝が建てた塔も現存する)、教会横には考古学博物館もある。
今回は時間の都合で寄らなかったが、興味がある方は是非。

さぁ、では次なる訪問地へ!

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(2013/11/02)



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