Mr.Win's Room

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イタリア縦断 ボブ・ディランとイタリア芸術探訪の旅 vol.8

【Teatro alla Scala(スカラ座)】
さぁ、遂にスカラ座!
残念ながらスケジュールが合わず公演は観れないが、併設されているスカラ座博物館を観るのが今回の目的。
まずはスカラ座本体を撮影。



オペラの殿堂・スカラ座。
その名は、サンタ・マリア・デッラ・スカラ教会の跡地に建てられたことに由来しており、現在の建物は1776年から1778年にかけて建築されたものだ。
1943年8月16日、第二次世界大戦でアメリカの空爆により大破したものの、46年には公演が再開されている。
このスピードからも、イタリアという国の象徴的な場所だということが分かる。


これが、2012-2013年のスケジュール。
はるか昔には、蝶々夫人やトゥーランドットの初演も、この地で行われた。
そしてマリア・カラスが伝説的な「椿姫」公演も。


スカラ座博物館のプレート

スカラ座博物館は1913年に改装された2Fホールで、劇場内部のロビーに直結している。
2Fに上がるまでの階段には過去の公演ポスターが貼ってあり、入るとまず楽器の飾ってある部屋がある。
その左手がロビー。ロビーには関係者の像が飾ってあるが、中央で一際目立つのがトスカニーニの像だ。



トスカニーニ。
イタリアの音楽界を代表する巨匠……と表現するよりも「勇敢な英雄」と呼びたい。
何しろ、独裁政権を築いたムッソリーニがイタリア中の歌劇場に「ファシストの党歌を演奏せよ」と圧力をかけた際も、断固拒否。
ナチスがユダヤ人音楽家の弾圧を始めるや抗議し、ドイツでの指揮をすべて拒否。
一方で亡命した多くのユダヤ人を励ますために指揮をした。

そして1943年7月。最終的に祖国イタリアから亡命せざるを得なくなり、アメリカに拠を移した彼は、コンサートの幕間にムッソリーニ失脚のニュースを知る。
誰もいないステージに走った彼はこう叫ぶのだ。

「独裁は倒れた!」

客席からは万雷の拍手!なんともドラマチックな瞬間だろう。
オペラ好きの知人からこのエピソードを教えてもらったときは鳥肌が立った。

その後イタリアに帰還し、スカラ座再建にも多大な貢献をしたトスカニーニが、こうして像となり立っているのは、まるでスカラ座を守っているように思えた。



さて、このロビーからは劇場内部を覗くことができる。
円形の会場は英国ロイヤルオペラと同じぐらいの大きさ。
ただオケピが英国より深めで、最前列でも座って指揮の様子を見ることはできないだろう。

「ここで(何度も聴いている)マリア・カラスの椿姫が上演され、喝采を浴びたのだ」と思い、写真集で見た様子を頭の中に浮かべてみた。

ヴィオレッタ!

アフルレード!

病気で伏したヴィオレッタのもとにアルフレードが駆け付ける最後のシーン。
決して美声ではないが、持続するマリア・カラス独特の声。その声が頭を駆け巡る。
頭の中で幕が降り、思わず拍手をしたら、舞台上のスタッフが手を挙げてくれた。

ロビーから楽器の部屋へと戻って、改めて博物館の見学だ。
この部屋には木製の鍵盤楽器や沢山の弦がはられた楽器、マンドリンやフルートもある。

その奥に進むと、往年の作曲家やオペラ歌手の肖像画、胸像などが多数。
マスネ、ロッシーニ、ジュディッタ・パスタ……そしてヴェルディ!

処女作・オベルト、ナブッコといったヴェルディ初期の傑作(と、その成功)は、ヴェルディの才能を信じたスカラ座の支配人バルトロメオ・メレッリの後押しもあって実現したもの。
それだけにスカラ座にとっても特別な作曲家だ。

その奥には階段があり、上がると関係者の直筆の手紙など資料館というよりも史料館と言えるアイテムが。

・1914年スカラ座ミュージアム最初のカタログ
・1911年パリのオークションカタログ
・エットーレ・モディリアーニ(画家ではないよ)からのテレグラム
・プッチーニの写真

これらが映写され、さらにワーグナーの手紙、上演されたコスチュームのスケッチ、パオロ・アントニオ・テスト―レのバイオリンなど。

視聴ブースでは、1982年ロンドンシンフォニーオーケストラ(指揮:クラウディオ・アバド)によるヴェルディのレクイエムが聴ける。
ヴェルディ関連では、1901年1月、ヴェルディがグランド・ホテルで食べた最後の食事の献立やミラノ滞在費用リストなどまで展示されていた。

初期の名優たちの紹介コーナーで名が挙がっていたのは、マリア・マリブラン、ニコロ・パガニーニ、ジョアキーノ・ロッシーニなど。

1Fに戻ると、マリア・カラスの肖像画!そして驚くことにヴェルディの本物の髪の毛も飾ってある!

そして最後にショップ・コーナーでトート・バッグなど購入。

ん〜……お腹一杯です(笑)
今度は絶対に公演を観に来よう!と大満足でスカラ座を後にしたのでした♪



さぁ次の目的地は、再びスフォルツェスコ城!
今度は中にある美術館に入ろう!

次へ

(2013/11/02)



(制作:木戸涼)

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