Bob Dylan @ Teatro degli Arcimboldi, Milan, Italy 02.11.2013
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(開演前の会場) |
-Set List- 1. Things Have Changed
2. She Belongs To Me
3. Beyond Here Lies Nothin'
4. What Good Am I?
5. Pay In Blood
6. Waiting For You
7. Duquesne Whistle
8. Tangled Up In Blue
9. Love Sick
(Intermission)
10. High Water (For Charley Patton)
11. Simple Twist Of Fate
12. Desolation Row
13. Forgetful Heart
14. Spirit On The Water
15. Scarlet Town
16. Soon After Midnight
17. Long And Wasted Years
(encore)
18. All Along The Watchtower
19. Blowin' In The Wind
(感想)
いよいよ、昨年9月以来となるボブ!まずはミラノ3公演!
……とその前に昨年から今年にかけてのセットリストの変遷などをおさらいしたいと思います。
2013年11月時点でのスタジオ最新作となる"Tempest"がリリースされたのは2012年9月のこと。
ボブ本人曰く「何でもありなのに、辻褄が合うと思わずにはいられない作品」は、ジョン・レノンについて歌った"Roll On John"、タイタニック号事件についての物語"Tempest"などがリリース前から話題となり、ビルボードチャートでも初登場で3位を獲得。
個人的には、2000年以降にリリースされたスタジオ作中、最もお気に入りの作品になりました。
特にシンプルなロック"Pay In Blood"、シングルカットされた"Duquesne Whistle"、マディ・ウォーターズばりのブルーズ"Early
Roman Kings"がお気に入りで、昨年カリフォルニアで観た際も、「新作からの演奏がないかな」と期待していました。
その際は登場しませんでしたが、同年11月13日のデトロイト公演で"Pay In Blood"が登場したのを皮切りに、"Early
Roman Kings"、"Soon After Midnight"などがセットリストに登場。
特に"Early Roman Kings"は固定曲として定着し、これらの曲を初めて聴けるというのが、今回のイタリアでの楽しみの1つでした。
一方で、若干残念な点も。
従来、ボブのコンサートは、毎晩セットリストが大幅に変化することが追っかける魅力の1つでしたが、今年に入りセットリストがほぼ全曲完全に固定化。
春のアメリカツアーでは、殆どの公演が完全な固定セットリストで、それ以外の日も1〜2曲変わる程度、という内容に。
イタリア直前のドイツ公演でもその傾向は続き、恐らくイタリアでも同じセットリストが続くであろうことが予想されたのです。
もっとも、固定化されたセットリストには個人的にお気に入りの曲が多く、6回とも全く同じ曲でも十分楽しめそうだな、というのが出発前の私の心境でした。
[ミラノ初日]
ホテルを出て20分ほど歩いて到着しましたTeatro degli Arcimboldi!
まずはグッズ売り場から。
お〜、今回はパンフレットが売ってる!そしてTシャツも去年とは違う内容に!
色々と悩んだ末、18ユーロ分購入したのですが。
20ユーロ札をだしたところ、2ユーロのお釣りの代わりに2ユーロの商品(ステッカー)を見せてきて「これでいいでしょ?」と言ってきた。
イタリア人の国民性を感じつつも、混んでいるので、そのままステッカーも買っちゃいました(笑)
ところで今回のTシャツにこんなのがあったのですが。
日本語のシャツがオフィシャルで販売しているとは(笑)
しかも、微妙に日本語おかしいし。公式販売なのに、海賊版っぽい香りがする辺り、ちょっと笑えます。
さて今日の座席は7列目の端。端とはいえ、会場自体が小さく、しかもピアノ寄り(=ボブより)なのは嬉しい限り。
購入したパンフレットを読んでいると、暗くなりいよいよ開演!
1. Things Have Changed
スチュ・キンボールのマイナー調のアコースティックギターに先導され、メンバー登場。
そしてステージが明るくなり、ステージ中央マイクスタンドの前にボブ!!
2013年ツアーの全ての公演でオープニングを飾っているこの曲が、イタリアでもまず演奏されました!
基本的なアレンジは昨年同様ながら、リズムに溜めを作っていた間奏がすっきりとしていました。
ボブのパフォーマンスは、腰に手を当て、横を向くというチャップリンばりにチャーミングなもの。
2. She Belongs To Me
ここからハイライトが続きます。
まずはこの曲!大好きなアルバム"Bringing It All Back Home"より。
実はこの曲、生で聴くのは初めて!?
ジョージ・リセリのドンッドンッという重いスローテンポのドラムスで始まるイントロが絶品で、オリジナル以上に格好いい!
この曲は現在のアレンジがベストと言っても過言ではないです。
ミラノ初日は1番で"She don't look back"の"back"の部分を溜めた後にサラッと捨てるように歌っていて無茶苦茶格好良かった!
3. Beyond Here Lies Nothin
前後が大好きな曲だったので印象薄いですが、去年のアメリカと同じアレンジ……というか、この曲は基本、スタジオverに忠実に演奏されていますね。
"Time Out Of Mind"以降の曲は、アレンジが完全に変わるものと、スタジオverに忠実なものがはっきり分かれていると思います。
前者の代表は"Cold Irons Bound"や"Trying To Get To Heaven"、そして後者の代表がこの曲だったり"Tweedle
Dee And Tweedle Dum"。
4. What Good Am I
ボブの作品中、アルバムとしては"Oh Mercy"が最も好きな私としては、これも物凄く楽しみだった1曲!
初めて生で聴けて嬉しいことこの上なし!!
89年のリリース以降、結構な回数演奏されていますが、いつもスタジオverをベースに、ボブのヴォーカルだったり、ギター、ピアノ、それにブルーズ・ハープなどのプレイで違いが出る曲。
今回もボブが、ヴォーカルを縫うように演奏するピアノで聴かせてくれるアレンジ。
ヴォーカルも"Oh Mercy"の時さながらで感動。
5. Pay In Blood
これも素晴らしいハイライト!"Tempest"の中で最も好きな曲で、去年も期待していた曲だけに今回は物凄く楽しみでした。
ツアーで登場した直後はスタジオver通りの演奏でしたが、すぐにアレンジが変更され、Aメロがマイナー調になっています。
スタジオverが気に入っていたので、このアレンジは最初聴いた時はイマイチと思っていたのですが……、実際に聴くとマイナー調部分での溜め、緊張感が凄い!これはこれで物凄く気に入りました。
この曲でも、"Things Have Changed"同様、センターステージでボブが腰に手を当て、横を向くというパフォーマンス!
6. Waiting For You
ボブが映画"Divine Secrets of the Ya-Ya Sisterhood"のために書き下ろした曲で、ワルツ調の演奏。
2001年における"To Ramona"を彷彿とさせました。
7. Duquesne Whistle
"Tempest"のオープニングを飾る名曲。これも勿論ライヴで聴くのは初めて!
スタジオverのイントロはさすがに再現されませんでしたが、演奏自体はオリジナルに近いもので素晴らしい出来!
あの面白いPV(美女の気を引こうとする若い男が色々あってボコボコになる。同じ街をギャングの親玉のように通り過ぎるボブ)も頭に浮かべながら聴きました。
8. Tangled Up In Blue
これはもう、いつ聴いても鉄板の大傑作ですね。毎回変わるアレンジや歌詞を聴く度に、ボブの拘りが感じられます。
今回はポジティブな強さを感じるアレンジ。1番の歌詞で言うならば、"If her hair was still red"の部分すらメジャー調にして、語りかけるようなアレンジです。
この曲の持つ哀愁を薄めて、その分、ぐいぐいと前に出るようなアレンジには、なんとなくボブの攻めの姿勢が感じられました。
9. Love Sick〜Intermission
前半ラストは"Love Sick"。
これは去年と同様のアレンジ。ブルーズハープ演奏が素晴らしかった!
演奏後ボブが"グラツィエ!"と言った後、休憩のアナウンスをしてステージを後に。この15分間の休憩中、横の席に座っていたイタリア人夫婦と英語で会話したり(昼間のミラノ観光の話をしたら、私たちよりミラノに詳しいわね、と言われた(笑))、もう1度、グッズ売り場を観て過ごし、さあ後半スタート!
10. High Water (For Charley Patton)
休憩を取るようになって以降、二部のオープニングで固定化された曲。
去年と同じく、ドニーのバンジョーが良い味出してます。
11. Simple Twist Of Fate
個人的には2010年の東京以来となるこの曲。
よりスローで"Make You Feel My Love"のような感じもありつつ、シンプルな照明に照らされ微笑むボブが綺麗でちょっと泣けました。
12. Desolation Row
本来なら"Early Roman Kings"が演奏されていた12曲目ですが……あれ?このピアノはもしかして……!
"They’re selling postcards of the hanging"
おお〜〜!!!!キタ〜〜!!!"Desolation Row"!
個人的には"Early Roman Kings"も聴きたかったですが、この曲が演奏された瞬間のミラノっ子の歓声が物凄くて(笑)
セットリストに変化があったということで、嬉しい気持ちに。日替わりで明日以降違う曲も聴けたらいいなぁ♪
演奏は去年のアメリカと同じような感じですが、やはりテンション的にこの晩は最高でした(笑)
13. Forgetful Heart
再びボブがセンターステージに戻って歌っていました。
個人的にはそこまで印象的な曲ではないのですが、日本、アメリカ、イタリアとこうして生で聴いて思ったのは、ボブ自身にとって歌いやすいタイプの曲で、かつブルーズハープを吹く回数も多く、暗い曲という点からもセットリストでのバランスを取りやすい曲なのでは、ということ。
私自身、ライヴのセットリスト決める時は、好き嫌いとは別に、"使いやすい曲"というのがあるので、ボブにとってそんな位置づけの曲なのでは、と推測してみたり。
14. Spirit On The Water
これはもう素晴らしいの一言ですよね。本当に暖かい気持ちにしてくれる00年以降に生まれた名曲の1つです。
チャーリーのギター・ソロが目立つ曲ですが、バンドメンバーが自分のポジションで動かない(目立たないようにしている)のも去年同様。
15. Scarlet Town
これも"Tempest"からですね。比較的早い時期からセットリストに登場した曲です。
アルバムでの印象はTom Waitsっぽい印象を受ける曲でしたが、生で聴いてもその印象は変わらず。
16. Soon After Midnight
そしてさらに"Tempest"から。続く"Long And Wasted Years"も"Tempest"からというわけで、5曲披露されたことに。
この日演奏された19曲中、実に12曲が90年代以降の曲というわけで、いかにボブがリアルタイムのアーティストかがよく分かります。
"Pay In Blood"以外は全てアルバムに忠実な演奏でした。
17. Long And Wasted Years
ボブが再びセンターステージに。
"Tempest"ではそこまで印象に残っていなかったのですが、生で聴いて大好きに!
自由に歌いやすい展開と優雅な伴奏。これぞボブの真骨頂!というような曲ですね。
そしてこの曲の後半、いきなり周囲の観客が席を立ってステージの方に駆け寄るではありませんか!
これは2001年の来日時を思い出す展開!よっしゃ!それなら私も!と自慢の俊足で(笑)、最前列へ!
ステージかぶりつきで目の前3mにボブ!少しだけふっくらしたけど元気そうだなぁ。
ここで本編終了。
18. All Along The Watchtower
そのままかぶりつきでのアンコール1曲目は見張り塔。
2010年来日時のタイトでドラムが暴れるverは素晴らしかったですが、それ以降の流れるような、風のようなアレンジも素晴らしい。
今回は去年と似ていますが、ボブのピアノ、そしてスチュかな?アコースティック・ギターで静かに始まるイントロは格好良かった!後半で一旦、伴奏がフェイドアウト気味になってから、最後に爆発するという点が異なります。もうガンガン頭振って聴いてました。まさに"ディランがパンク!"
19. Blowin' In The Wind
最後はこの曲。途中までグランドピアノを弾いていたボブが後半、センターステージでブルーズハープを吹くと会場からは大歓声。幸せなムードの中、初日は幕を閉じたのでした。
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(2013/11/02)
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