Mr.Win's Room

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ゆめ夢コト


2019年1月13日(日)午後3時30分
会場:旧百三十銀行ギャラリー

【概要】
福岡、北九州を中心に活動している芝居プロデュース劇団・ダブルクラブの#24公演。

【感想】
劇団コックピットの村上真理さんが出演されると聞いたので行った。
行きは若松方面を散策した後、駅前にある八幡のちゃんぽんに寄って、会場へ。
駅からも近く、レトロで良い会場。

ストーリーは、突如空に出現した空飛ぶくじらに導かれ、幼馴染のゆうとかの子が、「ひとの夢を叶える"ゆめうつつ"」を探す人々、遂にはゆめうつつ本人と出会いというドリーミーなもの。

登場人物たちの表の顔、夢、その裏にある本音、悩み。それらが1つ1つほぐされていく中で、村上さんが演じる女が登場。
「あしぶみ」で演じていた昭和の母、「いつか台風いつか」の少女はいずれも素朴で大人しい感じの人物像でしたが、今回は、ゆめうつつによって「目の前に死体だけ残された状態で過去の記憶を消された女」。

自分が殺したのだ……でもなぜ!?と、苦しみながら登場し、ゆめうつつに怒りをぶつけ、軽い調子のゆうとかの子を黙らせ、鼻声になって境遇を呪うかなり狂気感溢れる役柄。

それまでほんわかとしたムードで進んでいた劇の空気を、登場するだけで一変させ、迫力ある声で怒鳴る村上さんの演技は素晴らしかった。
今回の役は、これまでやっていなかったタイプのものだが「こんな演技もできるのか!」と。
苦しみ、うめく時は、本当に鼻声になり、髪を振り乱してもだえる姿。
これだけでも、「この舞台、観て良かった」と思えるレベルで。

その他の演者さんでも、軽妙でいたづらっぽい感じのゆめうつつ(はらえみかさん)、常にテンション高く明るいかの子(石打夏生さん)、二面性のある漁師(藤井幸輝さん)などの演技は個人的に好き。

正直なところ、序盤の時点では「ちょっと子供だましな感じの作品かな」と思っていたのが、中盤、そして村上さんのシーン辺りからどんどん惹きこまれ、最後、色々と真相が分かる辺りではホロリとする良い舞台だった。

かの子がイントロで叫んだ理由とか、キャラクターを知った後で聞くと、単純なのだけど泣ける。

終演後は、そのまま皿倉山に登って夜景も楽しみ、八幡を満喫した1日となった。

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(制作:木戸涼)

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