あるピアニストの話

【lyric】

夜更けすぎのバーでピアノが1台 奴はメロディ弾いてた
でも誰も見やしない お喋りに夢中 なんて寂しい客どもだ
気付いちゃいないのさ 奴は最高のストーリーテラー

絶品のメロディに洒落た言葉まぶし 天使の声でそっと甘く囁いてる

有名税なんて納めたかねえ 奴は時代にも迎合しねえ
知らねといえど聴かない客ども アンタ等に幸あれ

奴はブルーズ弾いた 焦がれる想い、焦る気持ちのせて
けど誰も感じようともしない 旋律の中の音韻なんて
だからよしてくれ ワンパターンな手拍子
見りゃ分かるんだ あんたの本音
無理してる顔なんぞ見たかねえ 義務的なノリにゃ飽き飽きした

女引っ掛けるためだけに来たって見え見えなのさ
けど上等じゃねえか ちょいとは良い酒飲んで鬱憤はらしな

奴はダンスにゃちょいとうるさい方だ 結構上手くやれるはず
けどワンマンバンドじゃブギもくそも何もありゃしねえ
踊るのは無理さ ドラムスのリズムがない
いや、グラスの音がある
けどピアノ弾く手がおざなりじゃ結局どうにもならねえ
だから奴はブルーズ弾いた 命削るように
いつか思い出すだろうこのバーの光景を

しまいに奴は言ったのさ

"さぁステージはこれでお終い"


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