紫式部ダイアリー 2014年12月11日(木)午後7時00分開演 会場:森ノ宮ピロティホール 作・演出:三谷幸喜 紫式部:長澤まさみ 清少納言:斉藤由貴 【ストーリー】 いわずと知れた歴史的女流作家の清少納言と紫式部。 舞台を現代に移した2人は、「あけぼの文学賞」選考会の前夜、選考委員同士、親睦を深めるべくバーで飲むことに。 互いにライバル心や羨望・嫉妬など愛憎入り混じっている2人による、見栄と腹の探りあい、プライドのぶつかり合い。 長い夜の始まりだ……。 【客入り】 20代から60代、それ以上まで幅広い。満杯。 【感想】 三谷作品で、紫式部に清少納言。さらに三谷作品で長澤まさみという意外な組み合わせにも興味があり観劇。 開演前に買ったプログラムによると「(三谷さんが)今まで書いたものの中で、一番、自分の心情を吐露している作品」で、「物を書く人間のコンプレックスや焦りを描いた作品」とあった。 で、確かに作中では、 ・自分のフィールドに才能溢れる若手が登場した時に感じる脅威 ・世間の関心がもっていかれる嫉妬 ・自分の方が上だ!というプライド ・才能だけでなく、外見も良い奴への妬み ・作品を薄っぺらいとけなされることへの不満 ・凄く気になる自分の評判 こういうものが、「才能・ルックスともに優れた若手の紫式部に、焦り嫉妬する清少納言」という構図で描かれていた。 全編通じ、イケイケ気味に会話の主導権を握って攻める紫式部に、防戦気味の清少納言、というムード。 でも、攻撃は最大の防御。紫式部は自分のウィークポイントをつかれないように攻めているようにも見え、後半では「若くてそれなりに才能がある和泉式部が登場して焦ってる!あいつ大嫌い!潰したい!」と本音を漏らすなど弱い面も。 しかし長澤まさみって、ここまでコメディエンヌの才能あったのか! ドラマでも舞台でも活躍していて、コメディもできるといえば、深津絵里さん。 深津さんといえば、ステキな金縛り。今後、長澤まさみも三谷映画で主演する予感。 一方の清少納言は、最初は「源氏物語を読んだことがない」とか言ってたのに、実は無茶苦茶読み込んでいるのが後半バレたり、勝手に紫式部のダイアリーを読もうとしてバレたり、電話口で紫式部の母親やオカマのモノマネさせられたりと、いいように翻弄されて、隙ありすぎ 笑 劇中で笑ったのは、紫式部が自分の名前をネット検索して「紫式部、超絶劣化」というページを見つけて怒るシーン。 「ネットでエゴサして批判のコメントを読んで落ち込む」というのは、三谷さんのエッセイやインタビューで何度も聞いた話なので、絶対それ系のネタは登場すると思っていた(笑) あと清少納言が「枕草子は中宮定子を楽しませるためだけに作った作品だから、人間のドロドロした部分を描くつもりなんて、最初からなかった」というシーンも、自作品へのプライドや拘りが感じられて好き。 酔いがすすんで本音モードになるにつれ、人気作家になった者同士の共感お互いへの敬意も出てきて、最後はあの2人、ひとまず仲良くなった……のだろうか。 多分、もうしばらくは飲んでいたんだろうな。 唯一残念だったのは音楽。 会話が一段落するごとに、ステージ上のバー・カウンターが回転する演出があったのだが、その間流れるバグパイプの音楽が舞台にも紫式部、清少納言にも全然合ってなかった。(そういえば、序盤で"全然"の使い方について、紫式部と清少納言が会話するシーンもあったな) しかしホロヴィッツといい、紫式部といい、コンフィダント絆といい、歴史人物を扱う三谷作品は面白いものが多い。 次は、三谷さんも好きな三国志ものの舞台とか観てみたい。 演義ベースの孔明、周瑜、魯粛あたりでやって欲しいな。 |
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