Mr.Win's Room

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宗像一族の悲劇-山田事件-



どうも、好い〜と九州です。
突然ですが、写真は宗像大社です。生憎この時は曇っていましたが、、綺麗ですよねぇ。

宗像。福岡市からも近く、海の幸が美味しい。玄海とらふぐ、美味しいですよね。
そんな宗像の怪談話をしましょうか。もう大分昔の話です……。

戦国時代の話なんですがね。皆さん陶晴賢って知ってます?毛利元就と厳島の戦いやった人です。
彼、中国地方から九州まで勢力があった大内義隆の家来だったんですが。
その義隆さんを殺して政権を奪った人です。

陶さんが義隆さんを殺した時、義隆さんの寵臣が数十人、後を追って死んでるんですけども。その中に、宗像大社の大宮司だった宗像氏男もいました。
宗像家は大内家に臣従していたので、氏男も山口に出仕していたんですね。

若干23歳の当主(氏男)が突然死んでしまった。困ったのは宗像家の人々です。早く次の当主を決めないと。。
一方、陶晴賢も宗像家を自分の支配下に置きたいってことで、自分と血縁がある宗像氏貞という人を後継ぎに指名してきました。
この人のお母さん、照葉さんが、晴賢の姪だったんですね。
そんなわけで、今の山口県にいた7歳の氏貞は、母の照葉と部下と一緒に、宗像にきたんですよ。

ですが、宗像家の人々からすれば「そがんこつ突然言われても」ってなもん。
そもそも宗像家では、氏貞の伯父(亡き父・正氏の兄)で、氏男の父でもある前々当主の氏続が健在。
その妻・山田の局や、氏男の妻(正氏の娘、つまり氏貞の実姉)である菊姫もいました。

彼らは、70過ぎの氏続が作った息子、千代松丸(氏男の弟)を後継ぎにしたいと考え、反乱を起こしたんですが、鎮圧され、氏続は逃亡。
宗像には山田の局と菊姫がひっそりと暮らすのみに。。
しかし、氏貞の母・照葉は2人の存在が気が気じゃなかった。

照葉さんは、正室でなく正氏の妾だったので、その嫉妬もあったんでしょう。刺客を差し向けて、縁側で髪をすすいでいた菊姫を足蹴りにして殺害。
殺された菊姫の悲鳴を聞いた山田の局は、噂通り刺客が来たと察知。逍遥として斬られ、突き殺されました。
そして侍女たちも皆殺しにあったんですね。。怖いなぁ、、怖いなぁ。。

血だるまの座敷。女たちは、館の外にある穴に投げ捨てられ、屋敷は雑兵たちの略奪に。。ひどいもんです。
その後、氏続は英彦山で見つかり、甥の土橋氏康が出世目当てで殺害。
氏続の最期は、矢でハリネズミのようになって、首を薙ぎ切られたというのだから、恐ろしい話です。

千代松丸とその母も逃げ切れずに殺されました。
追っ手は、3歳の千代松丸と庇う母を槍で串刺しに。。目も当てられないです。

で、こんな凄惨な事件があったとも知らず、氏貞はすくすく成長。15歳になったある日、母・照葉が事故で重傷との報告が入ってきます。。

かけつけると寝込む母と青ざめている侍女。
侍女に問うと、、

照葉様は、お色様(氏貞の妹)と双六をしていたんです。。そしたら、突然、お色様がうめき声を出して、血が上って、長い髪が逆立って、、、照葉様に馬乗りになって、喉を噛み切ったんです。。

そして言うんです。。

"我は、山田の局の怨霊なるぞ!我や菊姫を殺したる因果の報い、思い知らせてくれる!"

仰天した氏貞は、今は元に戻ったという妹のところに駆け付けたんです。すると、お色の髪がみるみる持ち上がり、真っ赤な顔になったんですよ!!

"来たな、氏貞。。我は山田の局。菊姫は異母とはいえ主の姉。氏続は伯父。なぜ殺した!祟ってやる!"

さすがの氏貞もビビッたんですが、なんとか妹を突き倒し、気絶させます。

妹が落ち着いた後、氏貞は家臣を問いただし、あの恐ろしい過去を知ります。そして山田の局たちを殺害した刺客が呪い殺されたことも。。

氏貞は、亡くなった人々を弔うことを決意します。
山田の局たちが埋められた場所に石塔や菩提寺を建てたり。法要したり。
そうした中で分かったのが、宗像の人々にとっては、事件は収束しておらず、後ろめたさや恐怖が根強く残っているということでした。
そして災難が起ころうものなら、全て、事件で殺された人々の呪いだと思われていたんです。

こうした呪いの噂は、氏貞が霊を弔うために色々やった後も変わりませんでした
その後、大友方の豪族が攻めてきた時も、疫病の時も呪いと騒がれ。。
いい加減、氏貞も怒って聖福寺からお坊さんを招いて「怨霊を成敗したい」と相談したんですね。
で、比叡山の日祐上人がはるばる宗像に来て「大釜3つ用意して、怨霊を土に封じ込める」ことになったんです。

そして当日。日祐上人が読経すると雨が降り出し豪雨に。それでも日祐が声をはり上げると落雷が!
氏貞たち列席者は跳ね飛ばされ、大釜は木っ端微塵に。。半ば焦げた檀上で、日祐上人は数珠を手に倒れていました。。
氏貞が肝をつぶしたのは言うまでもありません。。

この一件で懲りた氏貞は亡霊の成敗は諦め、怒りを鎮めるために寺院を建てまくるも、奥さんが不倫するわ、後継ぎに恵まれないわ、氏続を殺した土橋氏康は狂ったので、殺す羽目になるわ。。

氏貞自身も死に際し、呪い殺されたと言われるのを恐れて死を隠すよう遺言。密葬され、葬儀も営まれませんでした。。
こうして宗像家は没落。。

いやぁ、呪いって怖いですね。恨みは買わないようにしましょう。

あ、1つ補足します。
氏貞の妹・お色はあの立花道雪(戸次鑑連)の側室になってます。夫婦仲は良かったようですが病死。
一説では、山田の局たちの命日に自殺したとも。。

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