第4回全国学生演劇祭 公演期間:2019年2月20日 (水)−24日 (日) 会場:ロームシアター京都 ノースホール 【概要】 全国学生演劇祭は、札幌・東北・東京・名古屋・大阪・京都・愛媛・福岡でそれぞれ運営されている学生演劇祭から、推薦を受けた団体が集い上演を行うイベント。 観客賞と審査員賞、それらの合算による大賞が選ばれる。 京都での開催は今回を機に一旦終了。次回は名古屋で開催予定。 【感想】 最後の京都開催となった大会。私的お気に入り作品は、 ・福岡代表 でいどり。 「夕暮れの公園、静寂を忘れて。」 ・名古屋代表 劇団バッカスの水族館 「結婚したら両目を瞑れ」 でいどり。は、人生のボタンをかけ違ってしまったような男女2人による主張の応酬。 足元しか見えないような暗いステージ上で行われる拡声器越し、そして肉声での語りが、ちょっと古くもあり、際立ってもいて。 頭の中では、親不孝通りや冷泉公園辺りがモノクロで流れた。 少なくとも、あのノリは西南学院がある早良区じゃない(笑) 「好いーと九州」中の人としては、贔屓の福岡からこういう作品を届けてくれて有難うという感じ。 なお余談ながら、現実の福岡市は、民間施設の正保育士向け奨学金返済補助事業に8,000万円以上を計上し、潜在待機児童減少も狙い子育て支援に注力している。 劇団バッカスの水族館は、笑うセールスマンでも出てきそうなブラックユーモア溢れる作品。 とにかく出演者が濃く、教祖様役はハマってるわ、その左右に控える男女が、棋士の糸谷元竜王似の男性(吉田さん)と、ドヤ顔がキマってる綺麗なお姉さん系の女性(立花さん)という、なんというか思わず笑っちゃうような絵で。 その3人が教義のセリフをキャッチボールするものだから、家庭はシリアスな状態なのに思わず笑ってしまった。 セリフ言わない時の教祖様のポージングもツボ。 一方、糞父と変わっていく母に挟まれた娘が、ただただ可哀想で。 演じている和田さんも、悲しそうな表情がハマってて、テストを破るシーンとか、普通に見てて悲しくなった。 名古屋って、第一回での佐口さんといい、中学生役がハマる役者さんが多いのは何故だろう(笑) で、今回、大賞を獲ったのはそのどちらでもなく四国代表・楽一楽座の「LIVED」だったのですが、これはもう「おめでとう」としか言いようがなく。 前身の「劇団マシカク」時代含めて3年連続での出場。いつも軽妙な笑える作品で楽しませてくれた楽一楽座は、今回も期待していて。 特に今回は、ストレートに笑わせてくれた団体が感染症ピエロぐらいだったので、順番的にも最後に観た楽一楽座にはスカッと笑わせてくれる作品を求めていた。 ゆえに、若干哀しいトーンもあった今回の作品は、個人的な期待とは若干違うベクトルだったが、少し時間を置いて思い返すと、学生らしいテーマ、灰色めいた青春、何よりも主演・脚本の中西さんの意地を思うと、これ以上大賞に相応しい作品は無かった気がする。 第一回の時、マシカクだったかな、宴夢だったかな。 ツイッターで「審査員に媚びるような作品は絶対に作らない」と宣言してた記憶があって。 その通り、笑いを信じて、さらに学生らしい焦りとか、岡村靖幸的な、どうなっちゃってんだよ的な葛藤を包み込んだ楽一楽座が大賞を獲ったということ自体が出来過ぎのような素晴らしいストーリーに思えた。 というわけで今回の私的お気に入り役者さんは ・鈴木七海 ・関大祐 ・吉田ひろし ・和田奈那 私的特別賞は ・中西一斗 だった。(敬称略。観た順) |
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