エッセイ37 カレー屋 以前、会社の先輩と一緒に出張した時のこと。 出張先に、そこそこ有名なカレー店があったので入ってみた。 その店は、本場さながらのインドカレーが食べれるということだったので、私も先輩も「インドカレー(本場の辛さ)」を注文。 しばらくして運ばれてきたのだが、よくよく見るとスプーンがない。 ただ「インドカレー(本場の辛さ)」がドーン!と置いてあるだけなのだ。 おいおい、スプーン忘れてるよ。店員さんが来たら言おう。 そう思い、私は厨房の方を振り返り、店員さんを探した。 あ、注文を取っている店員さんが戻ってきた。 「すいません、スプーンなかったので2つください」 そう頼むと、妙に店員の顔がひきつっている。 変な店員だと思い、振り返った瞬間、目の前には片腕を白米に突っ込んでいる先輩の姿があった。 私「……」 先輩「……」 うん。確かに本場のインドカレーだよ。でもさ、他のテーブルからスプーンが皿にあたる音、聞こえるよね。。ってか、本気で素手で食うつもりなのかよ!! 先輩の想像を斜め上回る行動に、若干引く私。 そして、後輩に引かれていることを確実に感じ取って、汗をかいている先輩。ちなみに白米に腕を突っ込んだだけで、まだカレーは食べていない。 気の利く店員さんは、スプーンと一緒に、おしぼりも持ってきた。 おもむろに白米から手を引き、おしぼりで手をふく先輩。 「じゃ、食べましょうか」 何事もなかったかのように言う私の声が若干うわずったのは否めない。 カレーの味は苦かった。。 |
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