エッセイ34 破砕治療 先日、尿管結石で入院した。 石ができやすい体質で8年前にも患ったことがあるのだが、本当に痛くて七転八倒したのを覚えている。 その時は、超音波で砕くという治療をされ、具体的には麻酔注射を打たれた後、筒状のマシンに数分間入れられただけで終わりだった。 なので、入院が必要というのは意外だったが、まぁまた超音波で砕くだけだろうとタカをくくっていた。 そして入院し、治療当日。 今回も麻酔注射を打たれたところまでは同じだったが、施術は超音波ではないらしい。 聞いてみると、体外から石に衝撃を与えて砕くという。 あまりイメージがつかめないままにベッドに寝かされ、横にある機械の近くに患部をもっていかされた。 そして数秒後、バシッ!という衝撃が患部に。 どうやら電気ショックみたいなものを患部に当てて石を砕くようだ。ショックレベルには1〜10があるようで最初は1から。 徐々にレベルを上げ、「痛くなったら言ってください」とのこと。 1はまぁ、チクチクする程度なので大したことない。2も大丈夫。しかし徐々にレベルが上がり、7の時点でかなり痛くなってきた。 なので、「あの先生、大分痛くなってきました」と訴えた。 すると、先生は「あ、痛くなってきましたか。でもなってきただけだから、まだ大丈夫ですね♪」と非常に爽やかにレベル8に。 ……いや、先生。"なってきた"というのは言葉のあやで、「すでに大分痛いです」という意味で取って欲しいんですが! ぐっ・・・レベル8!痛い。これは痛いぞ!そう思い、 「先生、レベル8は痛いです」と再び訴えた。 すると、先生は「むむ、痛いですか。しかし弾がもったいないので頑張ってください。あとレベル2つ分ですよっ!」と言い、レベル9に。 もったいないかどうかの問題なのかよっ!しかも弾ってなんだよ!電気鉄砲なのかよっ!! そもそも「痛くなったら言ってください」って言ってたじゃないか!言ってる意味、全然ないよっ! 心の中で怒涛のツッコミをしつつも、痛みの感覚が大分麻痺してきており、まぁレベル10もいけそうだ。ってか、どうせレベル10にするんでしょ! 予想通り、先生が「じゃあ、最後はレベル10です♪」と、やはり爽やかに宣告。 もうどうでも良くなってはいたのだが、一応聞いてみることにした。 もはや退けられることを覚悟でお代官様に年貢の引き下げを直訴するお百姓気分である。 「あの、先生。痛いんですがレベル下げられませんか?」 「あと10発です。石、ちゃんと砕けてますかね〜♪」 ……もはや先生は完全にシューティングゲームのプレイヤー状態である。先生にはレベルを下げるというコマンドは存在しないようだ。 そして治療が終わった。結果的に石は見事に砕け、処置は大成功だった模様。 こっちは疲労困憊。一方先生はゲームに勝った少年のような笑顔。ちょっと羨ましかった。 |
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