エッセイ18 5分前精神 中学校の時の話。 私の通っていた中学では、夏に登山合宿があった。 登山旅行ではなく、"合宿"というのがミソだ。 旅行というと、"和気藹々"とした楽しげなイベントが予想されるが、そんなムードではない。 あくまでも合宿。 "心身を鍛え、団体行動力を養う"という目的を掲げ、そのためにも 「集合時間には必ず5分前精神を心がけること(5分前精神)」 という決まりが"合宿のしおり"に掲載されていた。 わざわざカギ括弧まで付けている辺りに、"合宿のしおり"作成者の並々ならぬ意気込みを感じる。 そうして迎えた合宿。宿泊1日目の朝。 私の班は、朝礼時間(6時30分。なんでこんな早くから朝礼しなければならなかったのかは今もって不明)に遅れないよう、6時25分には朝礼会場に到着した。 しかし、担当の教員がこう言う。 「遅いぞっ!何やってるんだっ!!」 負けじと、班長が言い返す。 「でも、6時25分じゃないですか。ちゃんと5分前精神守ってますよ!?」 すると、教員はこう言った。 「何言ってるんだ!5分前精神を充分に達成するために、それより10分前には集まっていないと駄目じゃないか!」 ・・・我々が 「それなら最初から15分前精神にしてくれっ!!」 と思ったのは言うまでもない。 |
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