エッセイ10 カラス ある日曜日のこと。 早く起きた私が窓を開けると白みかかった空から朝日が差し込んでいて、人もまばら。 良い陽気だったので、散歩した。 プレーヤーには"日曜"とか"朝"に関係するのどかな曲を詰め込み、気分良く歩き、家から30分程の公園まで到着。 公園にある池でアヒルの群れを眺め、のほほんと平和な気分を味わっていた。 さぁ帰ろうかと思い、公園を出て数分。1本道に入ると、そこにはカラスの大群が。。 気分は一気に臨戦態勢。といっても、1匹でさえ苦手なカラスが大群なので正直勝ち目はない。 さてどうしようか。迂回するか。でも、かなり遠回りになるなぁ……などと考えていると、後ろから「ワ〜〜ッ!」っと、大きな声がした。 ビックリして後ろを振り返ると、公園でよく見かけるホームレスのオジサンが仁王立ちし、カラスを威嚇。 カラスの大群はあっという間にカーカー言いながら逃げ去っていった。 「この辺のカラスはね、叫び声に弱いんだよ」と語るオジサン。 「最近は、この辺にもカラスが増えてねぇ……。住み辛くなったよ。世知辛い時代だよ」 しみじみと語るオジサン。 「そうですねぇ」と、無責任な相槌を打つ私。助けていただいた手前、すぐに去るわけにもいかない。 その後、カラスと公園について5分程、話をしてくれた後、「気をつけて帰るんだよ」と言い、オジサンは公園へと戻っていった。 朝日に照らされた背中をチョット丸めながら、哀愁漂わせて渋く帰っていくオジサンは、まるで高倉健さんのようだった!! と、ここでフト思った。 オジサン、アンタなんで私を追ってたんですか? |
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