ホロヴィッツとの対話 2013年03月29日(金)午後7時00分開演 会場:シアターBRAVA! 作・演出:三谷幸喜 音楽・演奏:荻野清子 フランツ・モア:渡辺謙 ウラディミール・ホロヴィッツ:段田安則 エリザベス・モア:和久井映見 ワンダ・ホロヴィッツ:高泉淳子 【ストーリー】 実在した伝説的ピアニスト、ホロヴィッツと彼が弾くピアノを調律したフランツ・モア。 ある日、ホロヴィッツがモアの家で夕食を食べたいと言う。 世界的な巨匠を招くことになり準備にてんやわんやするフランツと妻のエリザベス。 自宅を出るまでに気紛れを発揮し、食事会を中止したいとだだをこねるホロヴィッツ。 モア家についてからもホロヴィッツ、それに妻のワンダも気紛れぶりを発揮。フランツとエリザベスは振り回されることになる。。 【客入り】 30代〜50代が主。女性率高し。ほぼ満杯。 【感想】 実在した伝説的ピアニスト、ホロヴィッツと彼が弾くピアノを調律したフランツ・モアの物語。この題材の面白さと三谷作品ということで行ってきた。 結論から言えば、過去に生で観た三谷作品の中では"You Are The Top"に次いで気に入った。 観劇前は、ホロヴィッツとフランツ・モアの2人による対話がメインで、取り巻きとしてワンダやエリザベスが登場する展開を想像していたのだが、実際には4人全員が主演として絡み合う物語。 よくセリフ覚えられるなぁ!という点でも感動。ちなみに和久井映見さんは今回が舞台初出演。 序盤は気紛れで子供っぽいホロヴィッツ(モアへのプレゼントのチョコレートを密かに食べようとしたり、食事や飲み物に無茶な注文をつけたり、好きなTV番組を観たいとダダをこねたり)と、振り回されるモアたちで沢山の笑い。 しかし、ワンダがモア家の子供たちへの躾に難癖をつけ、「自分の亡き娘・ソニアはそんなことしなかった。こうだった、ああだった」と、始めた辺りから雲行きは怪しくなる。 子供たちを馬鹿にされ、ワンダに対し「ソニアが亡くなったのは、"偉大な芸術家の血を引くソニアは、立派な芸術家にならなければならない"という親のプレッシャーが原因だった」と詰め寄るエリザベス。 慌てて妻を止めようとするフランツ。 そんなフランツに対し、ホロヴィッツは言う。「いいんだ、フランツ。エリザベスの言う通りだ。ソニアには芸術的な才能はなかった。にもかかわらず、ワンダは過度な期待をかけてしまった。あの子は私たちが殺したようなものだ」 フランツは、その後、戦争に巻き込まれ家族を失ったことを回想するのだが、その中で印象的なセリフが。 神はすがるものではない。ましてや恨むものでもない。 この言葉、本当に心に響いた。 何かをするのは人。大変な苦難に出会ったとき、そこから這い上がることができるのは人しかいない。 そんな強さがあるから、人は素晴らしい。神様は、ただ寄り添っていてくれる存在。それでいいんだと。 やがて家に帰ったホロヴィッツとワンダ、フランツ・モアとエリザベスは、会食のことを回想する。 フランツは言う。 "信じられないよ!ホロヴィッツが僕の家のピアノを弾いたなんて!" ラストは、その場面の回想シーン。ホロヴィッツがピアノ椅子に座ったところで終幕。 最後が音楽で終わるのは、"You Are The Top"と一緒だが、あの時は、実際に歌ったので、演奏なしで終わったのは残念だが、まぁホロヴィッツの演奏を再現するのは無理なので。。観劇後の満足感は高かった。 段田さんのホロヴィッツは登場した瞬間、観客が笑うぐらいに足取りの悪いヨボヨボの老人。 奥さんのワンダ(高泉淳子)との軽妙なやり取りは、偏屈親父とそれを上手く操縦する奥さんといった風情で本当に面白かった。 渡辺謙さんは映画ラストサムライのような強いイメージだったが、振り回される優しいおじさん役も合ってた。 パンフレットも実際のフランツ・モアへのインタビューや各出演者と三谷さんとの対談、三谷さんへのインタビューなど充実の内容。観劇後も楽しむことができた。 |
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