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舞台「ジャンヌ・ダルク」


2023年12月24日(日)12時00分開演
会場:オリックス劇場
演出:白井晃
脚本:中島かずき
音楽:三宅純
美術:松井るみ

ジャンヌ・ダルク:清原果耶
シャルル7世:小関裕太
タルボット:福士誠治
傭兵ケヴィン:島村龍乃介
アランソン公:深水元基
マリー・ダンジュー:山崎紘菜
傭兵レイモン:坪倉由幸(我が家)
サントライユ:野坂 弘
クルパン:ワタナベケイスケ
ラ・イール:粟野史浩
ヨランド・ダラゴン:りょう
ラ・トレムイユ卿:神保悟志
ベッドフォード公:岡田浩暉
コーション司教:榎木孝明

2010年に堀北真希、2014年に有村架純が主演した舞台「ジャンヌ・ダルク」。
今回は「城塚翡翠」での好演が印象に残った清原果耶さんが演じるということで観てきた。
前/後半の二部制。終演後、感じたことを箇条書きにしていたので、まずはそのまま貼付する。

(一部)
@旗を持って立つ清原果耶が格好良い!でも戦闘シーンでの「進め〜」、「かかれ〜」の掛け声はちょっと笑った。
A戦闘シーンは、コーエーテクモのゲーム("ロイヤル・ブラッド"とか"三国志"シリーズの攻城戦)をリアルで観てるようで面白かった。
Bベッドフォード公が優秀。タルボットに掛ける言葉に将器を感じる。中の人はこういう役からオネエ役まで幅広い。

(二部)
C神の声が聞こえなくなった清原ジャンヌ。「旗を振る姿」に、不安とそれを振り払おうと力を込める様子が感じられる。
D「神は勝てると言っているのか?」と聞かれる清原ジャンヌ。「勝てます!」ではなく「勝ちます!」なのが絶妙。勝たないといけない、というwillを感じる。
Eなんとか清原ジャンヌを追い込もうとするコーション司教。中の人、かつては"義の人"だったんだよな〜と感慨に浸る。
F渡された手紙を読んで悲しみ、その流れで自分の出自を知り、信念と共に沢山の死に殉ずることを決意。そこから火あぶりまでは怒涛の流れ。
G火あぶりにされるシーンは荘厳ですらあった。
H終演後の挨拶。何度かはけて戻っての間、清原さんはずっと真面目な表情のまま。シャルル7世の即位後も男装のまま戦う劇中のジャンヌ・ダルクとリンクした。舞台が最後まで無事完走しますように。

(全編感想)
I清原果耶の存在感が凄い。既に人気あるが、これからもっと大女優になりそう。アミューズの株価、割安だし投資を検討したいレベル。
Jただ、しっかりし過ぎていて"大人なジャンヌ・ダルク"という感じではあった。イメージではもっと幼さがある。
K幻影の少年がちょい貞子みたいだった。。
L真ん中の奈落は良い演出だった。
M清原ジャンヌが"神の声"を信じ、それをはっきりと声に出し、人々を鼓舞する姿。そして遂にはオルレアンを奪還する姿に"言霊"というものを感じた。
N色々書いたけど、3時間近い作品なのに短く感じた。本当に。終演後スマホをつけて「え?もう3時間も経ってたの?」と思った。面白かった。


数時間経った今、改めてプログラムを読みながら書いているが、概ね感想は変わらず。
ジャンヌ・ダルクというと「正義のために闘う象徴」。
"強い信念を持った女性"というイメージで、清原果耶さんも目に力がある女優さんなので、ハマっていた。

@の掛け声は、妙に低く抑揚のない感じに聞こえたから少しおかしかったのだが、「女性のジャンヌ・ダルクが、男を率いるにあたり、意図的に男っぽい声を出した」のを表現したのかもしれない。

Aはこの作品の大きな魅力だと思う。紅(イングランド)と銀(フランス)という鮮やかな2色がせめぎ合う殺陣は迫力あった。

Bはベッドフォード公が清原ジャンヌに負けて戻ってきたタルボットを労うシーン。相手の力量を冷静に見極め、敗戦の将を労う辺り、曹操みたいだった。中の人=岡田浩暉さんは、最近Tverで「歌舞伎町弁護人 凛花」を観たので、役柄の振れ幅に感服。

Eは榎木孝明さんのこと。私にとっての榎木さんは浅見光彦ではなく映画「天と地と」の長尾景虎。
世間では大コケした角川映画と言われているが、歴史好きとしては幼少期に観た思い出の作品で、いまだに「オン ベイシラマンダヤ ソワカ!」って覚えている。

C、F、G、Iとかは、清原さんのお芝居SUGEE~~!!!という感想。
プログラムの鼎談(清原果耶×小関裕太×白井晃)でも白井さんが清原さんの演技や芝居勘を絶賛していた。
Jは感じたが、でもまぁ異端審問での受け答えを踏まえると、あれぐらい大人びていたのかも。

唯一Kだけはツッコミを入れたい。要所要所で登場する少年、不気味だし、貞子入ってたと思う。そして初演時の少年は高杉真宙だったと知り驚いた。刈谷先輩(舞いあがれ!)じゃないですか。
刈谷先輩といえば、今回のマリー役は倫子さん(山崎紘菜)だったな。

Lは、初演以来続く"舞台床からたくさんの人々が溢れ出てくる"という奈落を使った演出のこと。
大人数のシーンはこれで非常に迫力が出ていた。3Fからだとよく見えて、1度だけ関係ないシーンで奈落を人が横切るのが見えて"え?"となったのだが、気のせいかも。


清原さんは、ジャンヌ・ダルクがハマるんだから天草四郎もハマると思う。
「魔界転生」とかじゃなく、真正面から天草の乱を描く作品でやってくれないかな。
浪人の息子でありながら、自分を救世主と信じる人々のために"神から遣わされた少年"として殉じる姿とか観たい。

他にも、千葉佐那、巴御前、立花ァ千代。強くて凛としたイメージの歴史人物は合いそう。大河ドラマで「立花ァ千代」やるなら清原さんでお願いしたい。「城塚翡翠」みたいな茶目っ気ある役柄と並行して、こういう役柄も継続して欲しいな、と思いました。


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