宝飾時計 2023年2月4日(土)午後5時30分開演 会場:森ノ宮ピロティホール 作・演出:根本宗子 松谷ゆりか:高畑充希 大小路祐太郎:成田凌 板橋真理恵:小池栄子 田口杏香:伊藤万理華 杏香ママ:池津祥子 関一:後藤剛範 勇大:小日向星一 滝本伸夫:八十田勇一 【ストーリー】 主人公のゆりか(高畑充希)は子役から女優として活躍しているが、驚くほど業界に染まれていない。 30歳を迎え、同級生たちが次々と結婚し子供を産んでいく中、「私は何のためにこんなことをやっているのだろう」と自分の存在の意味を見つけられずにいた。 そんな彼女の心を日々支えているのはマネージャーの大小路(成田凌)。 ある日ゆりかのもとに「21年前にやったミュージカルの記念公演のカーテンコールで、テーマ曲を歌ってくれないか?」という依頼が飛び込んでくる。それは彼女の原点となった舞台だった。 仕事を引き受けたゆりかは現場で、当時一緒にトリプルキャストとして主演を務めていた真理恵(小池栄子)と杏香(伊藤万理華)と再会する。 自分の人生を肯定したい3人は、他者を否定することでなんとか自分を保っていた。その会話は21年前も今も変わらない。 過去と現在を行き来しながらゆりかは自分の人生を振り返り、孤独に押しつぶされそうになる。日々増える無力感の中、ゆりかは自分の人生の肯定の仕方を考え始め……。 (公演ウェブサイトより) 【客入り】 立ち見まで出る満員。 【感想】 一言。高畑充希さんは素っ晴らしい。 パンフレットによると、本作は根本宗子さん(作・演出)が高畑充希さんに演じてもらうことを前提として書かれた作品。 そう言われると、確かにそうだなと思う。 無垢で幼いあの表情を持っている高畑さんなら、この作品に登場する"本当は見えないはずの人物"を造っても、それなりに「あぁ確かに」という感じがするし、子役時代からずっと同じ役をやっていると言われたらできそうな気がする。 「かつて同じ役を演じる子役だった3人が全く別々の人生を歩んで再会する」という設定も面白い。 余白もリズムもなく絶えずセリフが続く序盤は正直眠たくなったけれど、やはりそれを見せているから、後半、筋を追いやすい。 時折、真理恵(小池栄子)と関一(後藤剛範)の空気を軽くする軽快なやり取りもあって疲れない。 その辺の配慮というか。この作家さんは「不特定多数の大衆に観てもらう劇を作る」ということを丁寧に考えているバランスの良い方だな、と好感を持った。 物語後半では色々と想像する余地も残してくれていて、この時点で、恐らく観客に満足度を聞いたら平均80点以上はいくと思う。 ……と、そういったことがどうでもよくなるぐらい、終盤での高畑充希さんの歌唱が圧倒的に素晴らしかった。これでもう平均90点以上は間違いない。 なので観終わった直後の感想は「とりあえず高畑さんの舞台は、また絶対観に行きたい」というそれに尽きます。 |
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