頭痛肩こり樋口一葉 2022年9月3日(土)午後5時00分開演 会場:新歌舞伎座 作:井上ひさし 演出:栗山民也 樋口夏子:貫地谷しほり 樋口多喜:増子倭文江 中野八重:熊谷真実 稲葉鑛:香寿たつき 樋口邦子:瀬戸さおり 花螢:若村麻由美 【ストーリー】 激動の明治に生を受け、若くして樋口家の戸主となった一葉(本名・夏子)。 女性でありながら母・多喜と妹・邦子との暮らしを守るために小説を書いて生計をたてることを決意する。 苦悩やしがらみと向き合いながら筆を執る彼女の前に現れたのは幽霊・花螢。 一葉と花螢のユーモア溢れる交流を軸にしたある時代を生きた女性6人の物語。 好景気で浮かれる上層と下層の間で、美しい文体で時代ともに生き抜いたあらゆる階級の女性達の頂上から底までを見た一葉...。 24歳6か月の若さでこの世を去るまで多くの名作を発表した夭折した天才女流作家の"奇跡の14か月"とは...。 (公演チラシより) 【客入り】 40代〜60代が多い印象。7割ほど。 【感想】 "女はこうあるべき"といった価値観や(母親から押し付けられる)世間体、経済的貧乏。 こうした(明治初期の)社会構造に悩まされながらも、小説を書くことで抗った夏子(樋口一葉)。 一方、(最終的に)社会そのものを恨んでも仕方がないと達観した花螢。 両者をはじめ現世社会で苦しんだ人々が、死んでから穏やかに語る最終幕が素晴らしく、唯一、現世に残った邦子に「世間体なんか気にせずに幸せに生きて」と応援するラストはまさに大団円。 「よし、明日からも頑張ろう!」という活力をいただいた。 登場人物たちは現世社会でも、色んな理不尽に苦しめられつつ、ユーモアを忘れず一生懸命生きている。 夏子の母・多喜を演じた増子倭文江さんがパンフレットで「(多喜は)今でいう毒親だが、悪気はなく一生懸命で憎めない」「悲しみや苦しみ、理不尽も沢山あった上で笑い飛ばす、そういう処世術みたいなものが女にはあるんだろうと思います」と書かれていて、実際、舞台上でも各人のコミカルなセリフや動きが笑いを誘う一方、その心情を考えると切ないものもあり、心の振れ幅が広い作品だなと思いながら観た。 最終幕以外で印象に残ったのは、舞台上で起こることの当事者でもあり、観察者でもある夏子が筆をとって机に向かう姿。「実際の樋口一葉もこんな風に書いてたんだろうなぁ」と。 そんな夏子を演じる貫地谷さんといえば「ちりとてちん」! 大好きなドラマの1つなので、のっけから「生B子だ〜!」と。そういう感動もあり、忘れられない舞台となった。 |
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