千と千尋の神隠し 2022年4月16日(土)午後6時00分開演 会場:梅田芸術劇場メインホール 原作:宮崎駿 翻案・演出:ジョン・ケアード 千尋:橋本環奈 ハク:醍醐虎汰朗 カオナシ:辻本知彦 リン/千尋の母:咲妃みゆ 釜爺:田口トモロヲ 湯婆婆・銭婆:朴璐美 【ストーリー】 両親と共に引越し先の新しい家へ向かう10歳の少女、千尋。しかし彼女はこれから始まる新しい生活に大きな不安を感じていた。やがて千尋たちの乗る車はいつの間にか不思議の町へと迷い込んでしまう。その奇妙な町の珍しさにつられ、どんどん足を踏み入れていく両親。が、彼らは不思議の町の掟を破ったために豚にされてしまい……。 【客入り】 20代~40代中心。満杯。 【感想】 ・"動き"が凄い ・"セット"や"衣装"が凄い ・"音"が凄い ・"人"が凄い と4つの凄いが凝縮された、期待を上回る素晴らしい舞台だった。 まず"動き"が凄い。 物語冒頭、「でこぼこ道で揺れる車を表現する千尋親子の動き」に始まり、「走ったり転んだりとアニメの躍動感そのままの動き」、「龍になったハクに乗る千尋を支えたり、釜爺の腕を動かしたりと人力で頑張る黒子の動き」、「切なさを感じさせるカオナシの動き」。 その全てが"凄い"の一言。 次に"セット"や"衣装"が凄い。 美術担当のジョン・ボウサー氏が「能舞台をコンセプトにした」という舞台は、まさに頭にイメージしていた油屋。 原作では少ししか登場しない神様も含め、カラフルな衣装は「生地」に拘り、「動いた時に立体感が見えるシルエット」に拘りと、考え抜かれたものばかり。 これも凄かった。 そして"音"も凄い。 出演者の声は、どれも原作と比べても違和感なく……というか、原作のエッセンスを崩さずに再構築。 さらに舞台用に編曲された音楽はいずれも生演奏。 う~ん、凄い。 というわけで、どの凄さも"人"によるもの。制作スタッフや演者の対談、舞台写真などが収録された豪華パンフレットを読めば、関わった全ての人が、原作に敬意を持ちつつ、新しいものを創ろうと試行錯誤したかが伝わってくる。 原作の企画書で宮崎監督は「今日、あいまいになってしまった世の中というものを(中略)ファンタジーの形を借りて、くっきりと描き出すことが、この映画の主要な課題である」と書いていたようで、作品に登場する舞台もキャラクターも全ては人間を投影したもの。人間をモデルに、人間の力で創り上げられた人間くさい作品。 舞台版の「千と千尋の神隠し」はそんな作品だと思った。 「千とカオナシがポツンと座る、幻想的な水中列車」、「ハクに乗って飛ぶ千尋」などの美しいシーンや、「油屋の雑巾がけ」、「油屋一同がソレソレと綱を引っ張る」楽しいシーンは終わった後も頭の中をグルグルと駆け巡っており、一生忘れられない作品の1つになりました。 |
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