友達 2021年10月9日(土)午後6時00分開演 会場:サンケイホールブリーゼ 作:安部公房 演出・上演台本:加藤拓也 祖母:浅野和之 父:山崎一 母:キムラ緑子 長男:林遣都 次男:岩男海史 三男:大窪人衛 長女:富山えり子 次女:有村架純 末娘:伊原六花 男:鈴木浩介 【ストーリー】 ひとりの男が暮らす部屋に、ある日、見知らぬ9人の「家族」が現れる。 彼らはそれぞれに親しげな笑みを浮かべ、あっというまに男の部屋を占拠してしまった。 何が何だかわからない男は、警官や管理人、婚約者、弁護士に助けを求めるが、この不条理な状況はなかなか理解されない。 あるいは理解はされても、逆に説得される始末だ。 追い詰められた男はこの状況から抜け出せるのか、それとも受け入れるのか。 男を待ち受けていたのは……。(パンフレットより) 【客入り】 20代〜60代、それ以上まで幅広い。満杯。 【感想】 過去幾度となく「自分に都合良い論理で固めた正義」を振りかざす人に遭遇したことがある。 彼・彼女は、その自己完結した論理を少しでも否定されようものなら、すぐさま論点のズレた反論を仕掛けてくる。 その勢いと、ズレているのだが自己完結しているが故の自信満々な言いっぷりに、いかにも尤もらしく聞こえてしまい、(その場では)段々こちらが自身の考えが合っているか不安になってしまうのだ。 本作の「家族」から浮かんだのは、こうした手合いで、「あぁ、いるいる」と思いながら観ていた。 とはいえ、そんな最悪な連中でも、突然押しかけてきた家族でも、顔が有村架純で「俺に好意をもっているようだ」なんて展開になったら、大半の男性なら理性が飛んで、「私も家族にしてください!」と言ってしまうと思う。 だから次女はもう少しブスが演じた方がリアリティーがある。 ……と、こういうことを著名人が言ったならば、SNSで「差別だ!」とか「容姿を侮蔑する言葉はけしからん」云々と袋叩きにあうのが今の世間。 本当に侮蔑や嘲笑なのか。単に説明で使っただけか。場合によっては、むしろ親愛や信頼感ゆえの軽口なのか。 背後に潜む、そうした想いが軽視されたまま、言葉;だけが切り取られてしまい、正義の名の下で執拗に攻撃される。 そうした世間による、善意や正義の押し売りに、複雑な想いを抱いている私にとっては、あの結末に何とも言えない感情になった。 |
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