其礼成心中 2018年8月17日(金)午後3時30分開演 会場:博多座 作:三谷幸喜 演出:三谷幸喜 出演:竹本千歳大夫、豊竹呂勢大夫、豊竹靖太夫など 【ストーリー】 時は元禄16年。 近松門左衛門の「曾根崎心中」が大ヒットし、舞台となった「天神の森」は心中のメッカに。 お陰で森の入口にある饅頭屋の夫婦は「不吉な饅頭」よばわりされ、客が減少。 饅頭屋の主人・半兵衛は堪らず、心中を阻止すべく森にパトロールに出かけ、あるカップルを助ける。 その体験をヒントに、「心中を試みるカップルを連れてきて、妻のおかつが人生相談に乗り、饅頭も売りつける」という商法を思いつく。 このアイディアが当たり、大儲けする夫婦だったが、近松が「心中天網島」という新作を発表したため、今度は網島で、かき揚げ天ぷらを売る天ぷら屋が現れ、あっという間に饅頭屋は赤字に。 怒り心頭の半兵衛は近松に直談判しに行くが、「曽根崎心中の続編を書いて欲しいなら、書く気が起こるような心中をしてみなはれ」と一蹴される。 そんな中、半兵衛夫婦の娘・お福は網島の天ぷら屋の息子と恋仲に。 没落した家を目に、半兵衛は決心する。 「自分たちが心中して曾根崎が話題になれば饅頭が売れる。その金でお福には結婚して幸せになってもらおう」 こうして目立つ淀川で自殺を試みるも苦しくなって死ねなかった2人。 そこに、かつて心中を止めたカップル、全てのきっかけになったおせんと六助が登場。 最終的に上手く結ばれ夫婦になった2人が恩返しにきたのだった。 こうして其礼成の人々による心中騒動はめでたい結末となったとさ。 【客入り】 満杯。年齢層は高め 【感想】 「めんたいぴりり」以来の博多座で観たのは三谷文楽。以前から「面白い!」と聞いており、一度観たかった。 最初、三谷さんの人形が出てきて挨拶(福岡大好きです!など) 劇中も、分かり易い関西弁で進むので、現代劇のノリで楽しめた。 曾根崎心中をベースに、市井の饅頭屋を主人公にするというアイディア自体を気に入ったし、てんやわんやする姿は、今も昔も変わらないなぁと思ったり。 "文楽"を観るのも初めて。人形劇は「三国志」、「平家物語」などで親しんでいたので「久しぶりの人形劇、楽しみだなぁ」ぐらいの感覚だったが、良かった。 あたかも本当に生きているかのように動く人形と、関西弁がまたマッチしていて。 さらには、人間以上にとぼけた表情を見せたりするからコミカルで。いくつかのシーンでは吹き出した。 川で溺れるシーンも、実際の人ではやりようがないし、(体格的に)ちっぽけな人形だからこそ川をゆらゆらとしている様が、"ちっぽけな市井の人"感たっぷりで。 最後に人形たちが勢ぞろいする姿は中々壮観。 動かす人達も、人形1体でも実に沢山の方がやってるんだな(それもあの息の合ったリズムで!)というのが分かり面白かった。 京都でも文楽の公演はあるので、今度は古典的な文楽も観てみたいなと思った作品だった。 |
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