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イタリア縦断 ボブ・ディランとイタリア芸術探訪の旅 vol.6

【Pinacoteca di Brera(ブレラ美術館)】
スカラ座からヴェルディ通りを北へ、そしてブレラ通りに入るとブレラ美術館が見えてくる。



元々、イエズス会(ルイス・フロイスなどで有名ですね)の施設で、あのナポレオンが美術館として整備。
彼の40歳の誕生日を記念して開館された国立美術館だ。


1850年にブレラ美術館のディレクターとなった画家フランチェスコ・アイエツの像

ルネッサンス美術の中でも、特にヴェネツィア派の作品を多く所蔵しており、ジョヴァンニ・ベッリーニの代表作・ピエタがあるのもここ。(ピエタは色んな画家が取り上げている有名な題材なのです)



残念ながら館内は撮影禁止なので、代表的な絵、気になった絵の感想を。(リンクは各作品のgoogle画像検索結果)

Crocifissione / ジェンティーレ・ダ・ファブリアーノ
14〜15世紀に活躍したファブリアーノは、同時代のヨーロッパ共通して見られた国際ゴシック様式の代表的な画家。
この作品では十字架に縛られ、脇から血を流すキリストを悲しみの表情で見る2人の女性(片方はマリア?)、そして2天使が描かれている。
女性の悲しげな表情は、写真以上に痛みを感じさせる。
同作品近くには、フランチェスコ・ディ・ジェンティーレが描いた、縛られているキリストに矢が痛々しくささる絵も展示されている。

ピエタ / ジョヴァンニ・ベッリーニ
亡くなったキリストを左から支えて右手を握るマリア、そして目が泳いでいるようにも見えるヨハネ。
うつろなマリアや、疲れ果てたキリストの表情が生々しかった。
マリアの目の部分にはひびが入っていた。ベッリーニの作品では、他にもキリストを抱くマリアの絵"Madonna col Bambino"もあった。

死せるキリスト / アンドレア・マンテーニャ
生々しさならこちらも負けてない。ベッリーニのピエタと1つ置いて飾ってあるのが"死せるキリスト"。
パドヴァ派の代表格アンドレア・マンテーニャの作品。
十字架から降ろされ横たわるキリストを足の裏から描いた作品で、手足の釘跡が痛々しい。
この人らしい遠近法を駆使した奥行きも他作品とは一線を画していた。

ブレラの祭壇画 / ピエロ・デラ・フランチェスカ
遠近法という意味では、こちらも美術館を代表する1作。
背景となる建物が、完璧な遠近法で描かれている(作者のフランチェスカは、数学や幾何学の研究者としても知られ、「算術論」「遠近法論」といった問題集的な著作まであるらしい)
マリアと(赤ん坊の)キリストを中心に、聖人たちが会話をしているというテーマで、画面の下半分に一列に並ぶ聖人たちが、構図上、抜群の安定感を与えている。
……という予備知識を元に観た本作。予備知識どおりの素晴らしい作品でした。

聖母の結婚 / ラファエロ・サンティ
ラファエロ初期の名作。聖母マリアが大工のヨセフと結婚するシーンを描いている。
さすがにラファエロの作品だけあって、絵として綺麗。かつ宗教画としても厳かで主題が分かりやすいのはさすが。
バックの建物だけでも充分絵としては美しく、マリア、ヨセフ、その2人の手を取る司祭長の表情も品がある。
多くの日本人がイメージしているルネッサンス絵画ってこんな絵だ、という典型的な作品。
ブレラ美術館の作品では、これが一番感動でした。

ちなみに美術館を代表する2作品と同じエリアに展示されているのが、ドナト・ブラマンテの"Cristo alla Colonna"。
これは首に縄をかけられたキリストの訴えるような瞳が印象的な作品。

ところで常設展では無いと思うのですが、奥の方にエコール・ド・パリの画家たちの作品が!!
この中にモディリアーニの「モイズ・キスリングの肖像」があって大興奮!この絵、ネットで調べたら個人所蔵になっていたと思うのだが。
まさかイタリアでキスリング関連の絵が観れるとは思っていなかった。黒い髪の毛にかぶっていて読みづらいですが"KISLING"と描いてありました。
モディリアーニ作品では、「Portrait of a Young Woman」も!
そしてピカソの"Head of a Bull"まで!

そんなわけで大満足のブレア美術館を後に、一旦昼食をとってから、さぁいよいよスカラ座へ!

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(2013/11/02)



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