Mr.Win's Room

Mr.Win's Room

Home / Profile / Music Works / Essay / Report / Kyushu


中島みゆき

 

"縁会"
福岡サンパレス 2013年2月10日

-setlist-
<第一幕>
1. 空と君のあいだに
2. あした
3. 最後の女神
4. 化粧
5. 過ぎゆく夏
6. 縁
7. 愛だけを残せ
8. 風の笛

<第二幕>
9. 3分後に捨ててもいい (Inst.)
10. 真直な線
11. 常夜灯
12. 悲しいことはいつもある
13. 地上の星
14. NIGHT WING
15. 泣きたい夜に
16. 時代
17. 倒木の敗者復活戦
18. 世情
19. 月はそこにいる

(encore)
20. 恩知らず
21. パラダイス・カフェ
22. ヘッドライト・テールライト


【感想】
(※MCはメモに基づいているので、細かくは間違っているかもしれません。何せ沢山喋られていたので。でも、そのどれもが面白かったのが凄い!)

中島みゆきさんといえば、私が生まれる前から常に一線で売れていた方。
そして中学の頃は、"空と君のあいだに"や"旅人の歌"がドラマと共に大ヒット。
高校の頃は、"糸"がドラマと共に大ヒット。
大学の頃、フェイ・ウォンの音楽にハマった時は、彼女がカヴァーした"人間"(アルバム"私の子供になりなさい"に収録された"清流"の中国語カバー)が大好きになり。
社会人になってからも世間で"地上の星"が大ヒット……というわけで定期的に聴いていたアーティストです。

そしてそして!つい最近では、CMで満島ひかりさんが歌う"ファイト!"を聴いて感動し、中島熱に火がつき、オリジナル・アルバムを少しずつ買って聴いていこうという矢先に縁会があることを知り。丁度福岡旅行に合わせて見れることが判明!
入手困難なチケットながら、立見席をどうにかゲットし、初めての中島みゆきコンサートに行ってきました。

当日は朝、小倉の史跡巡り、昼過ぎに博多に戻ってからは黒田家ゆかりの史跡巡りと歩きっぱなし。
立ち見する体力残ってるかなぁ……なんて思いつつサンパレスに。
ここに来たのは2001年、Bob Dylanの来日13公演を追っかけて以来。懐かしい!


(開場前の福岡サンパレスの模様)

立ち見席は2F、3Fの左右4ヶ所に分かれており、開場前にブロックごとに並んでから開演直前に誘導されました。(なのでグッズ売り場は終演後寄った)

開演前に印象的だったのは音楽が全くかかっていないこと。
他のアーティストのライヴだと、大体開演前に何らかの音楽がかかっていますが、この日は一切なし。
なのでムードとしては、オペラの開演前に近い感じでした。

開演のアナウンスがあってから数分。照明が徐々に暗くなりステージが開きます。
よく知っているイントロが流れて1曲目は……おお!いきなり"空と君のあいだに"!!
"ここにいるよ〜"という部分は、"こ・こ・に"を一言ずつ区切って、そして"いるよ↑→〜"こんな感じの節回しで歌っていました。
やっぱり生で聴くと感動です。この曲、2番の歌詞が好きなんだよなぁ。

そして歌が終わり……

"くぉんびゃんわ〜〜"

……!!??グーグーガンモ!?
中島さんの素の声、歌う時と大層違うというのは知ってましたが、実際聞いて衝撃受けました(笑)

「初めて中島のコンサートに来た方は大きな衝撃を受けたかもしれません。"誰だ?これ!"中島です」
「うちのコンサートはジェットコースター・コンサートと呼ばれています」

こんな的確なMCがあり(笑)、2曲目"あした"。
これもしっとりとした良い曲だな〜。

「ツアーは久しぶり。2010年以来です」
「今回の舞台、どうですか?なんか設営途中みたいな中途半端な感じですけど、これで完成したセットです」
工事現場みたいなセットです」
「神戸から始まって今日が千秋楽!」
「私のコンサートは、必ず真ん中あたりでお便り紹介コーナーがあります。ファンの方から頂いたメッセージから漢字が少なくて、平仮名が多い読みやすそうなやつを読んでいます。……で今、私はメッセージカードを持っている。真ん中辺りでお便りコーナーということは、ここまでが2曲。この後が2曲。中島みゆき"ぼったくり"コンサート。いいかもしんない♪でもお互いストレス溜まりそうですね」
「今回は、ちょこちょこ色んな箇所に、お便りコーナーを挟んで喋ろうと思います。これ、どんどんエスカレートするとさだまさしコンサートになります」
「さださんのことは尊敬してます!もしさださんにお便り書くことがあれば、"中島は尊敬申し上げております"と書いといてください」
「熱出した時、さださんのがんばらんばのビデオが頭の中で浮かんで。あの踊っている映像を思い出して立ち直りました。……って、こんなことばっかり言うと、ホントにさだまさしコンサートになるのよね」

(お便り1通目)
・福岡サンパレス行きのバスに乗ったハズが、気づくとマリンメッセ福岡。ファンキーモンキーベイビーのコンサートに行ってしまったのだ。走って走ってサンパレスに来ました。
→逆の人もいたんでしょ〜ね。ファンキーモンキーのつもりがここ来ちゃったら、それなりにビックリですよね。

(お便り2通目)
・鹿児島から来ました。開演時間が早いので、新幹線で日帰りできます。浮いた宿泊代でグッズを買います。
→良い人ね〜!開演時間を早くすると浮いた宿泊代でグッズが売れる。。これから中島のコンサート、全部開演時間早くなったりして。

「最近、世の趨勢からかTVや映画、舞台やCMで私の曲を使ってもらえることが多くなりました。曲を注文される際に、ドラマとかはまだ良いんですが、困るのが報道系の番組です……ってNHKの番組じゃないですよ(笑) TBSのNEWS23から依頼を受けた時、困りました。どんなニュースでも合う曲は作れないので、この際、どんなニュースにも合わない曲を作って渡したら採用されました。これがご縁で筑紫哲也さんとお会いしたりお話する機会が増えました。残念ながら筑紫さんはお亡くなりになりましたが、この曲を歌う時はいつも見ていただいているような気がします。なのでしっかりと歌わなくては。こんな曲がテーマ曲でした」

こんな楽しいMCがあってから"最後の女神"。
これは知っている曲!力強い、温かい曲調が中島さんらしくて良い曲です。
TVで聴いたとおりのアレンジでした。

この曲から知らない曲が続いたのですが、終演後ロビーで公開されていたセットリストを参考に、感想をば。
まずは"化粧"。
ノスタルジックなブルーズハープも入りつつ"愛して欲しいと思っていたなんて馬鹿だね"と歌う失恋ソング……というよりも最後に会いに行く女性の自虐と愛情と。楽しい思い出と、そこへの複雑な感情。この曲がフォーク酒場でかかっていて、涙を目に浮かべた女性が飲みながら黙って聴いている……みたいな絵が頭に浮かびました。
この曲、wikiで調べたら、桜田淳子がシングルヒットさせてるんですね。

「喋った途端に別世界」
「明かりが消えた途端に双子の片割れと代わってるんじゃないか、と思われるぐらいです」
「逆だったら怖いわよね。明るい歌と暗い喋り」

(お便り3通目)
・数日前、人生初のぎっくり腰になった。これじゃコンサートは無理だと諦めかけたけど、なんとか回復して静岡から5時間半かけて来ました。最後まで持つかしら。。
→途中でダメだと思ったら係員に言ってくださいね。お大事に。私も随分前に腰はなりました。ミュージシャンはみんな腰痛持ちですよ。

(お便り4通目)
・ブルーレイでみゆきさんのコンサートを観ていたら、みゆきさんの手相が見えた。みゆきさんは二重生命線という凄い生命力を持った人なんです。結婚線は見えませんでした。
→ありがと。。

(お便り5通目)
・みゆき様、1つだけ残念なことがあります。今回は席が悪く、みゆき様のお姿が全く見えず、見えるのは後頭部だけです。ヤッシー。(←バックバンドの人)
→こんだけ人がいる中で中島が見えない人がいるんだ!(ステージの前の方に出てきて、セットの都合上、後ろの高いところにいるヤッシーに挨拶)

「紫外線アレルギーで普段外に出ない私にとってコンサートは夏。燃える感じが夏で、それが終わるとレコーディングで引きこもりになります。沢山のスタッフたちとツアーをすると、親しみが湧いてきます。仕事する姿は格好いい!アラ、あの人、あんなに格好良かったのねうへへへへ!……って、この笑いがいけないのよ。これが結婚線を消してるのよ」
「このままじゃ、(スタッフを)愛してしまいそ〜〜!!と思ったツアー中盤あたりから、各ミュージシャンに次の仕事の打ち合わせが入ってくるんです。廊下を歩いていると、たまたま次の仕事の電話を聞いちゃうことがありまして。「あとちょっとでこっち終わって、そっち行くの楽しみにしてるから!」……ほ〜。。沸き起こる殺意……はないとして、「あ〜、夏は過ぎてゆくんだな〜」と思って書いた曲を歌います。

中島さん、MC面白すぎ。ここまで楽しい人だと思わなかったのでビックリです。
"過ぎゆく夏"は「全部夏だったでいいじゃないか!」という明るいアップテンポの曲。

"縁"は"縁会"というタイトルだけに選ばれたんでしょうか。
ストリングスなどの大仰なアレンジなのですが、メロディーが綺麗なので、もう少しシンプルな構成で聴きたいかも。
そのままメドレー気味に歌われたのが"愛だけを残せ"。しっとりとした歌声をじっくり聴いていました。
ところでこの曲、wikiによると、松本清張原作の映画「ゼロの焦点」の主題歌だったんですね。
昼間は、小倉の松本清張記念館に行ったし、なんか清張さんの作品、もっと読みたくなりました。

「大阪で5月に追加公演が決まりました!フェスティバルホールのオープニング記念シリーズの1日分出ます。なので今日は(千秋)楽日なのに盛り上がっていいやら下がっていいやら。打ち上げでぶちきっていいのやら、ダメなのやら」
「このコンサートは、途中で休憩がございます。言えてよかった。。始まって何本かの公演では言うの忘れて、休憩前の曲が終わる時、緞帳が下りてきて、お客さんが"中島みゆきのコンサート、意外と短かったな〜"と思ったところをアナウンスで引き止めるわけです」
「一番思い出に残ったのは、かまぼこが立ったこと!東北新幹線に乗っていたとき、マネージャーが電話にでようと立ち上がりまして。その時、お弁当の中身をぶちまけてしまいました。それでサブマネージャーがスネちゃったんですね。お弁当、新しいの買えば?と言っても"いらない。お腹すいてない"と言う。こうなったら仕方ないと好きにさせといたんですが。新幹線から降りる時、うわ〜!という声が!何が起こったのかと見ると、かまぼこが立っている〜〜!すんげ〜もの見た!東海道新幹線は窓に置いたタバコが倒れないそうですが、東北新幹線はかまぼこが倒れない!」

そして「言葉というものに興味があり、歌詞や手紙など書いているんですが。何も言葉を出さないということで伝わることもある、という思いを歌います」といったMCの後、まずピアノだけをバックに演奏されたのが"風の笛
"。
これもメロディアス。間奏のバイオリンも良かった。ラストで、中島さんが笛を吹くという演出も。

ここで幕が下り、第一幕終了。そして、第二幕。
ステージはアダルトな感じに変わっていて、まずはバンド・メンバーによる"3分後に捨ててもいい"。
ジャジーなインスト・ナンバーでした。

続いて"真直な線"。これは好きな曲!
2枚目に最初に買ったオリジナルアルバムが"みんな去ってしまった"なので。(ちなみに1枚目は"私の子供になりなさい")
アルバムではロック・テイストの強い曲でしたが、ここでは完全にジャズ。
ジャズオルガンとサックス、それに中島さんのセクシー衣装(?)がムードを盛り上げていました。
これは個人的にハイライトの1つでした。

「休憩時間が終わって帰ってきてくれて有難うございます」
「第二部は大人な雰囲気でやろうと思い、薄ら寒い格好までしてるのに、喋ると別世界。そしてよりにもよってお便りコーナー」

(お便り6通目)
小さい子供が天海祐希さんをTVで見ると「みゆきさ〜ん」と教えてくれます。私は育て方を間違ったでしょうか?
→え?似てるかな〜。あたしが宝塚ぽいってことですか?天海祐希さんは私も好きなので嬉しいですよ。子供はそのまま育てましょう。(注:これ、多分投稿者は、あま"みゆき"と引っ掛けただけだと思う)

(お便り7通目)
中学生です。学校の部活で走ってます。みゆきさんの歌を聴いてリフレッシュしてます。
こんなアダルトな感じで大丈夫かしら。1人かな?親御さんと一緒かな?(名前を呼びかけるが反応なし) あたしぐらいの歳になると「ハ〜イ!」と真っ先に手を挙げるようになります。

別世界なMCの後は、昭和歌謡っぽい趣の"常夜灯"があり、曲の後半では演奏するバンマスの小林信吾さんの方へ移動。

「(バンマスに)いつも言えていないことがあったら、どうぞ」
小林さん「いつも綺麗だよ」
「……と言い合いながらお互い笑ってるからダメなのよね。演奏中はバンマスも真剣なので、隙が多いのね。背中なんか触りたい放題で2010年の時は沢山触ってたのに、今回セットが変わって触ろうとしても触れなくなってる。でもここからは触れるんだ(と言って、キーボードの足元に手を入れる) いやんって言った?今。なんだかあたしの方がスケベ親父みたいになってます。だから結婚線がないんだな。。」

そして"悲しいことはいつもある"!これは聴きたかった1曲なので嬉しい!
ピアノのイントロの時点で鳥肌立ちました!

そしてここで登場!"地上の星"。これはオリジナル通りの演奏。
1番が終わった時点で拍手喝采。ちなみにこの日、1番終わるごとに拍手が起こった曲は、最初の"空と君のあいだに"、この曲、そして数曲後に演奏されたあの超名曲など。やっぱり有名曲は盛り上がりますね。

「今、12/31のような気がしませんか。あの黒部以来というもの、正しい歌詞歌うと間違っているような気がして何が何やら。NHKの凄いところは、間違った瞬間、歌詞のテロップを消したってことですよ」

この後、メンバー紹介。照明に近い一番暑いところにいる人から紹介。
そして、全員の聴かせどころがある曲を探した……ということで歌われた"NIGHT WING"。
工藤静香さんへの提供曲ですが「人に提供するのは歌いづらい曲が多いな〜というのを改めて感じます」といったMCもありました。
凄いな〜と思うのは、頭の中で「確かに工藤静香が歌ってそうな曲だ」と連想できたこと。
それだけ提供先に合った曲を作っているということだと思います(とか言って、提供前提でなくできた曲だったらどうしよう(笑))

そして"泣きたい夜に"が歌われて……

「ツアーのセットリストを考える時に、近い時期に出したアルバムの曲を入れたりしますが。以前、アンケートで"コンサートで歌って欲しい曲"を訊いたことがあります。そこで上位の曲を歌えばほぼみんな満足すると思ったんですが、ほぼ全ての曲に分かれてました。そこで今回はスタッフに訊いてみました。スタッフなら客観的な意見が出ると思ったんですが、ほぼ全ての曲に分かれてました。アタシはそういう奴なんだと思います。
前のツアーでやったものは避けて、残りから覚えやすそうな、歌が少なくて間奏が長い曲を(笑)選ぶんですが、次の曲は前のツアーで歌ってしまっているんですが、どうしても、ということで歌わせてもらいます」

"今はあんなに悲しくて〜〜"

キタ〜〜〜〜ッ!!!"時代"!!(オリジナルの歌詞は、"今はこんなに悲しくて〜"でしたね)
もう時代を超えた名曲です。これは本当に感動でした。そのまま"倒木の敗者復活戦"が歌われて……

「次の曲は最後に歌ったのが20数年前でした」というMCもあって"世情"が登場!
これ、金八先生の再放送?名場面紹介?みたいな番組で聴いたことがあります。
そうか、何十年も歌われてなかったんだなぁ。なんか時代が時代だけに、歌詞が鋭くせまってきます。
ホール音響の男性コーラスも効果的に使いつつ、緩急たっぷりに歌われました。
本編最後は"月はそこにいる"。この曲、ラストのギターとサックスのソロが良かった!

アンコールは最新シングル" 恩知らず"から。アップテンポなリズムに1Fは総立ち。
2曲目の"パラダイス・カフェ"では、中島さんらしい節回しが何度も聴けました。

「時間をかけて来ていただけて感謝しています。せっかく来て頂いた時間、楽しんでもらおうとやっていましたが、気がついたら楽しませてもらったのは私の方でした。有難う」

そしてアンコールラストは"ヘッドライト・テールライト"。
これプロジェクトXに出て歌ってましたね。悠久の感があるいい曲です。

これで全編終了。帰りにグッズ売り場を覗きましたが、色々売ってるんですね。
パスポートの形をしたスタンプ帳が売っていて、(恐らくは)各公演ごとに会場でスタンプが押せるようになってました。
遊び心ある中島さんらしいグッズ。私はパンフとCDを買って
、セットリストを写真で撮って。この後、中洲の屋台ラーメンまで繰り出したのでした。




(制作:木戸涼)

(C) 2011-2012 copyrights.Kido Ryo