Patti Smith and her band "JAPAN TOUR 2013" 名古屋クラブクアトロ 2013年1月26日 -setlist- 1. Ask the Angels 2. April Fool 3. Redondo Beach 4. Fuji-san 5. Saturday Night in Nagoya〜My Blakean Year 6. Ghost Dance 7. This Is the Girl 8. Dancing Barefoot 9. Beneath the Southern Cross 10. Night Time (The Strangeloves cover) 11. (We Ain't Got) Nothing Yet (The Blues Magoos cover) 12. Born to Lose (The Heartbreakers cover) 13. Pushin' Too Hard (The Seeds cover) 14. Because the Night 15. Pissing in a River 16. Gloria (Them cover) Encore: 17. Banga 18. People Have the Power
【感想】 パティ・スミスのライヴを初めて体験することができました。 2001年〜2003年にはフジロックや単独公演で3年連続来日していた彼女ですが、その後10年間来日なし。 今回の来日は「そろそろ……」という気持ち、そして最新作"Bango"では"Fuji-san"という曲も歌っていたし本人にも「日本のファンにメッセージを発信したい」という特別な思いがあったのではないでしょうか。 私がパティ・スミスの作品を初めて聴いたのは多分高校2〜3年の頃。世間で名盤と呼ばれている"Horses"でした。 その時は、あの粘っこいヴォーカルも含めてピンと来ず、1〜2回聴いただけで終わり。 ところが2005年頃、ヴァン・モリスンを聴きだし、Themの"Gloria"(オリジナルですね)を聴いた時に、頭の中でパティ・バージョンの"Gloria"の冒頭のピアノが駆け巡り。 さらに"Horses"(←曲の方)が無性に聴きたくなり、改めて聴きなおしたところ凄く格好良い。 その後、ベスト盤の"LAND"を購入したら、"Rock N Roll Nigger"!"Because the Night"!"Beneath the Southern Cross"!こんなに凄い曲作ってたのか! そしてトドメは"People Have the Power"でした。 この曲を初めて聴いた時は、心の底からググッと熱い力が湧きあがってきたこと、あまりにも感動的で涙したのを覚えています。 そんなわけで、機会があれば観たいと思っていたパティ・スミス。 2012年にたまたまpiaでチケット検索をしていたら来日とあってビックリ。即座に名古屋&大阪の両公演を購入しました。 まずは名古屋。 開場時間を1時間勘違いしており(!)、慌てて京都を出発したのは16時前。 新幹線の窓からは大雪が降っているのが見え、間に合うかドキドキしながらの現地入りでした。 会場の名古屋クラブクアトロ(パルコの8F)に着いたのは開場時間を10分ほど過ぎた17時10分で、丁度整理番号200番が呼ばれたあたり。 私は260番台だったので、まずはホッ。入口外のグッズ売り場で"Gloria"の歌詞が書いてあるトートバッグを購入。 無事会場入りすると、いや〜さすがに人が沢山!でも、あれ?最前列が空いてる!! なんと思いがけずも最前列を確保!端の方ですがステージ自体の幅が狭いのでバッチリ見える位置!(そしてライヴ開始後、絶好の場所だったことが判明します) 開演までの40分ほどはすることもなく立っていましたが、隣のご婦人方からは「翌日の金沢公演も行く」という声が聞こえたり、後ろの方から「東京のサイン会にも行った」という声が聞こえたりと既に熱気十分。 さぁ開演時間を過ぎメンバーが登場。 ステージには一番左にTony Shanahan(ベース、キーボード)、Jackson Smith(ギター)、後ろにJay Dee Daugherty(ドラム)、中央は勿論パティ・スミス!生で見るパティ!デカい! そしてお〜!レニー・ケイ!一番右側。なんと真ん前だっ!!! そう。私の位置は、丁度レニー・ケイの真ん前だったのです。これは嬉しいなぁ。 笑顔で登場したパティ。1曲目はおお!"Radio Ethiopia"より"Ask the Angels"! リフの格好良いこの曲、オリジナルより大分テンポを落としており、緊張感というよりも暖かい感触を受けました。 腕でアクションつけながら歌うパティ。なんか想像していたよりもずっと温和で親近感がわく感じ。 でも"I know"や"It's wild! wild! wild! wild!"の部分では腕を突き上げていて、これこそパティ! Yeah~~~!! "Thank you" Patti, I love you~~!といきなり観客を惹きこんだパティ。 2曲目は"April Fool"。 この曲、ライヴ後にCDで改めて聴いたのですが、こんなに良い曲だったのか! ライヴではアルバムと同じアレンジで、後半で一旦ブレークする辺り、それとアルバムでは後半手数が多いギターがタイトになっている辺りが違いました。 3曲目は"Horses"より"Redondo Beach"。 オリジナルよりもテンポは遅く、ヴォーカルものどかな感じ。 アクセントのキーボードがなく&ベースがそこまで強調されていないのも含め、緊迫感?アクの強さが無くなった印象。 後半のコーラスはレニー含めバンドメンバーが担当。 その後、一瞬、"Sorry~~~Sorry~~~"と歌ってたけどあれは何かあったのかな? そして4曲目"Fuji-san"。 これもアルバムで聴いた時は、そこまで印象に残らなかったんですが、生で聴いたら無茶苦茶格好良い。 パティ、"Hey"の部分で手を振りかざしてたなぁ。"Oh~~~Fuji-san"の部分は観客にも歌わせていました。 "パティ!"とか"愛してま〜す!"といった観客からの声に表情で反応するパティ。 ここでギターを持ち、レニーの耳元に何か話しかけてから"Keep it secret"と言って、おもむろにAmのコードを弾き始め…… Saturday night in Nagoya. The moon is getting full. Outside snow is falling and the people are crazy, beautiful. Saturday night in Nagoya. Everyone rushing around. Rushing for something.they quickly disappear Everyone wants something. But, we don't want nothing except to be together on saturday in Nagoya. 多分こんな即興詩を歌ってから、そのまま"My Blakean Year"に! この後、「次の曲は大震災と津波で命を落とした人、家族や家を失った人、打ちのめされた人たちに捧げます」というMCがあり、"Ghost Dance"が演奏されました。 "We shall live again"という部分は一緒に歌いました。"再び生きよう"という言葉。 次の"This Is the Girl"では「エイミー・ワインハウスに捧げる」とのMC。 アルバムのライナーノーツではパティは「彼女の死に衝撃を受けてこの曲の詩を書いた」と言ってますね。 亡き命に捧ぐ2曲が終わり、"Thank you, Are you ok?"と尋ねるパティ。 "Yeah~~~!"と客が盛り上がっていると、舞台と客席の間(柵の隙間)には、なぜか係員が登場(笑) この間が絶妙で、不思議そうに目で追うパティ。客席から笑い。 客席から"He is working."との声があり、"He work too hard"とおどけて言ってました。 気を取り直して演奏されたのは"Wave"より"Dancing Barefoot"。 この暗さから盛り上がっていく感じこそ、パティらしい! 手をひらひらさせたりこぶしを握ったりするアクションもこの人らしい。そういえば77年のインタビューで彼女はライヴの間、ギターを持たずに立って歌う時は手をぶらりとさげて歌うボブ・ディランに対し「マイクをつかむの。こぶしを使うの。あなたはハリケーン・カーターというボクサーの歌を歌っているじゃない。だったらこぶしを使うのよ!客とボクシングするのよ!」と言ったなんて話してました。 この曲あたりから演奏後の拍手や歓声がどんどん大きくなったように思います。 続いてのMCでは、日本で訪れた場所について語ったり、好きな翻訳家のアニバーサリーで……といったことを話していたと思うのですが、殆ど聞き取れませんでした。。途中で広島って言ってたと思うんだけど。 続いて"Beneath the Southern Cross"を歌ったんですが、イントロのアコースティック・ギターでパティがミスって、ごめんごめんと言いながら、レニーの胸元に崩れ落ちるという珍しい場面が。 レニーも笑いながら、気を取り直して演奏スタート。 これが本当に雄大で素晴らしく、"Land"でヘビーローテーションしていた1曲だけに、感動。 後半ではギターのジャクソン・スミスが"Wo~~~!"と叫んでました。 さてこの曲の後、通訳の方が登場し、募金額の発表に。 今回のツアーでは、各会場で東日本大震災への募金活動が行われており、250円の募金で一口(だったかな?)の抽選Noがもらえ、パティが引いたくじと一緒の人に、メンバー全員がサインしたドラム・シートがプレゼント!という企画がなされていたのです。 パティからは"この募金は全額、津波と震災で困難を抱えている日本の人々のために使われる"とのコメントもありました。 そしてレニー・ケイのステージに!パティは一旦舞台袖へ。中では、座って飲み物を飲んでました。 ここからのレニーのステージがロックしてて凄かった! The Strangelovesのカバー"Night Time"に始まり、The Blues Magoosの"(We Ain't Got) Nothing Yet"〜The Heartbreakersの"Born to Lose"、そしてSeedsの"Pushin' Too Hard"! どれも盛り上がる曲なので、この日のハイライトの1つと言っても過言ではないでしょう。 "Pushin' Too Hard"の時にはパティがなんと舞台と客席の間(柵の隙間)に! 最前列の客と握手しながら、こっち(レニー側)に来たパティ。なんと真ん前に立ってレニーの方向いて腕上げて盛り上がってる! 目の前2cmぐらいにパティ・スミスがいるって中々体験できないぞ。これは(笑) そこからステージに上がったパティ。 そして演奏後には、"レニー最高!マジ格好いい!"とか"パティ・スミス姉さ〜ん!"といった日本語の掛け声が飛び交って、パティからは"Saturday night in Nagoya~~~coming and Crazy People~~♪"なんて鼻歌が登場。 そしてピアノのイントロ。14曲目は、出たっ!名曲"Because the Night"! スプリングスティーンも頭に浮かべながら聴いてました。"Because the Night"の部分はやっぱり大合唱に。 レニーのステージからこの曲と会場の熱気が一気に上がったところで"Radio Ethiopia"から今度は"Pissing in a River"でクールダウン。 そしてそして!何度も聴いたピアノのイントロがアルバムそのままに……! 遂に来た〜〜!!!!!"Gloria"!!!パティのヴォーカルもアルバムと同じだ! 目の前で"Gloria"が生で歌われてるというだけで、もうゾクゾクしました。 曲がどんどんテンポアップしていくにつれて心臓もバクバク。 最初の"Oh! She looks so good! Oh she looks so fine!"の辺りからはもう言葉では言えません。 さぁ来た!"G"、"L"、"O"、"R"、"Iaiaiaiaia~~~~~~~~~~~~"!! "Glo~~~ria!"の大合唱。背中に感じる圧力で後ろのお客さんもみんな前に殺到しているのがわかりました。 正直、興奮していてあっという間、夢のような嵐のような時間でした。 その嵐のような"Gloria"で本編終了。 しばらくしてメンバーが再び登場!アンコールは新作のタイトル曲"Banga"! メンバーが狼や犬の吼える真似をして、ラスト"Night is a mongrel. Believe or explode."(夜は雑種犬。信じるか、爆発するか)という言葉に導かれるようにドラムの連打が爆発!!! うぉ〜〜!!来た〜〜〜〜!!!!!!!!!"People Have The Power"!! なんともドラマチックな展開で、遂にこの曲が!! 思わず涙出ました。もう感無量でした。 "People Have The Power"の部分は勿論腕を突き上げての大合唱! ライヴハウスということもあり、一体感が半端なかったです。 熱狂する塊が、無我夢中で叫ぶ、文字通り"人々のパワー"を感じました。ちょっと言葉にできないです。 最後に歌にのせてメンバーの名前を紹介(叫んだ)パティ。そして最後に"We are people!"というメッセージが! この辺はパティと観客のコール&レスポンスでした。この日は観客も素晴らしかった! 今思い出しても涙が出るほど感動しました。 曲によってはツバをペッと吐きながら、それでも不思議と品性と愛嬌のあるパティ。正直、期待をはるかに上回るライヴでした。 そしてなんと最後の最後でレニーが前の方の客にピックをプレゼント! 1枚私ももらいました。さらにはその後、スタッフが"Banga"のピックもくれ、さらにさらに通訳の方がセットリストも配布してくれました! そんなわけであらゆる意味で物凄く満ち足りた気分になったSaturday night in Nagoya。 さぁ1日置いて次は大阪公演!! |
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