なにわバタフライN.V もうかなり時間が経ってしまいましたが、7/21に観た戸田恵子さんの一人芝居"なにわバタフライN.V"の感想を書きます。 この作品は、関西を代表するコメディアン・ミヤコ蝶々の生涯を、彼女と彼女を取り巻く男たちを中心に据えて描いた三谷幸喜さん脚本の一人芝居です。 開演時間になるとステージの脇から戸田恵子さんが登場。「これからの2時間、ステージ上は私だけなので、お客さんは嫌でも私を観るしかない」、「舞台序盤や千秋楽でもなく丁度、良い芝居ができるタイミング」など雑談のように話しながら、持ってきた舞台セットを(観客に手伝ってもらいつつ)ステージに並べ、物語がスタート。 幼少期から旅芸人として舞台に立っていたこと、少女時代に好きだった男の子との話、旅一座で兄やんと呼んでいた若手役者と家出した話、三遊亭柳枝との不倫の末の結婚・離婚、南都雄二との馴れ初め、ヒロポン中毒になったことや、南都雄二の入院・死。 彼女の生涯を彩った男たちを、一人ひとり額縁の縁に投影しながら物語り、そして幕が上がりステージへ……というストーリーでした。 事前にwikipediaで簡単なミヤコさんの生涯を読んでいたのですが、大筋同じような内容だったと思います。 2時間を通して飽きることはなかったので、その意味では良い芝居でしたが、正直、絶賛され、再演される程面白い作品とは思えなかったです。 単にミヤコ蝶々という人の生涯を"仕事と恋に生きた"といういかにもありがちな切り口で掻い摘んで説明されたという以上の感想がなかったからです。 彼女を取り巻いた男性たちとの愛憎を深く描くにはあの上演時間では短いでしょうし、作品を通して存在する"なにわ(大阪)の香り"も私の好みではありませんでした。 ただ、(私は違いますが)"戸田恵子ファン"として戸田さんを堪能するには、これ以上の作品はないでしょう。演じる登場人物も主要な人で6〜7人いるし、音も殆どない静かな舞台なので、戸田さんの演技力だけで全てをやってると言っても過言ではない。 三谷作品、しかもコメディアンを主人公にした作品ということで、笑いの多い舞台を期待したら、テイストが違い肩すかしを喰らったというのが正直な感想です。 (2012/09/01) |
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