Mr.Win's Room

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Beach Boys


千葉QVCマリンフィールド 2012年8月16日

-setlist-
1. Do It Again
2. Little Honda
3. Catch A Wave
4. Hawai
5. Don't Back Down
6. Surfin Safari
7. Surfer Girl
8. Don't Worry Baby
9. Little Duece Coupe
10. 409
11. Shut Down
12. I Get Around
13. That's why god made the radio
14. Sail On Sailer
15. Heroes & Villains
16. Isn't It Time
17. Why Do Fools Fallin' Love
18. When I Grow Up
19. Cotton Fields
20. Forever
21. God Only Knows
22. All This Is That
23. Sloop John B
24. Wouldn't It Be Nice
25. Then I Kissed Her
26. Good Vibrations
27. California Girls
28. Help Me, Rhonda
29. Rock'n'Roll Music
30. Surfin' USA

-encore-
31. KOKOMO
32. Barbara Ann
33. Fun, Fun, Fun


【感想】
ブライアンが復活してソロツアーを行ったことは奇跡だった。
そして"Pet Sounds"の全曲演奏が実現したPet Soundsツアーも奇跡だった。
さらには"SMiLE"を完成させてSMiLEツアーをやった時には3度奇跡が起こったと思った。

でもその当時でさえビーチ・ボーイズのリユニオンツアーは夢のような話。
当時マイク・ラヴはリユニオンについて訊かれると"Never say never"("決してない"とは言わない)と言っていた。
この言葉を信じてファンが待ち続けたビーチ・ボーイズの再結成。

去年ブライアンが「最後のソロツアー、最後のロンドン公演」と言った時はもう夢は夢のままなんだろうか、と思った。
いても立ってもいられず追っかけたロンドン公演。ブライアンはまだまだ元気で、ジェフリーは最後に"See you again"と言っていた。
「"See you again"! もしかしてまた会えるのか!!」そんな期待を抱きつつ、数ヶ月後に発表されたビーチ・ボーイズの新作リリース&ツアー!!
"Never say never"は本当だった!夢が叶い、遂にビーチ・ボーイズ来日!!

お盆休みの最中、暑い日本にビーチ・ボーイズのメンバーが遂に到着。ライヴの2日前にはメンバー揃っての会見(この模様はニコニコ動画で生中継された)!
会見ではブライアンが予想以上に饒舌で、「僕たちは50年分のリハーサルをやってきたから、うまくなっていると思うよ(笑)」なんてコメントも飛び出した模様。
ただ新作情報はまだ公開しない予定なのか、ブライアンが喋り過ぎないかしっかりマイクが見張っている感じだった。
アル・ジャーディンは震災でチャリティ・ソングを発表したのもあって「日本の人たちに何かしたいと思い曲を作ったんだ。その利益を全額寄付した。人生は尊いものなのでポジティブにとらえてほしい。いつか被災地で演奏したいと思っているよ」と述べたが、これはビーチ・ボーイズよりアル個人のインタビューで良かったかも。

そんなこんなでいよいよ初日千葉!
前座に星野源、そしてAmerica、最後にビーチ・ボーイズという順番なので、ビーチ・ボーイズ登場までは大分時間がある。
なので開場すぐに行く必要はなかったのだが、気になったのがチケット番号。
チケットにはアリーナA8ブロック78番とあり、(ないとは思いつつも)もしブロックごとに整理番号で入場とかだったら早く行かないと……と、結局開場30分前にはQVCスタジアムに到着した。

並ぶ間、中から前座の直前リハーサルの音が。
せっかくならビーチ・ボーイズのリハーサルが聴きたかったなぁ、と思いつつ
開場時間に。
結局、チケットは整理番号ではなくアリーナ各ブロックの座席ごとに番号が割り当てられていた。
ではグッズでも買おうかと思い売り場に行ったら既に長蛇の列!
どうもメンバー全員のサイン入りパンフが100部売られていたようで、それ目当ての早出客が多かったらしい(facebookのブライアンのページで、サインを書くメンバーの写真が公開されていた)
ちなみに大阪、名古屋では30部ずつ出ていたので、メンバーは合計160部のパンフにサインしたことになる。
残念ながらサイン入りパンフは入手できなかったが、無事に普通のパンフとTシャツ、タオルを買い、再び席へ。

開演時間。まずは星野源が登場。私は全く知らなかったが、若い世代には人気・知名度ともあるらしい。
ただ個人的にはあまり魅力は感じず。私向きではなかった。ボソボソとしてMCもイマイチだった。
私の持論だが前座の役割は場を盛り上げること。だから音楽にせよお笑いにせよ、MCはテンポ良く、大きな声でやって欲しい。
MCで"SMiLE"ボックスの話をして拍手も起こっていたので、どうせなら、もっとビーチ・ボーイズネタを喋ってファンを盛り上げてくれれば良かった。

一方、Americaは知っている曲が複数あった&どれも軽快な曲ばかりだったのでノリよく楽しめた。
特に2曲目でやっていた"You Can Do Magic"!
この曲、会社の昼休みの終わりに必ずかかるので嫌っていうほど聴いている曲。
昼休みも終わりか〜なんて思いながら聴いていた。
60年代に"California"をテーマにした素晴らしい曲がある。ビーチ・ボーイズの曲ではないよ!と言って歌われた"California Dreamin'"も良かった!
後半はクリストファー・クロス(8/18に広島で行われる"Peace for World in HIROSHIMA 2012"出演のため来ていた)が飛び入り参加し、観客からも歓声が!

さぁ、そして……。
Americaの演奏が終わってから30分。空はすっかり暗くなっている。
日中の暑さの余韻が残りつつも、時折運ばれてくる潮風は涼やか。それは、場所は違えどCalifornia feelin'を盛り上げてくれる。



そしてスクリーンにBeach Boysの文字が!
照明が暗くなり、ステージがライトアップされ、サポートメンバーが次々に登場!そしてオリジナル・メンバーを呼び出す!
デヴィッド・マークス、ブルース・ジョンストン、アル・ジャーディン、マイク・ラヴ、そしてブライアン・ウィルソン!!
存命のビーチ・ボーイズメンバーが全員揃ってステージに立っている!それだけで"素敵じゃないか!"と叫びたくなる。
しかし感傷的なムードは合わない。これから始まるのは50年間熟成されたエンターテイメント・ショー!
アリーナ席も総立ち!

マイクが手をひらひらさせて歌い出す。1曲目は"Do It Again"!
マイクの声が数年前のビルボード来日公演よりも出ている!&間奏をブライアンが歌っている!
2人の声が同時に聴こえる!ビーチ・ボーイズなんだ!この時点でまず興奮した。

ハリウッドボウル公演と同じく2曲目で"Little Honda"が登場。初期のサーフィン/ホットロッド・ソングが続く序盤。皮切りはこの曲!
アップテンポなこの曲で一気に弾けた。
オリジナル・ヴァージョンよりもギター色が強いアレンジに。ここで弾いてたのはスコット・トッテンだったかな。
ステージは客席から見て一番左がキーボードを前に座ったブライアン、少し右後ろにジェフリー・フォスケット、前方にデヴィッド、中央にマイク、右隣にアル、そして少し右後ろにスコット・トッテン、一番右前方がブルース。後段一番左がサックスのポール・フォン・マーテンス、キーボード2台を前にダリアン・サハナジャとスコッティー・ベネット、中央後段がドラムのジョン・カウシルとパーカッションのネルソン・ブラッグ、後段一番右側がベースのマイク・ダミコとギターのプロビン・グレゴリー。
ちなみにサポート・メンバーの1人、ニック・ワルスコが来ていなかった。病気で静養中らしい。ニッキーといえばロンドン3公演目で日本語の挨拶をしてくれたメンバー!お大事に!

ここからは"Catch A Wave"〜"Hawai"〜"Don't Back Down"〜"Surfin Safari"と一気に!マイク&ブルースの持つショー感覚!
特に"Don't Back Down"はこんなに美しい曲だったっけ!?と思うほどジェフリーのパートの部分が綺麗だった。オリジナルも聴き返さなくては!

そして最初のMC。マイクが話す。

有難う。僕らは50年目になったビーチ・ボーイズです。次は従弟のブライアンが書いた曲だよ。ラブリー・レディーたちに捧げよう。

"Surfer Girl"!!これも間奏をブライアンが歌うと大きな歓声が!ブライアンがいてマイクがいる。ラストの"Little one~~"の部分は、オリジナルに忠実なアレンジ!ここではジェフリーも活躍!
次が"Don't Worry Baby"。もうこの流れは凄すぎる!
これは去年のブライアン・バンドと同じく、ジェフリーがメイン・ヴォーカル。
丁度よくいい風が吹いてくるんだよな〜、マリンスタジアム!天井なしの気持ちよさを感じながら次はエンジン音がして"Little Duece Coupe"!
この曲の掛け合いハーモニーでマイクとアルのヴォーカルが際立って聴こえてきて、特にアルは単独来日時は行けなかったこともあり、紛れもなくビーチ・ボーイズだ!と感じた。
続く"409"は"Surfin Safari"のシングルカップリング曲!そこから"Shut Down"と、まだまだ続く初期の名曲群!
スクリーンにも60年代の映像が映ったりして気分は完全に当時のカリフォルニア。
"I Get Around"の掛け合い部分はマイク!この辺り(というか終始)ブライアンは置物状態だった(笑)
この曲の最後に確かアルが"ブライアン・ウィルソン~~!!"と叫んでいた。

ジェフリーが時折、ブライアンに「大丈夫?」という感じで聞いていたので多少、体調悪いのかと心配になったが、

僕らの新作"That's why god made the radio"はCD、LP、ダウンロードなど色んな方法で買ってくれたかな?

とマイクが言って、新作のタイトル曲"That's why god made the radio"!
ここでブライアンは自分のパートをしっかりと歌っていたので一安心。。
そして"Sail On Sailer"!
ここでもブライアンがヴォーカル!そして間奏ではいつも通り手振りや肩をすくめる仕草!これですっかり安心!(ただ、以前から痛めている腰がやっぱり痛かった模様。ブライアン、プライベートでも温泉に浸かりに来て欲しい(笑))
今回のブライアン、ところどころわざとワンテンポ、コーラスから遅らせて歌っていた。レイ・チャールズを意識しているのかも。
さらには"Heroes & Villains"もこんなに早い段階で飛び出したから驚いた。
ブライアンのソロ・ツアーでは、これまで"Our Prayer"から演奏するバージョン、"SMiLE"バージョン、それに"Our Prayer"なしで"SMiLE"バージョンで演るバージョンなどあったが、今回は過去、ビーチ・ボーイズがライヴ演奏していたバージョンに近く、"You are under arrest!"以降はSMiLEバージョンに近かった。

もう1曲、"That's why god made the radio"から演ろう。"Isn't It Time"

マイクが言って始まった2曲目の新曲披露。これも昔の曲とよく馴染んでいた。

アメリカの曲を演ろう。フランキー・ライモン&ザ・ティーン・エイジャーズのヒット曲"Why Do Fools Fallin' Love"

とマイクが紹介して歌われたこの曲、ダイアナ・ロスもカヴァーしていたな。
ビーチ・ボーイズバージョンはアルバム"Shut Down vol.2"に収録されているので、これも初期の1曲。
続く"When I Grow Up"も初期なので、この辺はマイクの意思が強いセットリスト。
キーはオリジナルよりも下げていたものの転調も上手くこなしていて良かった!

そして"Cotton Fields"!「次の曲は何十年も前のヒット曲さ」というマイクのMCに続いて始まった時は、本当に嬉しかった!
今回のライヴではアルの健闘が目立ったが、中でもリード・ヴォーカルを取ったこの曲は素晴らしかった!欲を言えば、この曲から"Heroes & Villains"に流れ込むという"Live At Knebworth"の再現も聴きたかったが、両曲とも演ってくれたので満足!
"アリガトウ!"とアルが言った後、マイクが

ビーチ・ボーイズは、ブライアン、デニス、カールの3兄弟、それに従弟の僕がいて……anyway,デニス、カールがスクリーンに映るよ。ブライアン、2人に捧げよう

というと、ブライアンが「ん?」という感じでマイクを見てから"Forever"とボソッと呟き、デニスの"Forever"。
スクリーンには在りし日のデニスの姿が。
ポールのライヴでは、ジョンやジョージの映像をスクリーンに浮かべつつ"Here Today"や"Something"を歌う場面があったが、ビーチ・ボーイズも2人亡くなってるんだよなぁ。なんと往年のデニスのヴォーカルを使っており、それに生演奏がつくというアレンジ!
ブライアンが歌うのを"Pet Sounds"ツアーで初めて聴いた時と同じぐらいの感動だった。

そしてブライアンが

"God only knows"だ。カール・ウィルソンに捧げよう

といって"God Only Knows"!
今度のヴォーカルは勿論カールのもの!カールのヴォーカルに今いるメンバーたちがコーラスをつける、というレア・アレンジは美しかった。

僕とアルはTMやマハリシに影響を受けた。そして沢山の曲を作ったんだ。

そんなマイクのMCで始まったのは"All This Is That"。
しかしマニアックな選曲!この曲が収録されたのはカールが頑張った"Carl & The Passions"だから、ある意味、カールの追悼とも言えるかも。

そしてここからは"Pet Sounds"からお約束の2曲!
まずは"Sloop John B"!ヴォーカルはブライアン!そしてマイク!
アルがヴォーカル取るかと思ったらブライアンだったのは意外。ハーモニーの声質が"Pet Sounds"とほぼ同じで感動。
ちなみにアリーナ席は最初からずっとスタンディング。私は8列目ブライアンの近くだったが、いや〜ノリ良かった!
"Sloop John B"からノンストップで"Wouldn't It Be Nice"に!
ここらでブルース・ジョンストンにもライトを当ててほしかったが、今日は目立つシーンがなかったなぁ、ブルース。
大阪ではどうなるか!?

次の"Then I Kissed Her"ではまたもやアルが素晴らしいヴォーカル!
ブライアンのコーラスはちょっと音を外し気味。
昔さながらのヴォーカルを一番保ってるのはアルだなぁ。
終わった後"アル~~~!!"という声が沢山挙がってたからなぁ。

そして"Good Vibrations"!この曲が出てくるってことはもうすぐ本編終わりだな、と思うと寂しくもあり。。
しかしマイクのヘナヘナ・ダンスとアーティスト然としたブライアンが並んでいるっていう図、まさしくビーチ・ボーイズ。
"Gotta keep those lovin good vibrations~~~"になる前にブライアンが、"ハッ!ハッ!"と手拍子を求める掛け声。

ここからはヒット曲のオンパレード……というか、ここまでもオンパレードだった(笑)
印象的なテルミンの音が消えた後、かかったイントロは"California Girls"!
この曲順、凄く新鮮だ!去年のブライアンのツアーで、2部のオープニングだった印象が強かったので、始まった時「そうだ!今日はまだ演ってなかったんだ!」と思い出した。

続く"Help Me, Rhonda"ではマイクが"Everybody!!","One, two, three, four!!"と歌うように仕向ける。
この辺はブライアン・ソロの時も同じ。

次が"Rock'n'Roll Music"!
"15 Big Ones"からは"That Same Song"を期待したが、さすがに演らなかったなぁ。残念!
"Rock'n'Roll Music"もいいけど、去年ブライアンがカヴァーしてた"Johnny B Goode"も良かったので、個人的にはあっちを演って欲しかったなぁ。ヒット曲はやる、というマイクらしい選曲。

そしてさぁ遂に出た!"Surfin' USA"!
この辺は、両腕突き上げまくり。手拍子もず〜〜っとやってたし、いや〜楽しかった。
"Inside outside USA"の部分、今日は波ポーズはなかったかな。
間奏のキーボードは誰だろ?ダリアンが弾いてたのか?

ここで濃密過ぎる本編終了!
メンバーが戻ってきて「もっと聴きたい?」Yeah~~!!
マイクが法被を着て登場。"Are you ready" Yeah~~!!

広島のために歌おう。平和(Peace!)

と言ってアンコール1曲目は……"KOKOMO"!
クリストファー・クロスも登場していたので、マイクのMCは彼が出演するコンサートの主旨に敬意を表して発言してくれた模様。そして幸せなサウンドが。
マイクのヴォーカルは若干よれていたが、"It dosen't matter!"ってな感じだった。
ハーモニウムの音色も気持ちよく、丁度海風も心地よく。これも今日の白眉の1つだった。
演奏後、ヴォーカルをとったクリストファー・クロスが紹介され拍手を受け、そして!!!

"Good Friends! Tomodachi!" "Everybody, say Yeah~~~"と"Barbara Ann"!
今回はブライアン、立ち上がらなかったなぁ。終始お座りでいつも通りの表情。
その分、サポートのポール・フォン・マーテンスのサックス、それにデヴィッド・マークスのギターが頑張る!

"Thank you so much! Fantastic audience! This next one is "Fun, Fun, Fun"!!

最後は"Fun, Fun, Fun"!!マイクのヴォーカルは数年前に観ているが、その時はステージに上がった客にサイン書くのに夢中で手抜きしてたからなぁ。今日はしっかりと聴かせてくれた!
途中からかな?終わってからかな?ブライアンがおもむろに立ち上がりステージ中央(の後ろ側)に移動していたが、あれは「もう終わりでしょ?」とでも言ってたんだろ〜か(笑)
"We've got Fun! Fun! Fun!!"と叫びたいぐらい素晴らしい出来の"Fun, Fun, Fun"で今日の公演は全て終了。
最高だった!



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