キエフ・オペラ カルメン 2010年10月16日(土)午後4時開演 会場:神戸文化ホール 指揮:アッラ・クルババ 演出:ミコラ・クズネツォフ カルメン:テチヤナ・ピミノヴァ ドン・ホセ:エドゥアルド・マルティニュク 【概要】 カルメンはフランスの作曲ジョルジュ・ビゼーの最後の作品です。 1872年に、パリのオペラ・コミック座から「3幕のオペラ・コミック」を依頼されたビゼーは、フランスの作家プロスペル・メリメの小説「カルメン」(1845年)を題材に選びました。 しかし、劇場側から、社交やお見合いで使われていた場で、カルメンの荒くれた内容は似つかわしくない、と難色を示され、色々と妥協した結果できあがったのがオペラ「カルメン」でした。 初日となった1875年3月3日。前評判は高かったものの、初演は斬新な音楽や不道徳な内容が戸惑われたのか、失敗に終わります。 しかし、その不道徳さゆえに大衆の興味を惹いたのか、徐々に客が増え、初演から3か月後、ビゼーが亡くなるまで33回上演されました。 ビゼーの死後、友人のエルネスト・ギローが作中のセリフ部分をすべてレチタティーヴォ(歌になっているセリフ)に変えたことで人気は爆発。 今なお、世界中で上演される名作となりました。 【ストーリー】 第一幕 j純情な娘・ミカエラが許婚の竜騎兵伍長・ドン・ホセを探しにやってくるがホセはいない。 ミカエラが去った後に登場したホセは、綺麗な娘が訪ねてきたと聞き、ミカエラに会えると喜ぶ。 正午の鐘が鳴り、休憩の女工目当てに若者や兵士たちが群がる。 1番人気はジプシー女・カルメン。カルメンは自由で気ままな恋の歌を歌い、自分に興味を示さないホセに花を投げつける。 ホセは驚くがカルメンに惹かれていく。 再び登場したミカエラは、ホセの母からの手紙を渡す。そこにはホセに「故郷に帰り、ミカエラと結婚して欲しい」という母の希望が書いてあった。 ホセは故郷に帰る決心をするが、その時、高城で騒動が起き、同僚を傷つけたカルメンはスニガ中尉に事情聴取される。 スニガをはぐらかそうとするカルメン。激怒したスニガはホセに、カルメンを監獄に連行するよう命じる。 ホセと2人きりになったカルメンはホセに許しを請い、誘惑する。 カルメンに誘惑されたホセは、彼女を逃がす。 第二幕 酒場で歌い踊るカルメンとその仲間。 スニガはカルメンを誘うが、けんもほろろ。そこに人気闘牛士・エスカミーリョが颯爽と登場する。 エスカミーリョもカルメンに魅了され、口説くが受け流される。 客が去った後、店内では密輸業者のダンカイロとレメンダートがカルメンたちに協力を求める。 自分を見逃した罪で捕まったホセが出獄するのが今晩だと知っているカルメンは、協力をためらう。 遠くからホセの声が聞こえ、カルメンとホセが再開する。 カルメンは、ホセのためにカスタネットを使い踊るが、ホセは、帰営のラッパを聞き、帰ろうとする。 この態度に「私より軍隊が大事なのか」と怒るカルメン。ホセは、かつてカルメンが投げた花を取り出し、愛を歌うが、カルメンには効かない。 そこへスニガがカルメンに会いに来る。嫉妬心からスニガにむかって剣を抜いたホセは、やむなくカルメンたちの仲間に加わる。 第三幕 (第一場) ホセは密輸団に加わったが、カルメンの愛情は既に冷めていた。 カードで占いをするが、「死のカード」ばかり出ることに苛立つカルメン。 そんな中、ミカエラがホセを探しに登場。 彼女はホセを無事取り戻せるように祈り、歌う。そして、ホセを見つけ呼びかけようとするが、そこに銃声が響き渡る。 銃声は、見張りをしていたホセが、エスカミーリョを見つけ発したものだった。 エスカミーリョはホセに、「カルメンに会いに来た」と告げるが、ホセは「自分こそカルメンの恋人だ」と主張する。 ナイフを手に乱闘になるが、カルメンが止めに入る。 自分の命を救ってくれたと喜ぶエスカミーリョ。 '(第二場) エスカミーリョと愛し合うカルメン。その後エスカミーリョは闘牛へ。 そこによりを戻そうとホセがやってくる。カルメンは冷たくあしらい、エスカミーリョが活躍する闘牛場の中に入ろうとするが、ホセが制止する。 「私は自由よ!止めたければさせばいいわ!」と言って、かつてホセからもらった指輪を投げつけるカルメン。 ホセは逆上し、カルメンを刺す。 倒れて絶命するカルメン。そこにエスカミーリョたちが戻る。彼らが見たのは死んだカルメンと、「俺が殺した!俺のカルメン!」と絶叫するホセだった。 (パンフレットより抜粋) 【客入り】 年齢層高めも若年層チラホラ。満員) 【感想】 私が初めて観たオペラはカルメンでした。当時はストーリーをしっかり理解していなかったので、「また観たいなぁ」と、常々思っていたのですが。 そんな折、丁度良くキエフ・オペラの来日公演で"カルメン"が上演されると知ったので行ってきました。 会場の神戸文化ホールには初めて行ったのですが、JR神戸駅から歩いて10分ほどのところ。 楠正成の墓がある湊川神社に沿って坂を上がって道路の向かいにあります。 会場に着くと、有名な演目ゆえか若い人の結構いました。 公演中、一番の私的ハイライトは、何といっても第二幕! 酒場でジプシー・ダンスを踊り歌うカルメン、それにエスカミーリョが登場して闘牛士の歌になる華やかなシーン。 それに、ドン・ホセの「お前が投げたこの花は」は劇中でも最大の見せ場だと思います(カルメンには効果ありませんでしたが……) 第一幕の「恋は野の鳥」もハイライトですが、幕全体で言うと躍動感がある二幕が一番好きです。 また、今回特に二幕、それから三幕が良いと感じた理由の1つが、エスカミーリョの歌が素晴らしかったこと。 カルメンは決して不安定というわけではないのですが、歌が大味(ちょっと雑)に感じました。 ドン・ホセは、声量で明らかにエスカミーリョに負けており、カルメンでなくても乗り替えるのはさもありなん、といった具合。 各人の歌が終わる度にブラボー、ブラヴィアと叫んでいる人がいたのですが、私はそこまでは凄さを感じませんでした。 もっとも上述の「恋は屋の鳥」、「お前が投げたこの花は」はハイライトだけに、素晴らしい歌を聴かせてくれたので満足。 それに指揮者のアッラ・クルババさん率いるオーケストラはかなり統一感があり、くっきりとした音。 前奏曲も勇壮な闘牛士に合った演奏で良い感じでした。 |
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