Mr.Win's Room

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Bob Dylan

 

Zepp Tokyo 2010年3月28日

-setlist-
1. Gonna Change My Way Of Thinking
2. Love Minus Zero/No Limit
3. I'll Be Your Baby Tonight (Bob on guitar)
4. Simple Twist Of Fate
5. Tweedle Dee & Tweedle Dum
6. Shelter From The Storm
7. Summer Days
8. Workingman's Blues #2
9. High Water (For Charley Patton)
10. Tryin' To Get To Heaven
11. Highway 61 Revisited
12. Nettie Moore
13. Thunder On The Mountain
14. Ballad Of A Thin Man

(encore)
15. Like A Rolling Stone
16. Jolene
17. Blowin' In The Wind

【感想】
結論から言ってしまうと、今日はベストでした。
それは、私の位置がボブ側の最前列だったということもあるんですが、選曲も凄かった!
まず順を追って話しましょう。
今日は日曜なので、5時開演。早めに家を出て会場へ。
整理番号は70番台だったので、そそくさと会場に入り、最前列をゲット!
ボブの正面少し右側です。

この辺りからボブの出番を待つ手拍子が。
もうしばらくしないと出てこない、ということは知っているんですが、テンションが高かったこともあり、「今日の客は気合入ってるぜ!」というムードを作り出したいこともあり一緒に手拍子しました。
すると、手拍子に導かれるように客電暗転!例の音楽が!さぁライヴスタート!
もう、今日は最初から「ボビー!ボビー!」と。周りの人も「ディランー!」とか「ボブー!」とか叫んでました!
よっしゃ!今日は思いっきりノレる!と思った直後、後ろから体重がのしかかってきた!凄いプレッシャーだ。しかし負けないぜよっ!とばかりに手拍子、体中でリズム取ってしまいました(笑)
1曲目は初出の"Gonna Change My Way Of Thinking"!
ダッダッダッ!という重いエレクトリック・ギターで始まった瞬間、今日はちょっと違う!と思うに十分!
なんとも最初から"Slow Train Coming"の曲が出るなんて予想だにしなかった!
格好良さに身を委ねてノリまくる右側の客の盛り上がりが分かったのか、ボブも笑顔でこっちを見る見る!
ボブの表情が無茶苦茶良いので、こっちも嬉しくなりました。
ボブは白のハットに、金のラインが入った黒のズボン。バンド・メンバーは相変わらずグレーのスーツで統一しておりダンディーです。

"Love Minus Zero/No Limit"!
Wooo~~~~~~~~~!!!!!!!!!!!!!やった〜!今回、初登場!"Love Minus Zero"!
まさか出ると思わなかったので、ボルテージは一挙に頂点へ!
ボブは、女性客(多分)を見つめながら、ポージング!
中盤のブルーズハープも最高!
ラストは結構あっさりと終わりましたが、曲が終わった後、"We love you, Bob! It's no limit!!"と思わず叫んでしまいました。

そして"I'll Be Your Baby Tonight"!!
ボブがエレクトリックギターを手に!足のクネクネも健在!(今日の方が名古屋よりクネクネしてた)
2番目の"Shut the light, shut the shade,"の部分を、"Shut your door, Shut your eyes."と歌ってしまったボブ。
「やっちまったぜ(苦笑)」といった感じに苦笑いしており、それがまた格好良い!!
その分、ソロで挽回するぜよっ!とばかりに、いつもより1.5倍増(ぐらい)の気合でボブがエレクトリック・ギターを弾きまくります!
この間も、私等は、ノリノリです。

この後が凄い!この前奏は……まさか!いきなりブルーズハープを吹くボブ!
このメロディーラインは……!おいおい!マジかよ!"They sat together in the park."
出た〜〜〜!!!!"Simple Twist Of Fate"が登場!
ボブ有難う!ボブ〜〜!!!と、これには観客も興奮!"simple twist of fate"という歌詞が出た時に、拍手喝采!
これに気を良くしたボブは、また満面の笑みを浮かべ、センターでニコニコと歌います。
そして後半はキーボードに戻り、弾きながらの歌唱。この様子は、もう言葉では伝えようがないぐらいに素晴らしかった。この場にいれて良かった、と思いました。
ドニーが、今日もボブの様子をよく伺いながら演奏していたのも印象的。
彼もまたとても良い表情をしていました。

この次の"Tweedle Dee & Tweedle Dum"は、なぜか観客席側にライトが!
ボビー、俺たちもノッてるぜ!とばかりに、ここはノリまくりました!
ボブも、それを観て、「よっしゃ!もっともっと!」と言わんばかりの笑顔だった、と思うのは虫が良すぎるでしょうか? いやいや、逆行気味のライト越しに見たボブは、確かに笑顔でした。
それに、この曲、そもそもノリノリな曲なので、もうこりゃ〜、最高のダンスパーティーです!
終わった後も、ボビー!ボビー!の大声援!
そんな中、ジョージのズンッ!チャッ!というドラムが。
そしてオレンジ色のライト。おお!これは"Shelter from the storm"だ!
この曲のハイライトは後半!ボブのキーボード、ドニーのスチール・ギター、それにチャーリーのギターが折り重なるように演奏される場面が!
個人的には、今回の来日公演でベストの"Shelter from the storm"は今日です!あまりにも美しく感動的でした。

Summer Daysでは、途中で体を開き気味にするポーズをとり、観客からワーッ!と歓声が。それに気を良くするボブはとてもチャーミングでした。
今日のボブのキーボードは、同じようなフレーズでも、最初単音で弾き、その後、コードで弾くことで抑揚を上手くだしていました。この辺に、ボブの上手さが見えます。
この曲もノリノリ!(すいません。こればっかで(笑))もう観客からもボブ!ボブ!の大歓声。
その歓声に「まぁ、落ち着けよ」とばかりに、アコースティックの美しい音色がして、"Workingman's Blues #2"!
正直、そこまで印象が強くない曲だったので、「こんなに良い曲だったのか!」とビックリ!
カノン調のバック演奏を従えて、ボブが切々と歌う、といった感じがピッタリで、逆にいうと、他の人がやっても、ただのありふれた曲になってしまうでしょう。
思わず、演奏後に"Thank you, Bob!"と言ってしまいました。

この後、ドニーのバンジョーの音色。
"John Brown"か?いや、違う!"High Water"だ!
この曲の"Nothing standing there", "High water everywhere"の部分で、腕を前方に振り上げるとボブも、ニヤリ。
ボブもブルーズハープを何度も吹いていましたが、観客の興奮を見ている内に、吹くタイミングを失ったか、吹こうとするフリで終わり、ヴォーカルに戻るという場面も何度か。
ボブが演奏後に、ドニーと少し喋っていたと思いますが、その辺のことを言ったのかな?

"Tryin' To Get To Heaven"はいつ聴いても良い曲。
しっとりとした気分になりつつ「ボブ、まだまだ天国には行かないでね」と思ったり。
この曲だったかな?確か、ステージのバックスクリーンが雪のような感じになり、ボブの姿が凄く浮き上がってみえて。それがまた素晴らしい演出で、幻想的でした。後半のブルーズハープも、一音一音をくっきりと出していて、調子の良さが伺えました。
その後、ブルーズハープのフレーズをなぞるキーボード。
チャーリーは、それを邪魔しないように、多少引き気味に演奏。バンドメンバーが、ボブの見せ場を尊重しているのが良く分かります。

ここまでが凄かっただけに、"Highway 61"になった時、「もう!?」と思ったのは私だけではないはず!
でも、この曲がかかったからにはノるしかないでしょう!
ボブは、キーボードから直線状にある客方向を見ながら笑顔で歌います。
勿論、ジョージのドラムもうねりを上げる!
おお!チャーリーは、スライドギターだ!こっちもギュイ〜ンと音を立ててます。
"Highway 61"のスライドギター。う〜ん、30周年のジョニー・ウィンターを思い出します!
もっとも、ジョニー・ウィンターは派手派手。一方、今日のチャーリーは、同じフレーズを淡々とやっており、裏方に徹している印象。
今日の主役は、ボブも勿論ですが、客もノリノリ!
今回のツアーで一番ライヴハウスらしいノリになったと思います。
そのノリに気をよくしたボブ、後半は体ごとゆすりながらのキーボード演奏!気合入ってます!

そしてドスッドスッ!というジョージのドラムに、暗めのイントロ!おお!この印象的なイントロは"Nettie Moore"!
これも今回初登場じゃないか!アルバムのアレンジにかなり忠実な演奏です。

"Thunder On The Mountain"は、これも今回の来日公演トップクラスの演奏!
ドニーも無茶苦茶笑顔で「ボビー、前屈み運動はまだかい?」と言わんばかり(笑)
ここでも、居合い斬りのような単音演奏から、コード演奏へと移行するボブのキーボードが冴える!グレート!
演奏後は、"ボビー"!"ボビー"!

勿論、この後は、"Ballad of thin man"!オレンジのライトに照らされたボブは、まるでムード歌謡歌手のように歌います。それで絵になるんだから……。そういえば、よくよく見るとボブ、ちょっと太ったか?
着込んでたから、以前見たルー・リード程プックリしてたわけじゃないけど。
これは演奏自体は、いつも通り。

そしてアンコール!!!"Like A Rolling Stone"!!
もう今日は、周囲の客もノッてるし、一緒に合唱すべきでしょう!

"How does it feel?
How does it feel?
To be on your own.
With no direction home.
Like a complete unknown.
Like a rolling stone?"

ボブと一緒に合唱する"Like A Rolling Stone"!
それは、これまで観たあらゆるライヴの中でも、特別な瞬間でした。
今日は客席も素晴らしかったです!

ボブも観客席からの合唱に一瞬驚いたかのようでしたが、すぐに笑顔になり、むしろ煽ってました!
そして"Miss Lonely"の部分を、"Miss L~~onely"と伸ばして歌った後に、ニヤリとするなど、茶目っ気たっぷり!
ちなみに、今日はボブが、"You’ve gone to the finest school all right, Miss Lonely"を2回歌ってしまうというハプニングが!(ドニーを見てやっぱり苦笑)
この時、思わず、「あっ間違えた!」という顔を私がしたら、ボブと目が合って(笑)
ボブも、「客にもバレてるぜ」と思ったかもしれない(笑)
しかしその後、ちゃんと"Princess on the steeple and all the pretty people"というパートも歌ってくれ、もう大興奮どころの話じゃないですよ。これは。("How does it feel?"もいつもより多かった!)
ここでも、演奏後も観客からは、"ボビー!"、"ボビー!"の大声援!

さぁ、続くは"Jolene"。ここでは、"Like A Rolling Stone"の盛り上がりを打ち解けたリラックスムードに。
ここでもテンションは途切れることなく、大歓声!

ボブの"Thank you friends"に"Thank you Bob!!"と応え、もう今日はメンバー全員のアナウンスがかかった時に、全員の名前を叫んでしまいました。それだけバンドのみんなも素晴らしい!本当に素晴らしい。
ラストのゆとりのある、今回の"Blowin' In The Wind"、私は大好きです。"i〜〜〜n the wind"という歌い方も、ボブのブルーズハープも。
なんというか、クラプトンのライヴにおける"Over The Rainbow"じゃないけど、祭りの終わりに明日への力をもらったような気がします。

あまりにも素晴らしい今日の公演が終わり、いよいよ明日が最終日。
終わって欲しくない。でも、明日で最後。悔いを残さないよう、しっかりと五感でそのステージを焼き付けたいと思います!


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