Mr.Win's Room

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Bob Dylan

 

Zepp Osaka 2010年3月16日

-setlist-
1. Cats In The Well (Bob on keyboard, Donnie on violin)
2. This Wheel's On Fire (Bob center stage on harp, Donnie on lap steel)
3. Summer Days (Bob on keyboard, Tony on standup bass)
4. I Don't Believe You (She Acts Like We Never Have Met) (Bob on keyboard then center stage on harp, Donnie on lap steel)
5. Forgetful Heart (Bob on center stage on harp, Donnie on viola,, Stu on acoustic guitar, Tony on standup bass)
6. Most Likely You Go Your Way (And I'll Go Mine) (Bob on keyboard, Donnie on pedal steel, Stu on acoustic guitar)
7. John Brown (Bob center stage on harp, Donnie on banjo, Stu on acoutic guitar)
8. Under The Red Sky (Bob on keyboard, Donnie on pedal steel)
9. Honest With Me (Bob on keyboard, Donnie on lap steel)
10. Masters Of War (Bob on keyboard, Donnie on lap steel, Stu on acoustic guitar, Tony on standup bass)
11. Highway 61 Revisited (Bob on keyboard, Donnie on lap steel)
12. Po' Boy (Bob on keyboard and harp, Donnie on pedal steel, Stu on acoustic guitar, Tony on standup bass)
13. Thunder On The Mountain (Bob on keyboard, Donnie on lap steel, Stu on acoustic guitar)
14. Ballad Of A Thin Man (Bob center stage on harp, Donnie on lap steel)

(encore)
15. Like A Rolling Stone (Bob on keyboard, Donnie on pedal steel)
16. Jolene (Bob on keyboard, Donnie on lap steel, Tony on standup bass)
17. All Along The Watchtower (Bob on keyboard, Donnie on lap steel)

【感想】
11日から始まった大阪公演も今日が最終日。ここに通うことも当分ないでしょう。
思えば来日公演を知った日。心臓がドキドキすると共に仕事の調整やチケット確保への奔走に不安も感じ、無事、仕事を調整しチケットを確保してからは、初日まで「本当に来るのか?」と、なんか現実味のない気持ちを抱き。そして初日に会場の外で待ちながら「この中にボブがいる!」と再びドキドキしてステージのボブを見て感極まってしまったわけです。
そんなボブと9年ぶりに出会った会場の最終日は、関西ファンの熱気が開演前からひしひしと伝わるムード。
7時になると、「ボブ、早く早く!」と言わんばかりの拍手も散見されました。

私の位置は、段差のある最前列のボブ正面あたり。ことこの会場に関しては、前列付近(5〜6列目まで)か、この段差最前列が一番観やすいでしょう。
さぁ客電が消えて大歓声!
メンバーが登場し、チャーリーやスチュがギターをつま弾く。いつもだとボブもキーボードを肩慣らしに試奏してから曲に入りますが、今日はキーボードの音が聴こえないまま軽快な曲が……!
お〜"Cats In The Well"だ!いきなり初登場曲!しかも"Under The Red Sky"から!これは今日は期待できるかも!
スタジオ盤ではジミー・ヴォーン、スティーヴィー・レイ・ヴォーン兄弟、デイヴィッド・リンドレーによるギターの絡みが聴きどころでしたが、今回はボブのキーボードが伴奏のベースとなり、そこにチャーリーのギターが乗っかるというというもの。
インプロビゼーションもそんな感じでしたが、チャーリーのギターが格好良い!今回のバンド、ブルージーな曲が非常に似合っており(意図的にそういう曲を選曲している?)オリジナルとは違った魅力があります。

曲が終わってすぐに2曲目。今度はボブがセンターステージに出て、ブルーズハープで先導!このマイナー調のブルーズハープは、またしても初登場曲!"This Wheel's On Fire"!今度はベースメントテープスからだ!
2001年には"Tears of Rage"、そして今回"This Wheel's On Fire"が聴けて無茶苦茶嬉しい。
スローなベースメント・バージョンと違い、ミドル・テンポの演奏。ジョージのタイトなドラムが演奏をよりくっきりさせます。
ボブがブルーズハープを吹きまくる。ヘタウマなボブらしいブルーズハープ。ここでのボブの奏法はまさに吹くか吸うか!
ベンディングするでもなく、無骨に吹くところに味があります。

3曲目はボブがキーボードに戻って"Summer Days"!ここまで全て初登場!
一気に軽快になり、前の方の客席も頭や肩が揺れているのが確認できました!
ボブも前かがみに!そしてボブを見つめるドニーも前かがみに!
トニーは遠くからボブをうかがっています。これ、ライヴだと気持ちいいな〜。まさにアメリカン・オールド・クラシック・ロックといった趣です。

この次が、エレクトリック・ギターの試奏で分かった。"I don't believe you"。
今回のツアーでは、すぐにボブがヴォーカルに入るのが特徴ですね。歌詞の主人公の「なんてこったい!」感がよく分かります。

この後、ボブがブルーズハープを1人吹き出し、"Forgetful Heart"。
スタジオ盤以上に暗いムード。演出しているのはドニーのヴィオラです。
センターステージに立ったボブのブルーズハープがまた物悲しい。なんだか"I don't believe you"のムードと違い、本当に参ってる感が。

この後、ドスッドスッとジョージがドラムを鳴らしている間に、ボブがキーボードに戻ります。
そして登場したのが!!!おお〜〜!!"Most Likely You Go Your Way"!!!Woooooo~~~~~~~~~~~~~~~~~~~!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
出たー!!!来たー!!!わが道を行く〜〜!!
この曲はどんな時も格好良い!あのあまりにも印象的なイントロは変わらず。ボブのキーボードも曲にマッチしてる!
9年前の福岡よりも今回の方が良かったです!しかし、歌詞を考えると、"I don't believe you"「なんてこったい、あぁ、彼女がまるで会ったこともないかのようにふるまう……」⇒"Forgetful Heart"で「お前は自らあの日々を忘れ去ろうとしている……」⇒"Most Likely You Go Your Way"「好きなようにしたらいい。君は君、僕は僕の道を行く時!!」ってな展開でしょうか。
この愛憎3曲は……いや、その前の"Cats In The Well"、"This Wheel's On Fire"、"Summer Days"も含めて全部ハイライト……って次はドニーのバンジョーが響いて"John Brown"!!
今日はなんか違う!2001年は最初ボブのアカペラから入っていましたが、今回はアンプラグドの時に近いアレンジでした!
ボブがセンターステージで歌い、ブルーズハープを吹く姿は、渋い!の一言。その姿だけで説得力溢れてます。
しかしドニーの万能ぶりはラリー・キャンベルと比肩します。素晴らしい!

さぁ、次はボブがキーボードに戻りつまびき……おいおい、このイントロはまさか!"Under The Red Sky"!!!
"Cats In The Well"に続いて、タイトル曲も初登場!2001年に聴けなかったから無茶苦茶嬉しい!
もしかして、誰かのリクエストがあったんでしょうか?余談ですが、確か97年だったかな?来日公演の際、ボブにサインを求めた男性ファンが断られたもののボブと話をした男性ファンが「"Under the red sky"が好きです」と言ったら、次の日ボブが"Under The Red Sky"を演った、なんていうエピソードが山川健一監修のニュー・ルーディーズ・クラブに載っているのを昔読んだ記憶があります。

しかし凄いセットリストだ。"Summer Days"までどころかここまで全部ハイライト!
こうなると次は!?"Honest With Me"!
"Summer Days"に続き来たっ!"Love and Theft"から!
ボブのヴォーカルが凄い!インプロビゼーション後のヴォーカルは叫ぶ!叫ぶ!
ジョージのドラムも激しく、この曲にマッチ! トニーはマイペース。
白熱した演奏に場内大歓声!昔の曲ではなく、この曲で歓声を起こせるところがボブの凄さです。

そして次が!今度は古い曲から!いや、古いというのは違う。昔書かれた曲といった方が正しいでしょう。
今のボブの声で、今現在も消えることのない世界中の紛争に対して、親玉たちに語るように歌われたのは"Masters Of War"!
これも今回初登場!以前のアコースティックな演奏も良いですが、ここでのバンド演奏もブルージーな感じがしてGood!
ジョージのドラムは、あたかもミサイルのような感じも出ていて、ここでも曲の終わりには大歓声!
いつ書かれた曲だろうと観客を熱狂させられるボブは凄いわ。

いや、ここまでの流れ、凄すぎです。なんかさっきから"凄い"という言葉ばかり書いていますが、実際、そうなんだから仕方がない。
他にどう表現せよと?凄いとしか言えないです。
この次は"Highway 61"!ここでのチャーリーのギターは、大阪全ての公演中、ベスト!
うなるような歪んだギターは、なんかノリうつったか!?というような熱狂的なもの。
こうなるとボブはじめ他のメンバーもどんどんノッていきます。
今回のバンドでは、圧倒的な存在ではあるものの、ボブも1人のメンバーとして機能しており、それがまさにバンドと呼ぶにふさわしい音を出しています。
マリアンヌ・フェイスフルが自伝の中で、「ボブはバンドという形態にとても羨望を持っていた」的なことを書いていたと思うんですが、ネバーエンディングツアーを通じて、ボブが理想とするバンドを手に入れつつあるのではないでしょうか。
後半はぶっきらぼうヴォーカルも飛び出し、この日の"Highway 61 Revisited"はまさしくベストと呼ぶに相応しい演奏でした!
ここまでもう全てがハイライト。
そしてこの次、優しく"Po Boy"を歌われた日にゃ〜、もう泣いてしまいますぜ。(事実、泣いてしまった。俺は織田信成か!?)
90年代後半以降からの選曲では、今日は"Love And Theft"の日ですね。

この後、"Thunder On The Mountain"からは定番曲。
"Like A Rolling Stone"の時の歓声は半端じゃなかったです。
最初のサビで、2回目の"How does it feel?"をボブが歌っていなかったのは、観客に歌わせようとしていたのだと思います。
ボブのキーボードの音外しすら素晴らしいメロディーに聴こえてしまうのだから、今日は特別なマジックがかかっているとしか思えない!
そんな"Like A Rolling Stone"でした!
最終日にして大阪の会場が一番盛り上がりました!素晴らしい余韻を残したままツアーは名古屋上陸です!

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