Mr.Win's Room

Mr.Win's Room

Home / Profile / Music Works / Essay / Report / Kyushu


Bob Dylan

 

Zepp Osaka 2010年3月13日

-setlist-
1. Stuck Inside Of Mobile With The Memphis Blues Again
(Bob on keyboard, Donnie on pedal steel, Stu on acoustic guitar)
2. The Man In Me (Bob center stage on harp, Donnie on trumpet)
3. I'll Be Your Baby Tonight (Bob on guitar, Donnie on pedal steel, Stu on acoustic guitar)
4. Love Sick (Bob on keyboard, Donnie on electric mandolin)
5. Rollin' And Tumblin' (Bob on keyboard, Donnie on electric mandolin)
6. The Lonesome Death Of Hattie Carroll (Bob on keyboard and harp,
Donnie on electric mandolin, Stu on acoustic guitar, Tony on standup bass)
7. Tweedle Dee & Tweedle Dum (Bob on keyboard, Donnie on pedal steel)
8. I Don't Believe You (She Acts Like We Never Have Met)
(Bob on keyboard and harp, Donnie on lap steel)
9. Ballad Of Hollis Brown
(Bob center stage on harp, Donnie on banjo, Stu on acoustic guitar, Tony on standup bass)
10. Shelter From The Storm
(Bob on keyboard, Donnie on pedal steel, Stu on acoustic guitar)
11. Highway 61 Revisited (Bob on keyboard, Donnie on lap steel)
12. Not Dark Yet (Bob on center stage on harp, Donnie on lap steel, Stu on acoustic guitar)
13. Thunder On The Mountain
(Bob on keyboard, Donnie on lap steel, Stu on acoustic guitar)
14. Ballad Of A Thin Man (Bob on center stage on harp, Donnie on lap steel)

(encore)
15. Like A Rolling Stone (Bob on keyboard, Donnie on pedal steel)
16. Jolene (Bob on keyboard, Donnie on lap steel, Tony on standup bass)
17. All Along The Watchtower (Bob on keyboard, Donnie on lap steel)

【感想】
大阪3日目!結論から言うとここまでの3日間で一番でした!
今回の観覧場所は整理番号が800番台だったので、段差がある最善列キーボード側。手すりがあるので昨日までより楽でした(笑)
ちなみに、2F中央前方には菅野ヘッケル氏らしき人が女性と腰かける姿が。

さぁ1曲目から変えてくるとは思っていたのですが、まさか"Stuck Inside Of Mobile With The Memphis Blues Again"が聴けるとは!
最初、歌に入る前にディランがキーボードでコードを弾くのを聴いて、「おお、まさか!!」と思ったのですが、歌詞が始まって間違いないと分かった瞬間は、周囲も含め"Wooo~~~!!"という歓声に!!
元々、オルガンがフィーチャされている曲だけにボブのキーボードが心地よかった。そして各ヴァースが終わる後のドラムがオリジナルに忠実だったので、大興奮!!今回の"Memphis Blues Again"は凄く良いです。

続く2曲目。昨日一昨日と違い、この時点では雪っぽいライトアップがありません。その中歌われたのは、これも初出の"The Man In Me"!
今回70年代のアルバムからは少ないのかな?と思っていたのですが、"New Morning"(70年)からの登場です!
ドニーのトランペットが印象的なアレンジ。センターステージに立つボブのブルーズハープによるエンディングまであっという間でした。

続く3曲目。ベースが先導して、はじまったペダル・スチールの旋律で前奏で分かった!"I'll Be Your Baby Tonight"!
この曲の出だしは"Close your eyes, Close the door..."だと思うのですが、今回は"Shut your eyes, Shut the door..."と歌っていました。
ディランのエレクトリック・ギター・ソロはこの3日間で一番フレーズに冴えがみられました!

4曲目は"Love Sick"!最初のダッダッダッダッという音色をエレクトリック・ギターが刻み、そこにボブのキーボードが絡みます。
今回は、"I'm sick of love"、"This kind love"というフレーズを、まき気味(メロディーよりも早め)に歌っていました。
2001年の時は、アンコール1曲目でエンディングがディランのエレクトリック・ギター・フレーズで終わっていましたが、今回の終わり方はシンプル。

この後、キーボードをウィ〜ンとディランが鳴らしてから"Rollin' And Tumblin'"。
"Modern Times"の曲ですが、今回は初めて登場。ハイペースのリズムに観客席もリズムを取る人が沢山。
それを見て笑顔のボブも飛ばします。

次はまたスローダウンして……「お、なんか"The Times They're A-Changin'"みたいな優しい感じだぞ」と思っていたら歌い始めた歌詞はなんと"The Lonesome Death Of Hattie Carroll"!
この曲のアレンジの中でこれまでになく気に入りました。ボブのキーボードはまるで賛美歌のよう。
そして、ここでのヴォーカルは、糾弾しプロテストするというよりも、優しく説き聞かせるといったムード。
こういう歌い方ができるのはボブの声あってこそ。感動的なThe Lonesome Death Of Hattie Carroll"でした。
今回の公演では、違う楽器(たとえばキーボードとギター)が、同じフレーズを一緒に演奏する場面があるんですが、この曲も、ボブがブルーズハープでキーボードの旋律をなぞるような場面があって、それが美しかった。

次は連日の登場"Tweedle Dee & Tweedle Dum"。
昨日もハイライトの1つでしたが、今日も快調でした。間奏部分で、キーボード、ギターが畳みかけるところがあったんですが、それが格好良くて。ボブの声は昨日よりも出ていました。昨日のボブもどんどん歌ってやる!って感じでしたが、今日は声が裏返ることもなく、気持ちに喉もついてきたというか。気力・体力ともに充実していました。

そして"I Don't Believe You"も初日以来。イントロの段階で歓声。思った以上に人気曲です。
ここでもボブのキーボード伴奏がムードを決定づけていて。曲自体は"Another Side of Bob Dylan"収録ですが、今日の演奏なら"Blonde on Blonde"あたりに入っていてもおかしくなさそうなムードです。
"Eat The Document"だったか何かで、ボブがピアノを弾いているシーンがあるのですが、実際のところ彼はコード伴奏だけでなく、それなりにクラシック曲なんかも上手いこと演奏できる技量は持っているはず。
今回、目立ち過ぎずしかし印象的に残る音を出しているあたり、やっぱボブは凄い。

今日一番驚いた曲が、次の"Ballad Of Hollis Brown"
まさかこれを演るとは!イントロのドニーのバンジョーを聴いた時"Blackjack Davey"か?と思ったのですが、ボブの口から出た言葉は"Hollis Brown〜♪"
おお〜!"The Times They Are A-Changin'"から2曲もかよ!しかもどちらかといえばマイナーな曲なのに!
"The Times They Are A-Changin'"も"With God On Our Side"も"When The Ship Comes In"も"Boots Of Spanish Leather"もまだ演っていないのに!(笑)
こりゃあ、来日公演中に"Only A Pawn In Their Game"辺りまで登場するんじゃないだろうか(笑) 格好良かったです。

そして次が"Shelter From The Storm"!
"I was in another life time..."という歌詞を聴いてすぐに分かりましたが、アレンジはまたも大分変っています。
前回仙台のアレンジの方が好きですが、今回もスローで、曲のベースになる伴奏をボブのキーボードが。そしてドニーのペダル・スチールが甘い感じを。ところどころでスチュのリズム・ギターが、そこにキレの良さを与えています。
チャーリーのギターも上手く絡んでいて、これこそまさに打ち解けたバンドならではの醍醐味、という具合の演奏。
"Not a word〜"というバースが登場しなかった&&後半で歌詞が若干変わってた気がするんですが……違うかな?

スローダウンした後は、またアップ!というわけで"Highway 61 Revisited"!
相変わらずボブのキーボード前かがみも登場するわ、テンポ・スピードをちょいと速めたり、そこからブレークして戻したり、緩急自在な"Highway61"!"H~~ighway 61~~"という部分は、ボブも自由に歌っていました。この曲は、今後も毎晩、歌い方をボブが好きなようにいじり、それに合わせたフレーズをバンドメンバーが弾くというパターンになるのではないでしょうか。
毎晩、違う"Highway 61"が聴けそうです!

この後、昨日までは2曲目で行われていた雪のライトが。ボブがセンターに出てきてスローに始まったのは"Not Dark Yet"!
これも初登場だ!なんと今日も9曲も初登場曲が出たことに!凄い!

ここからは定番コース。"Ballad Of A Thin Man"Jolene"も相変わらずよかったですが、特に印象に残ったのは、"Like A Rolling Stone"、そして"All Along The Watchtower"
"Like A Rolling Stone"は、日を重ねるごとに素晴らしくなっています。勿論、初日、2日目も素晴らしかったのですが、ボブのキーボードが別のフレーズをも頭に喚起させるかのようなインスピレーションに溢れたものになってきています。

"All Along The Watchtower"は、オリジナルから大分変わった後半の歌い方に変化がありました。
今回のアレンジ、前半は無茶苦茶格好良いだけに、昨日までは後半の歌い方が、勢いを殺いでいる感じがしていたのですが、今日はメロディーが若干変わりました。ヴォーカルは節を回すのではなく、スピーディーなトーキング調に。その分、轟音キーボードがエレクトリックギターソロにぶつかっていき、凄いグルーヴ感でした。このアレンジなら今後も期待大!

今日のセットリストはまさに"当たり"だと思います。そしてもう1つ思ったのは、ボブのブルーズハープが分かりやすくて印象的なフレーズを何度も繰り返すパターンだということ。"Real Live"の頃を彷彿とさせます。

それにしても日に日に新たな感動をくれるボブ&バンド。明日1日ゆっくり休んで月曜はまた凄いステージを見せてくれるでしょう!

copyright1
(制作:木戸涼)

(C) 2001-2024 copyrights.Ryo Kido