キル 2008年1月3日(木) 会場:シアターコクーン 作、演出:野田秀樹 テムジン:妻夫木聡 シルク:広末涼子 イマダ/蒼い狼:小林勝也 トワ:高橋惠子 結髪:勝村政信 人形:高田聖子 バンリ/真人バンリ:野田秀樹 【ストーリー】 羊の国の洋服屋の息子として生まれたテムジンは、父の遺志を受け継ぎ、祖先の名をとってブランドにした「蒼き狼」の制服を世界の人々に着せたいという悲願を抱く。 羊の国を制したテムジンは、絹の国から来たシルクと恋に落ち、彼女を手に入れるために、絹の国を攻め落とす。 やがて生まれた息子バンリの成長につれ、今度は息子にとって代わられる恐怖に襲われるようになる。世界制覇の夢が達成するかに見えたその時、西の羊の地から、 「蒼い狼」という偽ブランドが登場し、 その制圧に、バンリを向かわせるが・・・。 裏切りをめぐる愛憎の果てに、 「蒼き狼」「蒼い狼」との最後の闘いが始まる・・・。 モンゴルの果てしなく広がる蒼い空。永遠へと導かれるような大草原。自由や夢を象徴するかのような風景の中で繰り広げられる権力闘争、愛憎、葛藤、そして裏切りという汚れた現実。 しかし、夢と現実のふたつの世界が複雑に交錯し合いながら進行するこの物語は、汚れた現実の只中でさえもなお、蜃気楼の遥か彼方を夢見るロマンに満ち溢れています。 モンゴルの英雄・ジンギスカンの侵略と制圧の戦いを、ファッション戦争に見立てた奇想天外な面白さ。 そして、野田ワールドに漂う独特のロマンチシズム・・・。 (公式ウェブサイトより) 【客入り】 幅広い年代。女性が多い。満杯。 【感想】 実はこの文章、観てから2年経ってから書いています。 正月に帰省した際、久々に母を連れて演劇を観に行こうと思い、選んだのがこの作品。 とりあえず野田さんの演劇なら、「面白い」か「つまらないか」。少なくとも全く印象に残らないような作品にはならないだろう、という信頼感があったので。 で、2年経った今でも覚えている印象を書くと…… ・前半はダラっとした感じで退屈だったのに後半が一気に面白かった作品。 ・野田さんが演じる子供役は気持ち悪かったし、あまり必要性も感じなかった。 ・広末涼子さんは、四谷怪談の時は全然良くなかったけど、今回はセリフもしっかり聞こえて良かった。 ・"kill"、"切る"、"着る"や"制服"、"征服"などの言葉遊びは、「よくもまぁ、ここまで色々と探したもんだ」と思った。 ・ステージの布のカーテン、綺麗だった。 これらのことは、はっきりと覚えています。 ストーリーも忘れていたので、今、他の方の感想など検索し、大まかな部分については「あぁ、そうだった、そうだった」と記憶を呼び戻しているのですが。 序盤はなんで主人公にジンギスカンなんて名前をつけたのか分からなかったのが、話が進むにつれ、「"征服者"、そして言葉遊びとしての"制服"にダブルミーニングとして意味を持たせるならば、こういう設定しかないよなぁ」と思い始め、「よくもまぁ、こういう着眼点になるなぁ」と感じたのを思い出しました。 この作品、野田さんは「言葉遊びから発想を膨らませていったのか?」あるいは「大まかなストーリーができて、そこに言葉遊びを入れていったのか」 私は前者のような気がするんですが。 それと後半、テムジン(妻夫木聡)が蜃気楼(布のカーテン)の中に消えていくような場面があったのですが。これは綺麗だった。 何度か再演されている作品なので、「また演ったら、もう1回ちゃんと観たいなぁ」と思わされる作品です。 でも、野田さんの子供役はやっぱり気持ち悪かった。媚びるような声で「お父さま〜」とか言っていた声が頭から離れません(笑) |
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