Mr.Win's Room

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My Little Lover

My Little Lover -Live #3 Acoustic "akko"-
京都 ART COMPLEX 1928
 2007年5月26日

-setlist-
1.Magic Time
2.ALICE
挨拶&メンバー紹介
3.Shiny Shoe
4.Free
5.recall
MC
6.予感
7.DESTINY
8.shooting star
9.あふれる
グッズ(ハンカチ)紹介
10.ショータイム
11.traveling with nature
MC
12.Man&Woman
13.Hello,Again
14.白いカイト

-Encore-
15.いとしい毎日
16.インスピレーション
MC
17.風と空のキリム


【感想】
2007年前半は、ルー・リードの新作、ディランの"Don't Look Back"のDVD化など、面白いソフトがリリースされた一方で、あまり観たいと思うライヴがありませんでした。
そんな中、ぴあのホームページで検索して知ったのが、マイラバのコンサート。

マイラバというと、丁度、中学〜高校の頃に"Hello,Again〜昔からある場所〜"や"Destiny"etcで大ヒットしていたグループ。
90年代後半当時は、小室哲哉、小林武史で、2大TKみたいな呼ばれ方をしていたのが懐かしい。
上述の2曲が主題歌だったドラマ"終わらない夏"、"WITH LOVE"もたまに観ており、そういう意味では、まさにリアルタイム世代。
中学〜高校の頃というと、ビートルズ⇒ストーンズ⇒そしてディランに傾倒していった時期だけど、別の意味で思い入れがあります。
ただ、全作品買う程のファンではなく、好きになったシングル曲だけ買う……というのが、マイラバへのスタンス。
大ヒットしたアルバム"evergreen"も買っておらず、当然、ライヴに行ったこともありませんでした。(ちなみに当時シングルで買っていたのは、1st〜3rdシングルと"YES〜free flower〜"、"Destiny")

ところが最近、急にマイラバの曲が聴きたくなり、Book Offで"evergreen"、"PRESENTS"、"NEW ADVENTURE"の初期3作品を購入。
他にも、大浦龍宇一の"夏の午後"、小林武史の"TESTAROSSA"などを買い、小林武史熱が急に上がっていた中で知ったマイラバのコンサート。
Avexへの移籍時、小林武史が脱退したので、実質上、akkoのソロのようですが、それでも観たいと思いました。

今回のツアーは、アコースティック・バージョンとバンド・バージョンの2形態で行われているようで、関西だと京都がアコースティック公演で、大阪がバンド公演。
両方とも観たいと思いましたが、既に京都はソールドアウト状態。

それでも諦めきれず、当日の朝、主催者のキョードーに当日券の問い合わせ。
中々繋がらず、10数回目にようやく繋がったが「ソールドアウトということもあり、キャパも小さい会場なので、当日券を出すか、まだ未決定」とのこと。
「12時過ぎに決定するから、また電話して欲しい」と言われた時点で、8割方諦めモードに。
それでも、一縷の望みを持って再度、昼過ぎに電話したところ「若干出すことになった。電話予約出来ます」との返事が!

まさに形勢逆転。ウォークマンに"evergreen"を入れて、いざ京都へ!
会場のArt Complexは、何度も前を通っているが入るのは初めて(1Fで大学生の卒展とかはたまに見てるけど)
地下はバーで、2Fはレストラン。3Fが今回の会場。
コンサート会場、兼・教会といった趣で、こじんまりとしたハコです。

チケットは整理番号順のため、先に前売り券の客が入り、当日券の私はその後の入場。
オールスタンディングで後ろの方だとキツいな〜と思っていたが、全席椅子で、客席中ほどの端辺りに座ることが出来ました。
今回は"観れれば良し"と思っていたので、予想よりも良い席を確保出来ました。
もっとも、非常に小さい会場で、ステージが高めだったので、どの席でも見やすかったと思います。

開演時間の6時をまわり、メンバーが登場。
客席から見て左から、キーボード(森俊之)、akko、アコースティック・ギター(古川昌義)の3ピースバンドというシンプルな編成。

1曲目は"Magic Time"。
AKKOが時折ヴィブラフォンを奏でながら歌います。
はっきりAKKOのヴォーカルは上手いとは言えない……というよりも、歌手として考えるならばど下手です。
ただ、まぁ曲は良いし、教会のムードにも助けられて、昔のことも思い出しながら聴いていました。

曲によってはリズム・マシンを使いながらも、"ALICE"や"Free"などしっとりと聴かせた前〜中盤のハイライトは"Destiny"。
静かにキーボードがキーを示し、AKKOが歌いだします。
出だしの"あなたと〜"の"と〜"以外は、そこまで大きく音を外すこともなく、丁寧に歌っていました。
タイトなドラムとストリングスの音色が美しいスタジオ・バージョンに比べると若干の物足りなさもありましたが(単純に楽器数が減って、音が薄くなってしまった印象。アレンジで冒険して欲しかった)が、やっぱり大好きな曲だけに嬉しかった。

途中、コーラスがゲスト参加(名前失念・・。チャゲアスの飛鳥やスガシカオのバックコーラスをやってた人)して数曲演奏したあと、この日最大のハイライトは、"Hello Again〜昔からある場所〜"。
やはりこれは大傑作。

この曲のオリジナル・キーはEですが、ここではDで演奏されていました。
久々のライヴということもあり、歌いやすいように下げたのだと思います。
スタジオ版のエレクトリック・ギターによる力強いイントロは、ここではアコースティック・ギターとなり、全く同じフレーズなのに、胸がしめつけられる程にノルタルジックな響きを持っていました。
ギターを追うように、ピアノが同じフレーズを重ねる中、そして、幼さと大人が同居しているような、AKKOのヴォーカルを聴きながら、改めてこの曲の持つ力に感動。

この曲で特に好きなのは、イントロのフレーズが、3回目のサビの後に繰り返される際、マイナーコード(今回だとBm)になる部分。
この部分は、何度聴いても本当にスリリング。
それと歌詞。
2番の"自分の限界がどこまでかを知るために僕は生きてるわけじゃない。 だけど新しい扉を開け、海に出れば、波の彼方にちゃんと果てを感じられる"というくだりは、とても詩的だと思います。
後半の"雨はやがて上がっていた"というのも、自分の意志で生きていく力強さを感じます。
上述の通り、この後に繰り返されるサビの後、マイナーコードが登場しますが、これもそんな強さを、よりくっきりと浮かび上がらせるかのようで。

ハイライト曲の歌いだしにも関わらず、客席端を小走りに通っていった無粋なスタッフと、"Hello Again..."と繰り返すラスト前に、ピアノが音を外したのは残念でしたが、どちらも些細なこと。
スロー・テンポで演奏された"Hello Again 〜昔からある場所〜"は、間違いなくハイライトでした。

緊張感すら感じさせる"Hello Again 〜昔からある場所〜"の後は、一転してパーティー・ムードへ。
ディドリー・ビートで始まり、手拍子が始まったのは"白いカイト"。
(関係無いが、この曲とmi-keの"白い白いサンゴ礁"がチョット似てると思うのは私だけ?)

間奏のメンバー紹介では、akkoのハーモニカ・プレイも。
その後も、ラストの"風と空のキリム"までリラックスしたムードでライヴは進み、akkoのヴォーカルは、音程、声の強弱ともに不安定な場面も多かったものの、会場には幸福感があり、来て良かったと思えるコンサートでした。
バンド形式のなんばHatch公演も楽しみ。

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(制作:木戸涼)

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