Mr.Win's Room

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UDO Music Festival
キッス / ベン・フォールズ / ポール・ロジャース / プリテンダーズ / アリス・イン・チェインズ / ジェフ・ベック / ドゥービー・ブラザーズなど


泉大津フェニックス 2006年7月22,23日

【感想】
あまりの観客の少なさや諸問題からある意味伝説になったのがこのUDOフェス。
その酷さは、こちらのホームページで詳しく解説されているので是非ご一読いただくとして。

最初に、この機会に野外フェスに対する超個人的な意見を書きます。
私は、(ウッドストックを気取ってるのか)やたらと遠方や辺鄙な場所でやろうとするロック・フェスはあまり好きではなくて……というよりも語弊を承知で言うならば、嫌いで。
その一番大きな理由は、「なんで、 多くの人が観たいアーティストをわざわざ行ける人が限られる場所でやるのか?」という点。
フジロックにルー・リードが出た時も、「他にさほど観たいアーティストがいない」&「(この時は直前に単独公演を観ていたこともあり)旅費や手間も考えるとペイしない」という理由で行かなかったのですが、もしこれが都内や、関西なら大阪で行われていたら行ったと思います。
そりゃピクニックがてら楽しむという考え方もありますが、それなら苗場よりもっと別な場所に行くだろうし、とにかく色んな意味で中途半端というのがフジロックへの考え。
ウッドストックだって交通渋滞や盗難や破壊などが会場内で結構あったらしいし、そもそも会場に農場が選ばれたのも他に適当な会場が確保できなかったというだけの話。
もし、もっと都会にある手頃な野外公園が押さえられていれば、そこでやったと思います。

というわけで、当時の制約条件を、無駄にひきずるような会場で行われる野外フェスというのが、幻想としてのウッドストックに酔っているだけで、本来の野外フェスの意図を外しているように思えて仕方がないというのが個人的な見解です。
今後、ディランかトム・ウェイツ、それに(今なら次で最後になるだろう)ルー・リード辺りがフジロックに出ればさすがに行きますが、逆に言うと、「出て欲しくない」というのが本音です。

で、ロケーション面や自然と音楽を楽しむ、という両面を満たしているという意味では、梅小路公園で行われている京都音楽博覧会は、凄く成功しているケースだと思っていて。
京都駅からすぐだし、梅小路公園には自然があるし、ステージは1つだけど、その分観たいアーティストが同じ時間でバッティングする、なんてこともないし。
京都らしく学生さんもイベント実行側で活躍しているし、まさに手作り感もある良いフェスだと思います。(お客さんはついでに京都観光もできるし)
……脱線ついでなのですが、京都音博は、過去、小田和正さんが出演して、くるりの「ばらの花」を共演したことがあるのですが。
この時の演奏が素晴らしく、くるり自体には全く惹かれない私もこのバージョンだけは大好きです。

話を戻してウドーですが。
そんな私にとって、このウドーフェスの前身「ロック・オデッセイ」は色々言われたけど、好感をもったイベントで。
そりゃ私の周囲でも出演順(特にポール・ウェラー⇒B'z 稲葉とか)やそもそもの出演者の組み合わせに異議を唱える人はいましたが、新横浜からすぐの場所で、あれだけ色んなアーティストを(特に初来日のthe WHOを!)楽しめたので良かったし、競技場なので自然はなかったものの、天井のない会場は清々しかったのを覚えています(昼間は暑かったけど)

なので、ウドー・フェスが決まった時は結構楽しみにしていました。
というのも、泉大津なら大阪からでも行ける距離だし、出演者も「単独ならわざわざ行かないけどまとめて観れるなら観たいアーティスト」が揃っていたからです。
キッス、サンタナ、ドゥービー・ブラザーズ、ポール・ロジャース、プリテンダーズなどなど。
これらのアーティストが2日間に渡って一度に見れるなら十分、リーズナブルな値段だというのが私の感想でした。

というわけで、前置きが長くなりましたが、上記の想いをもって、観に行ったウドーストック当日に書いた感想。
まずは初日から。

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ウドーストック初日
暑い中、電車⇒バスと乗り継いでやっと会場に。 前日忙しかったので、着いたのは3時頃。
Liberty StageはAlice In Chains。
Frontier StageはPorcupine Tree。

予想をはるかに上回る客入りの少なさに唖然。1000人いるか・・?
明日の方がネームバリューは豪華とはいえ、ここまで少ないとは・・。
会場は草っぱらで(しかも雨の後で、ぬかるんでいるところ多数)、シートを引き、後方でぐったりと寝ている人ちらほら。
とりあえずLiberty StageのAlice In Chainsを見る。
ステージ付近しか埋まっておらず、前方行き放題。
グランジの雄ではあるが、私の好みではなく、さして印象に残らず。
途中で抜け、昼食を取る&水分補給。

ポール・ロジャースまで、炎天下の中、ただっ広いだけの草っぱら(ちゅ〜か泥っぱら)をウロウロ(グッズ売場とかは一応見たけど、欲しいもの無し。Tシャツや出演者のCD、雑誌程度)
その後、Liberty Stage付近をウロウロ。
丁度良く、ステージ・センター列に当たる柵部分に場所を確保。
そうこうしているうちにポール・ロジャース始まる。
フリー時代の曲や"Ticket To Ride"、"I Feel Fine"のビートルズカヴァーも。
さすがに若干盛り上がる。柵付近は、序盤、カメラ撮影が表情を撮りに来た。

ステージ交換に30分。
トリのKiss。さすがに人は増えているも、武道館で言うところのアリーナ席半分強が埋まっている程度という印象。
それでも円熟のエンターテイナーぶりは見事。
以下は、ネットで拾ったKISSセットリスト。

1. Detroit Rock City
2. Makin' Love
3. Watchin' You
4. King Of The Night Time World
5. Deuce
6. Christine Sixteen
7. Firehouse
8. Got To Choose
9. Strutter
10. Heaven's On Fire
11. I Love It Loud
12. Lovegun
13. God Of Thunder
14. Do You Love Me
15. Shout It Out Loud
16. I Was Made For Lovin' You
17. Black Diamond
18. Let Me Go Rock'n'Roll

(encore)
19. God Gave Rock 'n' Roll to You II
20. Rock and Roll All Nite

私含め、前方はかなり盛り上がって、「拍手して〜!」と日本語で言われる前から、ノリノリだった。
花火多数。熱そう(笑) 後半でドラム・ステージが宙吊りに。

どの曲か忘れたけど、歌詞を忘れてやり直す時、「俺達はスーパーマンじゃないんだ。人間なんだよ」とか言ってて。悪魔じゃないんかい、と心でツッコミつつも、和やかなムード。
なんだかんだ言って、KISSは盛り上がる。
実は見るの初めてなので普通に楽しめた。火吹きパフォーマンスも観れたし(そういえば、大阪府の役人?が、火薬系を使うからか監察に来ていた)
"Christine 16"、"Firehouse"、"I Was Made For Lovin' You "、"Rock and Roll All Nite"、それに何より"Deuce"が特に良かった。

……でも、なんかフェスに行ったという気がしない。
とにかく客入り少なすぎ。 ロックオデッセイの時よりも地味&集客用の邦アーティストが無いのが痛いか。
どうせなら、KISS大好きなマーティ・フリードマン(心はもはや日本人)も呼んで欲しかったかも。

ウドーストック2日目
電車が各駅ばかりのため大幅に遅刻。お陰でバディ観れなかった。
以前も来日公演に行けなかったし、よくよく縁の無いアーティスト。(バディが)生きてるうちに観れるんだろうか?
会場に入るとプリテンダーズの演奏が開始した辺り。
"Don't Get Me Wrong"、"Kid"などの代表曲は聴けて良かった。
ネットで後から知ったのだが、クリッシー・ハインドは"I can't speak Japanese. But, I can speak ROCK!"という格好良いMCをしたらしい。
ただ、正直プリテンダーズのどこがロックなのか未だに分からない。いや、ロックなんだけど、ロック・ポップスという方が正しいだろう。
いわゆる骨太のロックではなく、"Don't Get Me Wrong"にせよ"Kid"にせよ、出来の良いポップスという認識で聴いている。
ちなみにプリテンダーズはDylanの"Forever Young"のカヴァーもしている(ベスト盤にも収録)
観れなかった間に演っていなければ良いのだけど。
ドゥービー・ブラザーズは「まぁ、こんなもんか」という印象。
ベテランらしく終始、安定した演奏だったが、可もなく不可もなく。特段の印象は残らず。
その後、Charが「ジェフ・ベックも散歩」とか歌っているのを聴きながら焼きそばを食べ、一応ジェフ・ベックを観るも飽きて、フロンティア・ステージに移動する。
そこで観たベン・フォールズ!
初見かつアルバム未聴だったが、素晴らしい。しかもあんな悪条件の中で。勢いでアルバムも購入。
昨日は感じなかったが、フロンティア・ステージでは、リバティーの演奏音が聴こえまくり。
ベン・フォールズも、曲間にリバティー(ジェフ・ベック)の音に合わせて手振りをしたり、「今やってるのはブルーズだね」と言ったり。
演る方からすれば、文句の1つも言いたくなるようなコンディション。
バラードの時も、ハイテンションな音が聴こえてきたりして可哀想だった。
そんな状況にも関わらず、「雨の中、君達を立たせてしまってごめんね。聴いてくれて有難う」といったコメントも。
「金返せ〜!」という日本語歌詞の曲なんかも登場し、面白くもあり演奏力もあり、サービス精神、緩急のあるリズム、テンション有り。
物凄く高いプロ意識を感じたし、楽しかった。
ジェフ・ベックが趣向に合わないことは、以前の来日公演(国際フォーラム)に行った際に感じていたのだから、最初からベン・フォールズ観りゃ良かった。

明日が月曜&あまりの悪天候のため、サンタナ観ずに撤退。
ここまで(ある種)悲惨なフェスはそうそう無いはず。

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というわけで期待していた割には、非常にテンションの低い感想が残ったのを覚えています(笑)
改めて考えると、キッスは凄く楽しかったし、ベン・フォールズも素晴らしかった。(これがきっかけでアルバム数枚聴きました)
なので、私にとって悪いイベントではなかったのですが、特に2日目はコンディションの悪さが命取りでした。
雨がザーザーで地面は臭い匂いが立ち込めてるし、泥でぬかるんでるし、しかも自然というよりもただっぴろい空地なので、ステージを観る以外に何をするってわけでもないし。
j他フェスに比べ年齢層の高いイベントだったと思うので、連休でもない普通の土日にやったのもキツかったかもしれません。


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