Mr.Win's Room

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Jani Ian

 

大阪ブルーノート 2004年7月23日(金) 8時45分開場 9時30分開演

【感想】
ジャニス・イアンのブルーノート大阪公演に行ってきました。
東京では、ボー・ディドリー等で行っていたブルーノートですが、大阪は初めて。
実際に入った印象として、会場自体は東京と同じ感じです。

さて、2ndステージのため、開演時間は9時30分と遅かったですが、早めに整理券をもらったお陰で、ステージ真横の最前列という好位置で観ることが出来ました。
開演前に、男性スタッフが、マイクの下にセットリストを置き、それからまもなく、エレクトリック・アコースティック・ギターを持ったジャニスが観客席後方から登場。
拍手の中始まった"Dead Men"
1stライヴで慣らした後というのもあってか、声も最初からよく出ています。

"皆さん、今晩は"

日本語で挨拶して、そのまま"Will You"を演奏。

"Thank you for coming my second show, It's a first night. キンチョーしています。
(観客席から"リラックス!"という声があり)relax? OK! have a drink."

こんなアットホームなムードのやり取りがあった後、"After Tones"が演奏されます。
続く"Me 2 U"は、神秘的な響きがあり、Dylanが好きな方なら気に入ると思います。
ギターの弾き語りということもあり、まるで女性版優しい"It's Alright Ma"みたいな雰囲気がありました。
ヴォーカルにも効果的にエコーを入れる等、実に素晴らしい演奏でした。
そして、"Soc Ch"も、まるで映画のワンシーンのようなムードがあり、これも思わず息を飲みました。
この後、ジャニスのMC。

日本に来て、ウドン屋さんに行って店員にこう言ったんです。
"すいません、English...ワタシは外人です。ん〜・・Englishメニュー"
すると店員は、一言"Window!"
窓に貼ってあるメニューの写真を見て、オーダーしたんだけど、後で失敗だって思ったわ。 何故って、"私は卵アレルギーです"(笑)
ははは・・・ところで、日本にはカントリー・ミュージックはありますか?
私はナシュビルに住んでいるんですが、ナシュビルはカントリー・ソングのホームグラウンドで、今から歌うのは、私自身のカントリー・ソングです。
私が言ってること分かりますか?OK!"

こんな感じのMCがあり、"Boots"の演奏。
ノリノリのカントリーに、観客からも自然と手拍子が起こり、ジャニスは観客席の方にギターを突き出してポーズを取ってくれました。

お疲れ様でした!
It's good!! (手拍子が)ボンボンボンボンッ!てね。
・・・My mother...(日本語では)お母さん?.......え〜とそれでね、私と母は、バックステージで歳を取ったわね、って言っていました。
今、私は50歳なんですが、とても不思議な気分です。
自分が50歳になるなんて思っていませんでしたから。
20代はとても笑顔で、30代ではより笑顔に。40代は何でも出来る。
50代になると、おかしな感じよ(笑)
でも、この歳になると、父や母のことを考えます。
私はラッキーでした。母は私にとってベストフレンドでしたから。
(この後、去年、ウディ・ガスリーが云々と言っていたんですが、ちょっと分かりませんでした)
母が今も傍にいて、歌ってくれたら・・・と思う時があります。
次の曲は、そんな曲です。

こう紹介された"I Hear You"は、"天国のあなたが歌っているのが、もう一度聴けたら・・・"という切ない内容で、ジャニスの気持ちの入ったヴォーカルに、抑え目のギターが良かったです。
リズムをしっかりとキープしつつ、安定した歌声の"Wave"も見事。
最初から、アコースティックの弾き語りだけなのに、ダレない演奏・・どころか、どんどん観客を引き込んでいくのは、さすが。
そして、この日の個人的なハイライトは、ここからの2曲。
まず"Bet The Lines"。
強弱のついた演奏、とりわけ中盤からの力強いヴォーカルは、格好良かったです。
ジャニスは小柄なのですが、この曲を歌っている時は、とても大きく見えました。
そして、極め付きは、後半〜ラストのギター・ソロ。
ギターの音色を変えつつのラストは圧巻でした。
こんなシンプルな演奏から、こうもドラマチックな世界観が出せるのか、と思わされました。
この後が"Love Is Blind"。静かな中に感情が溢れている、酸いも甘いも噛み分けた人生経験を感じさせるヴォーカルでした。
こういう声は歳を重ねないと出せないよなぁ。
演奏後、かなり大きな拍手をしていたら、"有難う"と言って、お辞儀してくれました。

今年は、ジャクソン・ブラウンのギター弾き語りソロライヴも良かったけど、この日のジャニスのギターにも圧倒されました。

今日は本当にどうもありがとうございました。
感謝します

そう言って、本編最後は"At 17"を演奏(ここでも観客から手拍子があった)。
アンコールでは、"Miracle Row"が登場し、ギターを弾きながら、ステージを後にしてライヴ終了。

さて、ライヴはこれで終わりですが、この後、CD購入者にサイン会がありました。
このサイン会の前、スタッフの人に頼んでもらったのが、写真の手書きセットリスト(のコピー)。
ステージでも言っていた、"緊張しています"という日本語が書いてあります。

そして、サイン会の際、ジャニスに、"あなたが好きなアーティストを1人だけ挙げるなら誰ですか?"と質問したところ、"生きてる人で?それとも死んだ人もいれて?"と訊かれたので、"全部含めてです"と言ったところ、"Billie Holiday!"と書いてくれました。
そして、"特に好きな曲はありますか?"と質問したところ、"I Cover The Waterfront"と。
ジャニスのルーツも垣間見える貴重な書き込みに感謝します。
ジャニスは、最後に、"是非、聴いてみてね。今日は来てくれて本当に有難う!"と言ってました。

しかし、ジャニスさん、気の良いおばさん、って感じでした。
サイン会の時も、ファンのおばさんが、携帯電話の写真機能をセッティングするのに手間取っていても、"ダイジョーブ、ダイジョーブ。落ち着きましょう"とか言ってたし(笑)
やけに日本語も知っていて、上手かったなぁ(笑)

(文中で登場する曲名は、全てジャニスのセットリストと同じ表記にしました。タイトルが長くて省略されているものも、そのまんまです)

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