Mr.Win's Room

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Neil Young & Crazy Horse

greendale JAPAN TOUR 2003
日本武道館 2003年11月15日


-setlist-
1. Falling From Above
2. Double E
3. Devil's Sidewalk
4. Leave The Driving
5. Carmichael
6. Bandit
7. Grandpa's Interview
8. Bringin' down Dinner
9. Sun Green
10. Be The Green

(encore)
11. Hey Hey, My My (into the black)
12. All Along The Watchtower
13. Sedan Delivery
14. Love And Only Love
15. Powderfinger
16. Rockin' In The Free World
17. Like A Hurricane


【感想】
ニール・ヤングの2003年来日最終公演を観てきました。
初のニール・ライヴ。
今回のツアーが、ストーリー仕立ての新作"Greendale"を、アルバム通りの順番で、ミュージカルを交えながら演奏する一部と、お馴染みの曲を演奏する二部という構成になっているということは、事前に色々なところで聞いていたのですが。
"Greendale"は購入しておらず、物語の内容等をちょろっと予習した程度。

まず当日の会場の様子ですが、土曜日ということもあって客入りは上々、2階席も埋まっていました(前日のライヴでは、2階席の一部は、幕がはられて閉じられていたようです)
客層は、オールド・ファンからフジ・ロック等の活躍を通じてファンになった若い世代まで多種多様でしたが、男性が多かったです。

さて私は2階席の2列目だったのですが、開演前はビーチボーイズのカラオケが流れていて、どうやら"Stack-O-Tracks"や"Pet Sounds Box"を編集したもののようで、結構こだわりが感じられました。
そしてステージが暗転。
脇からゆっくりとステージに登場するニールとクレイジー・ホースの面々。
客席から見てステージ右側には家があり、バルコニーで椅子に腰掛け新聞を読むおじいさんや娘、おばあさん等の姿が。
一部は、こうした"Greendale"の登場人物達による演劇仕立ての公演でした。
例えば、歌詞の中に"おじいさんは、新聞を置いた"といった部分があると、それに合わせておじいさん役の人が新聞を置くわけです。
この俳優陣は、全員、裏方スタッフのようで、ニールとの息もぴったりでした。
曲間には、ニール自身がストーリーの説明を交えており、本当に"Greendale"のストーリーを伝えたいんだな、というのが良く分かりました。
東京公演では、大阪、福岡公演では配布されなかった"show bill"がチラシと共に椅子に置いてあり、3000円のパンフレットと同じく、"Greendale"の登場人物の家系図や登場人物紹介、レビュー、"グリーン家の歴史"と題されたストーリーの説明が書かれており、ストーリー解説は日本語もあり、パンフ買う必要無かったかも……と思ったり思わなかったり(笑)

一部はマイクの調子が悪いのかキーンと音がすることが少しあったり、音量自体が落ちることが一度あったと思うのですが、6弦を大分下げて(B♭?)チューニングしたアコースティック・ギターをかき鳴らして歌われた(一部はピックを使わないで演奏していた)"Bandit"や、ラスト、ダンサー達がステージ上に集まって、ダンスしながら終わる"Be The Green"は一見の価値有り、でした。
この時、壇上に集まったダンサーの半分程は日本人で、これは、ライヴ会場ごとに現地調達のダンサーを参加させているようです。(福岡や大阪は違ったダンサーだったようです)
あとダンサーは、日本とアメリカの国旗を大きく振ってました。

……もっとも"Greendale"よりも昔の名曲をもっと演奏して欲しかったというのが正直な感想。
それだけに一部が終わった後、ニールの若かりし頃のライヴ映像が流れ、その後、あらためてニールとクレイジー・ホースが登場した時は大興奮でした。
なんたって1曲目が"Hey Hey, My My"。やはり生で聴くとゾクゾクします。

しかし、もっと驚いて嬉しかったのが2曲目の"All Along The Watchtower"。
これまでにもニールのライヴ盤に収録されていたり、Dylanの30周年記念コンサートでも演奏したりと、ニールもお気に入りのようですが、いやぁ、来日公演で聴けるとは思いませんでした。

"Love And Only Love"も"Powderfinger"も"Rockin' In The Free World"もストレートにロックしていてとても迫力がありました。
特に"Powderfinger"はニールの中で一番好きな曲なので、定番曲ながらも演奏してくれてホッとしました。
それはそうと、ニールの演奏というのは、曲のラストをかな〜り引っ張るんですね。
私の周りでは、拍手するタイミングに戸惑っている人もいました(笑)

ニールは、二部が始まった時はシャツを片袖だけつけていたのですが、途中で脱ぎ捨て踏んで演奏し、被っていたキャップも途中でつばを後ろ向きにし、最後には脱いで演奏していました。
今年はルー・リードの来日公演がドラムレスで、どちらかといえば言葉を聞かせるライヴだったので、その対極とも言える轟音ロックに爽快な気分に("Greendale"もメッセージ色が強いし、言葉をより重視したライヴというのは混迷する世相を反映した近年の流行なんでしょうか)

とにかく、ニール・ヤングという人のステージ上での存在感は、歴戦の兵(髪型は落ち武者みたいだけど)とも言えるような風情があり、それを体験出来ただけでも、観に行ったかいがありました。
そしてラスト!ステージの上からキーボードが降りてきて、"Like A Hurricane"が遂に登場です!
この時、観客席の熱狂も最高潮に達しました。
この日は(終了時間が定められていたのだろうと思うのですが)8分程の演奏で、コアなファンの方によると、ここ10数年でも一番短い演奏だった&全公演行った方の話だと、「弦を弾きちぎったフジロックの時や福岡公演の"Like A Hurricane"が凄かったので、ちょっとインパクトには欠けた」とのことでしたが、なんせ私は初めてなので、非常に素晴らしい演奏だと思いました。
むしろ、あまりにも長すぎるより、コンパクトにまとまっていたのは良かった。
全般通じて、「ニール老いてますます盛ん」を感じられるライヴでした。


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