Lou Reed "NYC MAN Tour" 東京厚生年金会館 2003年9月19日, 20日 -setlist- 1. Sweet Jane 2. Smalltown 3. Tell It To Your Heart 4. Men Of Good Fortune 5. How Do You Think It Feels? 6. Vanishing Act 7. Ecstasy 8. The Day John Kennedy Died 9. Street Hassle 10. The Bed 11. Reviens Cherie 12. Venus In Furs 13. Dirty Blvd 14. Sunday Morning 15. All Tomorrow's Parties 16. Call On Me 17. The Raven 18. Set The Twilight Reeling (encore) 19. Candy Says 20. Perfect Day (encore2) 21. Walk On The Wild Side 【感想】 2000年以来となるルー・リードの来日公演。 東京厚生年金会館の2公演に行ってきました。 とにかくルーが再び観れる、そして"Sweet Jane"で再び踊り狂える!という気持ちでいったので、私はのっけからテンション高めだったのですが。 今回はドラムレス編成ということで、静かに言葉を聞かせたい、というのがルーの思惑だった模様。 いきなり"Sweet Jane"だったのですが、これまでになく穏やかでチェロの音色も優しいアレンジでした。 まず最初コードを弾き始めると途中で止まって"So, anyway..." お〜!今回はルーさん喋る!! 「電話でインタビューを受けた時のことだ……もしもしルー・リードさん(←ここは、日本語)この曲は、3つのコードで出来てますねって言うんだ。ビックリしたよ。"違う!違う!4つのコードさ"って言ったよ。まず3つだとこうだ(D-A-G-G-A)、そしてこれがマジックさ。4つだとこうだ。(D-A-G-Bm-A)"」 これには観客も拍手! その後、コードにのせてメンバー紹介をしてから"Standing on the corner..."と始まりました。 このアレンジはこのアレンジで綺麗ですが、できればドラム有りでロックしまくるバージョンを聴きたかったなぁ。 続く"Smalltown"で、マイク・ラスケがギターでピアノの音を出す時も、「おいマイク。君はギターを弾いているが、ピアノの音が聞こえるね。君がやってるのかい?ちょっとギターを持ち上げてみてくれ」と言ったり「東京はスモールタウンだと思うかい?」「俺の質問の意味分かる?」と言ってみたり。 今回のルーさんは饒舌でした。 その後美しい"Tell it to your heart"があって、名盤"Berlin"からの2曲! "How Do You Think It Feels?"は、中盤でルーのへヴィーなギター・ソロが。 ルーがインタビューで「僕はギターが上手いわけではないが、自分が表現したいものを表現できるだけの技量は備わってるよ」といった趣旨のことを言ってたのですが、まさにここでのソロはそんな感じ。 ひずませたギターはテクニカルというよりも感情表現として優れた演奏でした。 それにしてもセットリストを見れば分かる通り、オールタイムベストとも言える選曲。それだけにドラムがあれば良かったよなぁ、というのが一番大きな感想です。 逆に、ドラムレスで凄く良かったのは、"Tell It To Your Heart"、"The Day John Kennedy Died"。 この2曲ではチェロのジェーン、それにコーラスのアントニーが活躍してました。 一方でこの2人もイマイチだったのがヴェルヴェット時代、とりわけファーストからの3曲。 聴けたのは嬉しいのですが(ってか普通に考えたら、この3曲が演奏されるのは無茶苦茶凄いことなのですが)アレンジがなぁ。 "Venus In Furs"は、チェロのソロが聴き所でしたが、そこまで言う程、素晴らしい演奏とは思えませんでした。 確かに、ジェーンさんが、髪の毛を振り乱しながら迫力のある演奏を見せてはいるのですが、想像の範囲内での凄さというか、あの程度の技量の人ならば、沢山いるんじゃないのかな、と思ってしまうレベルでの迫力でした。 アントニーにも感じたのですが、凄く上手い、と感じるでもなし、だからといって独特の個性を感じるでもなし、特に印象に残るものがありませんでした。 "Sunday Morning"は、2日目はルーさんが出だしで歌いそびれていました。今の彼の崩す歌い方だとメロディの良さが活かしきれていない。 この曲は、メロディ通り、綺麗に歌った方が好きです。 "All Tomorrow's Parties"は、大好きなんだけど今回のアレンジは好きになれない。1stでの、モーのドスッ!ドスッ!という原始的なドラムが好きなので、軽いノリにアレンジされた今回のヴァージョンは、全く駄目でした。 あと、最近東洋神秘に凝っているというルーが師事しているらしいレン・グァン・イーという謎の太極拳使い……。 彼が"All Tomorrow's Parties"の途中から出てきて太極拳を始めるんですが、これははっきり言って邪魔。 ルーの中では、「今東洋に興味あって、太極拳って神秘的な動きだし、ちょっくら曲の途中で出してみようかな〜」程度のノリなのかもしれませんが、あれじゃお笑いだよ……。 それだけにシンプルかつストレートなロックという意味では、"Sweet Jane"の兄弟曲のような"Dirty Blvd"が登場し、簡単なドラムセットをマイクが叩いた辺りでは歓声が。 ルーの楽曲も持ち味であるタイトさがここにきてようやく登場したな、といった具合で、観客も一番盛り上がっていました。 "The Raven"は50年代のビート詩人ばりに歌詞(というよりも詩)を吼えるルーでしたが、ここは日本人にはちょっと厳しかったかも。 ちなみに"The Raven"は、エドガー・アラン・ポーの同名の詩をテーマにしています。 そして本編ラストは定番"Set The Twilight Reeling"。 後で聴いた本ツアー音源の公式CD"Animal Serenade"を聴くとどの曲も物凄く盛り上がっていて、この曲、それに前半の山場の1つ"Street Hassle"は大のお気に入りなんですが、この時はそこまでの良さは感じ取れず。 思うに、耳に迫るような音圧が無かったこと、それと楽器の音量バランスが良くなかった気がします。 アンコールは"Candy Says"から。これはアントニーが歌ってました。そして2000年以来の"Perfect Day"。 ここで終わりかと思いきや……! 最後の最後に聞き覚えのあるリフが! 遂に"Wild Side"を生で聴けました!これはドラムレスでも十分良い曲なのでラストで感動。前回聴けなかったし。 今回のドラムレスは賛否両論だったようで。個人的にはあの歳になっても今なお賛否両論を巻き起こせるルーに現役感を感じたというか。 まぁ、色々と不満もありましたが、現在をロック、そしてロールしているルーと向き合えたということで忘れられない2日間でした。 実際、ライヴ中は聴き入ってたし、初日は最後にルーが「日本語で"Thank you "はなんて言うんだい?」と問いかけた後、「アリガトウ」と言ってたし。 今度はまた、ドラム有りでタイトでクールなロックを聴かせて欲しいです。 |
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