Mr.Win's Room

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Bob Dylan

 

日本武道館 3月14日(水) 6:00開場、7:00開演

-setlist-
1.Duncan And Brady (acoustic)
2. Mr. Tambourine Man (acoustic) (Bob on harp)
3. Desolation Row (acoustic)
4. Stuck Inside Of Mobile With The Memphis Blues Again (Larry on acoustic guitar)
5. Tryin' To Get To Heaven
6. 'Til I Fell In Love With You
7. Mama, You Been On My Mind (acoustic)
8. It's All Over Now, Baby Blue (acoustic) (Larry on pedal steel guitar)
9. Tangled Up In Blue (acoustic)
10. Not Dark Yet
11. Cold Irons Bound
12. Rainy Day Women #12 & 35 (Larry on steel guitar)

(encore)
13. Love Sick
14. Like A Rolling Stone
15. If Dogs Run Free (acoustic) (Larry and Charlie on electric guitars)
16. All Along The Watchtower (Larry on steel guitar)
17. Knockin' On Heaven's Door (acoustic) (Charlie on electric guitar)
18. Highway 61 Revisited
19. Blowin' In The Wind (acoustic)

【感想】
ずっと追ってきたDylanの来日公演もいよいよ残すところ武道館のみ。
様々な思いを抱きながら、私は、12時2分発のひかり152号で東京へと向かった。

この時、例の追っかけアメリカ人女性も同じ列車だったのだが、指定席を取れるくらいなら、なんでチケットを1つでも買わないのだろう?という疑問を少し感じながらも東京に戻ってきた。

自宅に帰り、家族への土産を渡した後、私がやったのは、ボブに掲げるボードの作成だった。
最終日だけは、良い席で観たいと思い、アリーナ最前列のど真ん中という最高の位置をとっていたのである。
そして、これだけ良い席なのだから、ボブに何か想いを伝えられないだろうかと思い、お世話になっているCD屋の店長の提案で、ボードにメッセージを書き、公演の最後に掲げることにしたのだ。

武道館はさすがに盛況で、グッズ売りも大勢いた。
実際会場について、ステージが想像以上に高いと思いながらも、良い席をとれた幸運に感謝しつつ、座っていると、隣の人に話し掛けられて驚いた。
なんと仙台公演で、話した方だったのだ。
そして、彼にも、公演最後にボードを掲げるから手伝って欲しいと頼んだところ、快く引き受けてくれた。

大宮で知り合った方もいらしていて、お話をすることが出来た。
今までの公演であった色々な方々と話しながら、お互いに今日は、盛り上がりましょう!!と言い合い、ライヴ前から、興奮は高まるばかり。
最後の公演だからというような、感傷的な気分はあまりなかった。

そんな中、いよいよライヴのスタートである。
最初、メンバーが出てきた時に、ボブやラリーの名前を呼んだ。
ボブは、いつも通りも顔をしながらも、一瞬ニヤッとしていた。
ラリーとは、すでに顔なじみ(?)になっていたので、こっちを見て、少しおじぎっぽい動作をして、微笑んでくれていた。

この日は、我々、ラリー側の人達は皆、最初から総立ちになり、異様に盛り上がっていた。
ボブのノリも絶好調で、最初から御機嫌なギターを聴かせてくれる。
選曲は今までの公演の集大成的な選曲で、とても良い演奏が続いた。
特に良かったのは、"It's All Over Now, Baby Blue"と"Not Dark Yet"。
"It’s All Over Now,Baby Blue"は、最初何の曲だか分からなかったのだが、始まると共に歓声が湧いた。
"Not Dark Yet"は、何て綺麗な曲なんだろう。

どの曲でも、ボブの力強いギターが披露され、アンコールが始まる。
そして、初日には、思わず泣いた"Like A Rolling Stone"が演奏された。
3回目の"How Dose It Feel?"からの部分。ボブは、それまでと違い、"Like A Complete Unknown、Like A Rolling Stone"の部分を声を高めにあげて歌ってくれた。
この部分がグッと来た。
本当に素晴らしい"Like A Rolling Stone"だった。

その後もボブはノリノリで、"Highway 61 Revisited"の時は、私や横にいたおばさんの方を見て、ニコニコしながらおじぎっぽいポーズをとってくれた。
後から考えても、あの時は、ラリー側の人の方ばかり見てた気がする。
本当に最高だった。
前の方の人はみんな汗まみれになりながら踊り狂っていた(笑)
ただ、私の隣のおばさん2人組が"Highway 61〜〜!!”の時に変な雄叫びを挙げていたのは正直邪魔だった。

そして、最後に"Blowin’ In The Wind"が終わった時、私はボードを掲げた。
"Thank You,Dylan!! Someday,Come To Japan Again!!" ボブはそれを見て、数回頷いたように見えた。
ラリーは、こっちに笑いかけてくれていた。

全13公演、登場した曲は実に79曲。 ボブ、本当に有難う。
昨日よりもそして永遠に若く。
また日本に来てくれることを信じながら、それまでまた、風に吹かれて……。

【その後、気付いたことの追加】
最後の公演だったということ、今まで地方公演で会った方々といたるところで再会したことは今でも覚えています。
いや、10日ぐらい前に少し話しただけの方が、顔を覚えていて下さって、「他公演はどうでした?」みたいな感じで、色々と声をかけてきてくれたので、非常に嬉しかったです。

唯一残念だったのは、上にも書いた隣のおばさん2人組が、やたらと奇声を上げていたこと。
正直、迷惑でした。ロックのライヴで奇声はつきものとはいえ、ボブが歌ってる最中もずっと大声で奇声を上げるのは、あまりにも周りへの配慮が無いと思ったし、実際、私もさらに横にいた方もあまり愉快には感じなかったし。

やはり、ライヴはみんなで楽しむものですから、いくら興奮しているから、といっても不快な思いをさせないように気を付けるのは、観客同士のマナーじゃないかなと思います。
こういうことを言うと、必ず「ロックのコンサートだぜ!そんなの糞喰らえだ」とか「興奮してる時に、そんなこと考えられね〜よ」みたいな意見を言う人もいるんでしょうが、私はそういった意見には全く賛同できません。

【その後、気付いたことの追加の追加】
上の追加を書いたのが、2004年頃。
そして、ただいま2008年。全レポートを読み返したのですが。
2001年は、本当にボブの全てが好き、というか聴かない日は無いという状態でした。

勿論、今でも最も好きなアーティストですが、当時よりも客観的に捉えられるようになったというか。
表現に迷いますが、冷静に聴けるようになったかな……と。
だからこそ、01年のあの瞬間、ボブを全て追っかけられたのは途轍もなく幸せな経験だったし、"Song to Woody"や"Ring Them Bells"は感動的でした。
レポートには書いていないエピソードもいくつかありますが、来日公演を通じて、ボブと非常に身近になれた瞬間もあり。
今でも、各公演は鮮明に覚えており(まぁブートレグなどで全公演、音源を聴き返せる……というのもあるのですが(^^;))一生忘れられない体験です。

……で、あれから7年間。Dylanは日本に来ていません。
正直、このまま01年の思い出のまま来ないで欲しい……というような気持ちもありつつ、でも、やっぱり観たい!来てくれ!という気持ちもありつつ。
最近の公演音源を聴いていると、それはそれで素晴らしいものがあるし。
こうなったら、海外公演に行く方が早いか?なんて思ってます(笑)

【その後、気付いたことの追加の追加】
まさかこのページに追記する日が来るとは思っていなかった2017年。
全コンテンツを改めてチェックする一環で、来日13公演の文章を読み返していました。

今読むと、まぁお粗末な文章で(今もさして変わりませんが)、でも、当時(無論、今もですが)ボブ・ディランという存在がいかに大好きだったかは伝わってきます。

2010年、9年ぶりの来日公演があり、その後は、2014年、2016年と早いペースで来日しているボブ。
個人的には、2012、2013年も海外まで追っかけたので、ほぼ毎年のように会えていることになります。

現在はセットリストが固定的になり、それはそれで素晴らしいのですが、やはり何が飛び出るか分からなかった2001年の来日公演が、私は一番好きです。

この時のバンドメンバーのうち、トニー・ガーイエやチャーリー・セクストンは今もボブのバックで演奏中。
ラリー・キャンベルは、ザ・バンドのリヴォン・ヘルムのバンマスをやりつつプロデュースなどもこなし、リヴォン死去後も自身の新作を出すなどコンスタントに活動しています。

今のボブ・バンドも最高ではありますが、ラリーやチャーリーがバックでコーラスする"Roving Gambler"や"Tomorrow Is A Long Time"もまた聴いてみたいものです。……さすがに無理だと思いますが(^-^;

とにかくボブが元気でステージに立っていてくれることが一番。70半ばとなったボブが、どこまで活動できるのか。
その最後の時まで、ずっと見守りたいと思います。


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