Mr.Win's Room

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Brian Wilson

 

東京国際フォーラム 1999年7月12日

-setlist-
第一部
1. The Little Girl I Once Knew
2. This Whole World
3. Don't Worry Baby
4. Kiss Me Baby
5. In My Room
6. Surfer Girl
7. California Girls
8. Do It Again
9. I Get Around
10. Let's Go Away For Awhile
11. Pet Sounds
12. South American
13. Surfin U.S.A.
14. Back Home
(休憩)

第二部
15. Wouldn't It Be Nice
16. Sloop John B.
17. Darlin'
18. Add Some Music To Your Day
19. Lay Down Burden
20. God Only Knows
21. Good Vibrations
22. Your Imagination
23. Help Me Rhonda
24. Be My Baby

(encore)
25. Caroline, No
26. All Summer Long
27. Barbara Ann
28. Fun,Fun,Fun,

(encore2)
29. Love and Mercy


【感想】
ストーンズの来日公演が終わってから放心状態だった私にとって、「ブライアン・ウィルソンの来日公演が行われる」ということは同じぐらいインパクトのある出来事。まさに数ヶ月間、ビーチボーイズ三昧の日々が続いたのです……と言いたいところなのですが、99年の時点では、私にそこまでの興奮はありませんでした。

というのも、まだビーチボーイズについて大した知識もなく、中心人物のブライアン・ウィルソンがいかに凄い音楽を作ってきたか、ということもまだ認識していなかったからです。
ビートルズ、とりわけポールが大きな影響を受けたことは知っており、"Pet Sounds"も持っていましたが、ストーンズやディランばかり聴いていた耳には"Pet Sounds"はロックという感触がなく、初めて聴いた時には頭の中に"?"が浮かんだのを覚えています。

こんな具合だったので、ブライアンの来日を知った時は、大物という認識はあったものの「とりあえず観ておかないと後で後悔する」という気持ちで観たのを覚えています。

「観るからには予習しておこう」と思い買ったのが"Imagination"。
ブライアンの最新ソロアルバムです。まだ"Pet Sounds"しか持っておらず、それすらろくに聴きこんでいない耳にとって、このアルバムは一聴した時から気に入れるアルバムでした。

特にオープニングナンバーの"Your Imagination"、カール・ウィルソンに捧げた"Lay Down Burden"、それに"Dream Angel"は分かりやすいポップな名曲でした。
また、細野晴臣さんが寄せたコメントもいかにブライアンが凄い人物かを書いており、その時点で私はようやく「この人は本当に凄い人なんだ」と意識。
そして「"SMiLE"という未完成の傑作がある」、「その"SMiLE"を作り終えることなく、ブライアンは精神崩壊した」といった事実を知っていったのでした。

そんな風にブライアンを徐々に好きになる過程で観たライヴ。
その後、ビーチボーイズにハマり、ブライアンの大ファンになり、果ては海外まで追っかけるわけですから、「とりあえず観ておこう」という考えは正解でした。というか、今思うとソロとして初来日が観れて本当に良かった!

ライヴ自体は他のウェブサイト、それに雑誌"Gold Wax"などで沢山書かれているので多くは書きませんが、最初、ステージにはスクリーンがあり、ブライアンのインタビューやレコーディング風景が。5〜6分だったか、随分と長い間映像が流れていたので、2F席で観ながら「もしかしてドタキャンか!?」「ブライアンなら有り得るかも……」などと思ってドキドキしていました。

すると、"The Little Girl I Once Knew"のイントロが流れだし、ブライアンが登場!
今思うと"California Girls"でも"Do It Again"でもなくこの曲が選ばれたのは、本人の思い入れの深さなのでしょう。
そこからは、"Live At Roxy Theater"などで聴ける怒涛の名曲ラッシュだったわけです。

このライヴを観た時点では、"This Whole World"も"Surfer Girl"も聴いたことがなかったのに、どれもはっきりと覚えているのは、その場で聴いた1曲1曲に、その瞬間ハマっていったから。
特に"Surfer Girl"、"Don't Worry Baby"、"Darlin'"、"Fun Fun Fun"そして"God Only Knows"はじめ"Pet Sounds"からの各ナンバー。アンコールで読売ジャイアンツの半被を着たブライアンがイントロで笑いながら歌った"Love & Mercy"。勿論、"Imagination"からも"Your Imagination"、"South American"、"Lay Down Burden"が演奏され、これがまたいい!"Your Imagination"のサビでのテイラー・ミルズのコーラスも素晴らしかったです。

どれもが素晴らしく、翌日、ビーチボーイズのアルバムを5枚ぐらい一気に買ったのを覚えています。
ビーチボーイズのアルバムを聴き返しながら、"God Only Knows"の美しさに気づき、初期のサーフィン・ソングの軽快さにノリノリになり。
ブライアンの自伝やその他の出版物、ビーチボーイズファンクラブや初来日から観ているオールド・ファンの方の話などを聴き、どんどんと虜になっていったわけです。

まさかその時点では、再びブライアンが来日し、"Pet Sounds"を全曲披露、そして"SMiLE"を完成し、全曲披露するためにまた来日公演を行うなんて夢にも思いませんでした。
奇跡的なソロ初来日直前に好きになることが出来、そして本人による生歌で沢山の名曲にハマり、その後の来日公演も幸運にも全て複数公演観れて、レコード店のイベントで本人のサインももらえて握手して……といったことを考えるとブライアンとの出会い方は本当に素晴らしいものだったと思います。

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